


誰も住んでいない家をそのままにしていると、毎年届く納税通知書を見て「使っていないのに税金だけかかり続けている」と感じることがあります。
先にお伝えすると、人が住んでいなくても、建物が建っている土地には固定資産税の軽減措置が適用されるのが原則です。空き家になった瞬間に税額が上がるわけではありません。
ただし、この軽減が外れることがあります。代表的な場面は、市町村から勧告を受けたときと、建物を解体したときです。さらに、建物が構造上住宅と認められない状態などでは、勧告や解体の前でも特例が適用されない場合があります。
この記事では、空き家の土地にかかる固定資産税の仕組みと、住宅用地特例が外れる条件を、地方税法・空家等対策特別措置法と総務省・国土交通省の資料をもとに整理します。南城市や沖縄県南部で空き家をお持ちの方が、状況を確認するための材料としてお使いください。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月28日
最終更新日:2026年07月28日
情報確認日:2026年07月28日
この記事の目次
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を引き下げる「住宅用地の特例」があります。この特例は、居住しているかどうかではなく、住宅として使える建物が建っているかどうかで判断されるのが基本です。
そのうえで、特例が適用されなくなる場合があります。
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先に結論
住宅用地の特例が外れる代表的な場面は、次の2つです。
このほか、建物が構造上住宅と認められない状態など、今後人が住む見込みがないと認められる場合には、勧告や解体の前でも特例が適用されないことがあります。
仕組みを知っておくと、「そのままにしておく」ことにも判断が必要だと分かります。

税額が変わる条件を確認する前に、固定資産税がどのように決まるかを整理します。
固定資産税は、土地・家屋・償却資産に対して市町村が課す税金です。賦課期日である1月1日現在の所有者が納税義務者となり、標準税率は1.4パーセントとされています。評価額は原則として3年ごとに評価替えが行われます(出典:総務省「固定資産税の概要」)。
課税標準額が一定額に満たない場合は課税されません。この基準を免税点といい、同一の市町村内に所有する土地は30万円、家屋は20万円が基準です。
住宅の敷地として使われている土地は、課税標準が次のように軽減されます。
| 区分 | 面積 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 住宅1戸あたり200㎡以下の部分 | 価格の6分の1 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 価格の3分の1 |
空き家であっても、住宅として使える建物が建っていれば、この特例は原則として適用されます。「誰も住んでいないから軽減がなくなる」という仕組みではありません。
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補足:都市計画税について
固定資産税とは別に、都市計画税を課している市町村もあります。課税されるかどうかは市町村によって異なりますので、南城市での取り扱いは市の税務課へご確認ください。
固定資産税は、その年の1月1日時点の状況をもとに1年分が決まります。年の途中で建物を解体しても、その年の税額はすでに確定しています。
反対に、年末に解体して1月1日を更地の状態で迎えると、翌年分から特例の対象外になります。「いつ動くか」が税額に影響するのは、この賦課期日の仕組みがあるためです。
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)では、管理が行き届いていない空き家について、市町村長が段階的に関与できる仕組みが定められています。
国土交通省は、「管理不全空家」や「特定空家」への指導に従わず勧告を受けると、その税負担の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなると説明しています(出典:国土交通省「空き家対策 特設サイト」)。放置していれば軽減が続くとは限らない、という点がここに関わります。
2つの区分は、状態の進み方で分かれています。
管理不全空家等は、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等をいいます(空家法第13条第1項)。2023年(令和5年)12月13日に施行された改正で新たに設けられた区分です(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)。
特定空家等は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等と定義されています(空家法第2条第2項)。
つまり、倒壊のおそれがあるほど傷んでいなくても、その手前の段階で対象になり得ます。改正前は「特定空家等」だけが対象でしたので、関わる範囲が広がったことになります。
また、空家法第5条では、空家等の所有者等は周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努めるとともに、国や地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めなければならないと定められています。
いきなり軽減が外れるわけではありません。管理不全空家等の場合、次の順序で進みます。
この勧告の段階で、住宅用地の特例から外れます。特定空家等の場合は、助言・指導、勧告、命令と進み、命令に従わない場合には行政代執行によって措置が実施されることがあります(空家法第22条)。
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通知が届いた時点が、対応を検討する機会です
勧告に至るまでには、指導の段階があります。指導の段階で状態を改善すれば、勧告に至らずに済む余地があります。
市町村からの通知を放置すると、次の段階へ進むことになります。内容を確認し、求められている措置を把握してください。
「特例が外れると税金が6倍」という説明を見かけますが、実際の税額がそのとおりになるとは限りません。理由は2つあります。
一つは、住宅用地ではない土地の課税標準額には、評価額の70パーセントを上限とする仕組みがあるためです。課税標準額は前年度の課税標準額を踏まえて段階的に調整されます(出典:総務省「土地に係る固定資産税の負担調整措置」)。
もう一つは、勧告による特例解除では建物が残っているためです。建物を解体した場合と違い、家屋分の固定資産税は引き続きかかります。
実際にいくらになるかは、土地の評価額と現在の課税標準額によって変わります。具体的な金額は、納税通知書に同封される課税明細書を確認するか、南城市役所の税務課へお問い合わせください。

住宅用地の特例は、住宅の敷地であることが前提です。建物を解体し、1月1日時点で住宅の敷地ではない状態になると、原則として住宅用地特例の対象から外れます。建て替え中の土地など、一定の例外があります。個別の取り扱いは、南城市役所の税務課へご確認ください。
管理の負担をなくすために解体を検討される方もいらっしゃいます。解体した後は、土地について住宅用地特例が適用されない状態が続きます。ただし、家屋分の固定資産税はなくなるため、土地・建物を合計した税額がどの程度変わるかは個別に確認が必要です。
一方で、解体には税金以外の判断材料もあります。接道の状況によっては解体後に建て直せなくなる土地があること、相続した家では解体の順番によって使える控除が変わることなどです。この点は「古家付き土地は解体すべき?更地にする前に確認したいこと」で詳しく整理しています。
解体するかどうかは、税額の比較だけで決めない方が選択肢を保てます。売り方や活用方法を先に検討したうえで、解体の要否とタイミングを判断する流れをおすすめします。
ここまでは、勧告と解体という分かりやすい場面を説明しました。ただし、特例が外れるのはこの2つだけではありません。
国土交通省・総務省の告示「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」では、空家等であるかどうかとは別に、家屋の使用や管理の状況、所有者等の状況などから客観的にみて、次のような場合には住宅に該当せず、その敷地にはそもそも住宅用地特例が適用されないとされています(出典:国土交通省・総務省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」)。
つまり、勧告を受けていなくても、解体していなくても、住宅として使える状態ではないと判断されれば、軽減の対象から外れることがあります。
判断するのは市町村です。建物が古いというだけで直ちに該当するものではありませんが、傷みが進んだまま長期間放置している場合は、状態を確認しておく意味があります。個別の土地がどう扱われているかは、南城市役所の税務課へお問い合わせください。
勧告の対象になるかどうかも、住宅として使える状態かどうかも、建物と敷地の状態から判断されます。離れて暮らしていると、その状態を把握しにくくなります。
空家法第13条第2項では、勧告で求められる措置として立木竹の伐採が挙げられています。敷地の草木の管理は、制度上も対象に含まれているということです。
イエリテの実務から
当社へ寄せられたご相談で現地を確認させていただくと、庭木や雑草が伸びて隣の敷地や道路側へはみ出している状態を見ることがあります。
所有されている方が県外や離れた地域にお住まいの場合、こうした変化に気づく機会は限られます。
人が住まなくなると、換気や小さな修繕といった日常の手入れが行われなくなります。
イエリテの実務から
現地を確認する際、外壁のひび割れなど、建物の傷みが進んでいる状態を確認することがあります。
建物の状態は、勧告の判断だけでなく、その後に選べる方法にも関わります。状態が分からない場合は、まず現況を確認するところから始めていただければと思います。
南城市では、空き家・空き地の所有者を対象とした空き家活用事業を実施しており、相談の窓口が設けられています。制度の内容や利用条件は、南城市「南城市空き家活用事業について」のページで確認できます。
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離れて暮らしている方が確認したいこと
固定資産税の負担を軽くしたいという理由だけで解体を決めると、後から選べる方法が減ることがあります。空き家に対して取れる方向は、大きく4つです。
それぞれに費用と時間がかかりますので、順番を決めて進めることが大切です。活用の選択肢を比べる際は「使わない土地の活用方法|売却・賃貸・駐車場などの選び方」、南城市での空き家対応の全体像は「南城市の空き家対策|売却・賃貸・管理で資産を守る方法」もあわせてご覧ください。

イエリテの実務から
現地を見せていただくと、放置していた期間の長さが、そのまま建物の状態に表れていると感じることがあります。
傷みが進むほど、貸す・売るといった方法が選びにくくなり、残る手段が限られていきます。税金の負担をどう抑えるかを考える前に、いまの建物と土地がどの選択肢を取れる状態にあるかを確認しておくと、判断がしやすくなります。
相続した家であれば、期限のある特例もあります。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特別控除は、令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象とされており、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどの要件があります(出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。
制度の内容は「相続した空き家はどうする?売却・活用の選択肢と3,000万円特別控除」で説明しています。適用の可否は個別の事情によって変わりますので、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
住宅として使える建物が建っていれば、原則として適用されます。居住しているかどうかで直ちに判断されるものではありません。
ただし、勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は対象から除外されます(出典:国土交通省「空き家対策 特設サイト」)。また、構造上住宅と認められない状態など、今後人が住む見込みがないと認められる家屋の敷地には、そもそも特例が適用されないとされています(出典:国土交通省・総務省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」)。個別の土地の取り扱いについては、南城市役所の税務課へご確認ください。
固定資産税は1月1日時点の状況をもとに、その年の税額が決まります。そのため、勧告を受けた時期によって、反映される年度が変わります。
具体的にどの年度から反映されるかは、通知を受け取った際に南城市役所の税務課へご確認ください。
勧告の状態が解消されたかどうかは、市町村が判断します。その判断がいつの時点の課税に反映されるかも含めて、南城市役所へご確認ください。
指導の段階で対応すれば、勧告に至らずに済む場合があります。通知が届いた時点で内容を確認し、求められている措置を把握しておくことをおすすめします。
納税通知書に同封されている課税明細書で確認できます。土地・家屋ごとの評価額や課税標準額が記載されています。
手元にない場合や、内容が分からない場合は、南城市役所の税務課で確認できます。
土地については、原則として住宅用地の特例から外れます。一方で、建物にかかっていた固定資産税はなくなります。
土地・建物を合計した税額がどの程度変わるかは、それぞれの評価額によって異なりますので、個別に確認が必要です。解体費用も含めて考える必要がありますので、金額の見通しを確認したうえで判断してください。
住宅として使われている状態であれば、住宅用地の特例の対象になります。
賃貸すれば建物が定期的に使用される状態になりますが、建物の維持の状態は、入居後の使用状況や管理・修繕によって変わります。貸し出すには修繕や設備の確認が必要になる場合がありますので、賃料の見通しと修繕費を比べたうえで検討してください。
遠方にお住まいの場合、状態の変化に気づくのが遅れやすくなります。草木の管理を地元の業者へ依頼する、管理サービスを利用する、といった方法があります。
売却や賃貸を検討する場合も、遠方にお住まいのまま進めることは可能です。まずは現況の確認からお手伝いできますので、状況をお聞かせください。

空き家をどうするかは、税金だけで決められるものではありません。まずは建物と土地の状態、そして名義の整理状況を確認するところから始めると、次の判断がしやすくなります。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。土地・建物の状況や課税の内容は、個別の事情によって異なります。
南城市で空き家をお持ちの方へ
「まだどうするか決めていない」「まずは今の状態を知りたい」という段階のご相談でも構いません。
イエリテでは、建物と土地の現況、名義の整理状況を一緒に確認し、貸す・売る・管理を続けるといった選択肢を並べて整理してお伝えしています。税務や登記など専門的な判断が必要な場面では、税理士・司法書士など専門家への相談もご案内します。
県外にお住まいの方からのご相談もお受けしています。南城市および沖縄県南部の不動産について、現況の確認だけでもお気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
空き家を売却するか活用するか迷っている方も、現在の状態を確認するところからお気軽にご相談ください。