

執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年8月21日
最終更新日:2026年8月21日
入居者から「隣の部屋がうるさい」と連絡が来たとき、何から対応すればよいか判断に迷う場面があります。ゴミ出しのルール違反も同様に、放置すると小さな不満が近隣トラブルへ広がることがあります。この記事では、南城市や沖縄県南部で戸建て・アパートを貸している方に向けて、騒音とゴミ出しトラブルへの初期対応の流れと、改善しない場合の考え方を整理します。
この記事の目次
騒音やゴミ出しの苦情は、最初の対応が遅れるほど収まりにくくなります。入居者同士の不満が積み重なると、退去や空室の原因になることもあります。
一般的な生活音の範囲であれば、直ちに契約違反や是正の対象にはなりません。一方で、日時や内容が具体的で、他の入居者の平穏な居住を妨げていると考えられる場合は、事実を確認したうえで、契約や入居ルールに沿った注意・是正を検討します。苦情を認識しながら対応をまったく行わない状態が続くと、貸主としての対応が問題になる場合もあります。
イエリテの実務から
当社が管理や相談で関わってきたケースでは、騒音・ゴミ出しのいずれも初期対応のスピードが結果に影響しやすいという印象があります。同じ注意が繰り返される場合も見逃さず、その都度対応することが、小さな不満を大きなトラブルへ発展させないポイントだと感じています。
対応を始める前に、次の点を整理します。状況が曖昧なまま注意をすると、当事者間の言い分が食い違い、対応が長引くことがあります。
✓
確認ポイント
特定の入居者を名指しできない段階では、まず状況の確認を優先し、事実と異なる注意をしないよう気をつけます。また、苦情を申し出た入居者の氏名や部屋番号は、是正に必要な範囲を超えて他の入居者へ伝えないようにします。
騒音は、生活時間帯の違いや音の感じ方に個人差があるため、最初から一人の入居者だけを名指しせず、まず全戸への周知から始める方法があります。
訪問は、まず電話・書面・インターホン等で連絡し、日時を調整することから始めます。賃貸中の住戸には原則として入居者の承諾なく立ち入れないため、室内での聞き取りが必要な場合も、契約書の立入り条項を確認したうえで、承諾を得て行います。火災など緊急時を除き、騒音確認を理由に無断で室内へ入ることは避けます。
イエリテの実務から
騒音苦情を受けた際は、まず全戸へ生活音への配慮を呼びかける注意文を投函し、様子を見ることがあります。それでも改善しない場合は、早めに対象の入居者へ連絡したうえで訪問し、直接状況を聞き取るようにしています。連絡だけで済ませず、実際に足を運んで確認することを心がけていますが、室内へ入る場合は事前の連絡と承諾を前提としています。
!
注意点
特定の入居者を名指しして注意する場合は、事実関係の確認が不十分なまま行うと、誤った相手を注意してしまう可能性があります。苦情内容と該当時間帯を照らし合わせ、慎重に判断します。
ゴミ出しのルール違反は、分別方法の誤りや収集日以外の排出など、悪意なく起きるケースと、繰り返し起きるケースの両方があります。
ゴミ出しルールそのものは、市区町村ごとに収集日・分別方法・排出場所が定められています。入居者へ周知する際は、物件所在地の自治体が公表しているルールを根拠にします。
イエリテの実務から
ゴミ出しのルール違反は、少しの放置が大きなゴミの放置へつながると感じています。分別されていないゴミが1つ置かれたままになると、他の入居者も同じように出してしまい、集積場所が乱れやすくなります。気づいた時点で早めに注意し、同じことが繰り返される場合は見逃さないようにしています。
口頭や書面での注意を重ねても改善しない場合は、対応の記録を残しながら段階を進めます。
💡
ポイント
注意した日時・内容・入居者の反応は、その都度記録しておきます。同じ問題が続く場合、記録が今後の対応(書面での警告や、契約に関する判断)の根拠になります。
改善しない場合の対応は、次の順で考えます。
些細な違反だけでは契約解除が認められにくいとされており、契約解除の可否は、迷惑行為の程度・頻度・注意や警告への対応状況などを踏まえ、個別の事情によって判断されます。民法上も、債務不履行の程度が軽微なときは契約を解除できないとされています(民法第541条ただし書)。なお、迷惑行為を理由とする契約解除と、貸主都合による更新拒絶・解約申入れは別の制度であり、この記事では前者(迷惑行為を理由とする解除)を扱っています。
!
注意点
契約を解除しても、入居者が任意に明け渡さないときに、大家が鍵を交換したり、室内の荷物を移動・処分したり、使用を妨げたりして退去させることはできません(自力救済の禁止)。明渡しは、合意による退去、または裁判所の手続によって進めます。
契約解除や明渡しを検討する段階になった場合は、自己判断で進めず、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。書面での警告文の作成や、解除・明渡しの手続には法的な知識が必要です。
自主管理をしている場合、苦情の受付から注意、訪問での聞き取りまでを大家自身が行うことになります。対応の速さを大家自身がコントロールできる一方、平日日中の連絡や訪問が難しい場合は対応が遅れやすくなります。
管理会社へ委託している場合は、苦情の受付や初期対応を管理会社が代行することが一般的です。ただし、どこまでの対応が管理委託の範囲に含まれるかは契約内容によって異なるため、委託契約時に確認しておくことが大切です。
i
補足
管理会社への委託範囲や、自主管理との使い分けについては、別記事「相続したアパートは自主管理と管理委託どちらにする?手間と費用の比べ方」でも整理しています。
ごみの分別方法や収集日・排出場所は、市区町村ごとに定められています。南城市では、家庭ごみは主に5種類に分別され、地区ごとに収集日が異なります。収集場所も、一戸建て世帯は各家庭の門口、団地・アパート世帯は敷地内の所定の場所とされています。詳細は南城市の公式サイトで確認できます(出典:ごみの出し方|南城市役所、確認日:2026年8月21日)。
入居者向けの案内資料を作る際は、物件が所在する自治体の最新ルールと、物件種別(戸建てか、団地・アパートか)に応じた排出場所をあわせて確認したうえで、入居時に配布・掲示することをお勧めします。
騒音・ゴミ出しのトラブルは、どちらも初期対応の早さが結果に影響しやすい論点です。一般的な生活音の範囲かを見極めたうえで、状況を確認して注意を行い、改善が見られない場合は事前連絡のうえでの訪問や記録の保存を進めます。それでも改善しない場合の契約解除は、個別の事情によって判断が分かれ、解除後も入居者を大家の判断だけで退去させることはできません(自力救済の禁止)。契約解除や明渡しを検討する段階になったら、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。
入居者対応、空室、家賃設定、修繕など、現在の管理状況を確認し、改善できる点を整理します。すぐに管理会社を変更する必要がない段階でも相談できます。
状況を確認してからにすることをお勧めします。時間帯や頻度が特定できない段階で個別に注意すると、対象を誤る可能性があります。まず全戸への注意喚起から始め、改善しない場合に個別対応へ進む方法があります。
違反の内容だけで一律に判断できません。契約解除には、迷惑行為の程度や継続性、注意・警告への対応状況などが総合的に考慮されます。また、契約を解除できた場合でも、入居者が任意に明け渡さないときに大家の判断だけで退去させること(自力救済)はできず、合意または裁判所の手続が必要です。個別の事情によって結論が変わるため、弁護士への相談をお勧めします。
委託契約の内容によって異なります。苦情受付や初期対応の範囲は管理会社ごとに異なるため、委託時にどこまで対応してもらえるかを確認しておくことが大切です。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。