

入居者から連絡が入るのは、たいてい何かが起きた後です。水漏れ、鍵の不具合、廊下の共用灯の球切れ。連絡を受けてから動く形でも管理はまわりますが、それだと修繕はいつも「壊れた後」から始まります。
一方で、建物を定期的に見て回っている物件では、同じ不具合が小さいうちに片付いていきます。違いは点検の技術というより、見る箇所と時期を決めているかどうかです。賃貸アパート・マンションのオーナーが定期巡回で何を見て、見つけたものをどこで修繕に回すのか、順に見ていきます。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年9月1日
情報確認日:2026年9月1日
この記事の目次
点検項目を細かく並べると、続かなくなります。優先順位をはっきりさせておくほうが現実的です。
この3つを押さえておけば、巡回の目的がぶれません。設備の細かな動作確認や美観の問題は、その後です。
イエリテの実務から
当社が管理でお預かりしている物件で、早めに見つかって助かったと感じるのは、排水溝やルーフドレンの詰まりと、鉄部の錆や腐食です。詰まりは、詰まった時点では何も起きていません。次の大雨で水があふれ、そこで初めて室内側に症状が出ます。鉄部(手すり・階段・外階段の受け材など)も同じで、表面の錆が出た段階なら塗装で収まることがありますが、断面が痩せてくると部材の交換になります。
一般の賃貸共同住宅について、オーナーが何か月ごとに建物巡回を行うべきかという一律の周期を定めた条文はありません。ただし、建物を維持する責任がないわけではありません。関係する規定は、次の4つの層に分かれています。
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建物の維持に関わる4つの層

建築基準法8条1項は、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」と定めています。
これは努力義務であり、定期巡回そのものを法的な義務として課すものではありません。ただ、建物を適法な状態に保つ責任が所有者側にあることは、この条文がはっきり示しています。
同条2項は、特殊建築物のうち政令で定めるものなどについて、維持保全に関する準則または計画の作成を求めていますが、これは対象が限定されています。一般的な賃貸アパートで、この計画の作成が当然に必要になるわけではありません。
民法606条1項は、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。」と定めています(出典:民法)。
原則として修繕は貸主の義務で、借主の責任で壊れた場合は例外という構造です。この条文に「定期的に点検しなさい」とは書かれていません。点検をしていないこと自体が直ちに違法になるわけではない、という理解で問題ありません。
ただし、修繕義務がある以上、建物の状態を把握していなければ義務を果たしようがありません。点検は義務ではなく、義務を果たすための現実的な方法です。
見つけた不具合を直さないままにした場合、金銭面でも影響が出ます。
民法611条1項は、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。」と定めています。これは借主が請求して初めて減るのではなく、要件を満たせば当然に減額される形です。残った部分だけでは契約の目的を達せられないときは、借主から解除できます(同条2項)。
さらに、借主が修繕の必要を通知したのに貸主が相当の期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときは、借主が自分で修繕できます(民法607条の2)。対応が遅れるほど、貸主が工事の内容や業者を選ぶ余地は小さくなっていきます。
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条文の取り違えに注意
賃料の減額について民法609条を挙げた説明を見かけることがありますが、609条は耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人についての規定です。建物の賃貸借には当てはまりません。
不具合が実際に起きてからの初動と費用負担の考え方は、賃貸物件の水漏れ・設備故障が起きたときの貸主対応で扱っています。
建物や塀は、民法717条1項の「土地の工作物」に当たります。同項は、設置又は保存の瑕疵によって他人に損害が生じたとき、まず占有者が賠償責任を負い、「ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と定めています。
押さえておきたいのは、条文上、所有者の側には免責の定めが置かれていないという構造です。占有者には「必要な注意をした」という免責の余地がありますが、その場合の責任は所有者へ移ります。
日常的に見て回り、傷んだ箇所を早く直しておくことは、瑕疵をそのまま残さないという意味で有効です。ただし、点検さえしていれば所有者が責任を免れる、という関係ではありません。管理会社へ委託していれば所有者が責任を負わない、と考えるのも同じく正確ではありません。
民法の話とは別に、建物の設備や規模によって、法律が点検と行政への報告を求めているものがあります。自主管理のオーナーで見落としが起きやすい部分です。
消防用設備等が設置されている防火対象物では、関係者(所有者・管理者・占有者)が定期に点検し、結果を消防長又は消防署長へ報告する義務があります(消防法17条の3の3)。
ここで大切なのは、点検の周期と、報告の周期が別だという点です。点検は、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うこととされており(消防法施行規則31条の6第1項)、その期間は消防庁が定める点検基準(平成16年消防庁告示第9号)で定められています。報告の頻度は建物の種類で分かれ、共同住宅のような非特定防火対象物は3年に1回です(同条3項)。
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「3年に1回」は報告の周期です
報告が3年に1回だからといって、設備を見るのが3年に1回でよいわけではありません。点検の内容と方法は設備の種類ごとに定められているため、すべての設備を同じやり方で見るわけでもありません。
設置されている設備の種類によって必要な点検が変わるため、自分の建物に何が設置されているかを先に確認しておきます。共同住宅の場合、消防設備士等の有資格者に点検させなければならないのは、延べ面積1,000㎡以上のもののうち消防長又は消防署長が指定したものです(消防法施行令36条2項2号)。実際の点検周期や、自分の物件が指定を受けているかどうかは所轄の消防署へ確認するのが確実です。南城市の窓口は、南城市と八重瀬町を管轄する島尻消防組合消防本部(南城市玉城字屋嘉部194)です。
水道の水をいったん受水槽に貯めてから各戸へ送る方式の建物では、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える場合、簡易専用水道に当たります(10㎥という基準は水道法施行令2条が定めています)。この場合、設置者は基準に従って管理し、毎年1回以上定期に、地方公共団体の機関又は登録検査機関の検査を受けなければなりません(水道法34条の2第1項・2項、水道法施行規則56条1項)。
10㎥以下の受水槽は簡易専用水道に当たりません。南城市では、10㎥を超えるものを簡易専用水道(水道法)、10㎥以下のものを小規模貯水槽水道(南城市水道給水条例)として区分しています。小規模貯水槽水道の設置者に対しては、簡易専用水道に準じた管理に努めるよう案内しており、貯水槽については年1回の定期点検・清掃と、台風や地震のあとの確認を呼びかけています(出典:南城市「貯水槽設置者の皆様へ」)。
ここは区別しておいてください。10㎥を超える簡易専用水道は水道法34条の2による登録検査機関等の検査が義務ですが、10㎥以下の小規模貯水槽水道にこの法定検査の義務はありません。市が案内しているのは、準じた管理と定期的な点検・清掃です。
道路から各戸へ直接給水する直結給水の建物には、この検査は関係ありません。自分の物件がどちらの方式かは、給水設備の図面か、敷地内に受水槽があるかどうかで判断できます。
昇降機は建築基準法12条3項の対象で、資格者による定期検査と特定行政庁への報告が必要です。沖縄県は、エレベーター・エスカレーター・小荷物専用昇降機(フロアタイプ)について毎年の報告としています。
ただし、住戸内のみを昇降する昇降機や、労働安全衛生法施行令12条1項6号に規定される工場等の専用エレベーターは対象外とされています。賃貸アパート・マンションの共用エレベーターは通常この例外に当たりませんが、対象かどうかは沖縄県の案内で確認してください。
建築基準法12条1項の定期報告(特定建築物定期調査)は、政令で定めるものに加えて、特定行政庁が指定したものが対象になります。この指定は都道府県・市によって内容が違います。
沖縄県は、那覇市・浦添市・宜野湾市・沖縄市・うるま市以外の区域について対象建築物を定めており、平成28年6月1日の改正で共同住宅の用途に供する建築物は定期報告の対象外となりました(出典:沖縄県「定期報告制度」)。南城市はこの5市に含まれないため県の所管区域で、住居のみの賃貸共同住宅であれば、現行では特定建築物定期調査の報告対象にはならないと読めます。
ただし、店舗などを併設する複合用途の建物は別の判断になり得ます。該当しそうな場合は、南部土木事務所の建築班へ確認してください。
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ポイント
定期報告の対象外であることは、点検が不要という意味ではありません。行政への報告義務がないだけで、修繕義務と工作物責任はそのまま残ります。
住居専用の賃貸共同住宅は、通常、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)の特定建築物にも当たりません。同法施行令1条が定める特定用途は、興行場・百貨店・集会場・図書館・博物館・美術館・遊技場、店舗・事務所、学校、旅館などで、共同住宅は列挙されていないためです。大規模な店舗等との複合建物では個別に確認が必要です。
見る順番を決めておくと、毎回同じ視点で比べられます。前回との違いに気づけることが、巡回の一番の価値です。

敷地の境目から見ていきます。ブロック塀は、傾き・ひび割れ・鉄筋の露出・控壁の有無を確認します。
補強コンクリートブロック造の塀については、建築基準法施行令62条の8が基準を定めています。高さは2.2m以下、壁の厚さは15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上)です。鉄筋は径9mm以上のものを縦横80cm以下の間隔で配置し、長さ3.4m以下ごとに高さの5分の1以上突出した控壁を設けます。基礎の丈は35cm以上、根入れの深さは30cm以上です(高さ1.2m以下の塀には一部緩和があります)。国土交通省も、所有者向けにブロック塀の点検のチェックポイントを公表しています。
基準に合っていないように見えても、直ちに違法・撤去義務という話にはなりません。建てられた時点の規定に適合していれば既存不適格として扱われる場合があります。判断は建築の専門家や特定行政庁の領域なので、気になる状態であれば南部土木事務所へ相談してください。撤去や改修の補助制度については、南城市の担当窓口へ確認することになります。
あわせて、敷地内の樹木の張り出し、草の繁茂、放置物や不法投棄も見ておきます。草木の手入れの負担区分は賃貸物件の草刈り・庭木の手入れは誰の負担?で整理しています。
外壁は、ひび割れ・浮き・塗膜の劣化・シーリングの切れを見ます。特に開口部(窓・サッシ)まわりのシーリングは、切れていると雨水の入口になります。
屋上やバルコニーは、防水層の膨れ・破れ・立ち上がりの状態を確認します。鉄部は、手すり・階段・外階段の受け材・避難ハッチ・扉枠など、錆が出ていないかを見ます。
高所や屋上へ無理に上がる必要はありません。地上から見える範囲と、安全に確認できる範囲で十分です。気になる状態が見つかったら、そこから専門業者に見てもらいます。
廊下・階段・エントランス・ゴミ置き場・駐輪場・郵便受けを回ります。共用灯の球切れ、階段の踏板や手すりのぐらつき、床のひび、掲示物の劣化、ゴミの出し方の乱れなどが確認項目です。
共用部の状態は、そのまま内見時の印象になります。空室が続いている物件では、募集条件を見直す前に共用部の状態を確認したほうが早いこともあります。
排水溝、ルーフドレン、雨どい、バルコニーの排水口、側溝を見ます。落ち葉・土砂・ビニール類が溜まっていないかを確認し、その場で取り除ける範囲なら取ります。
当社の実務でも、ここは早めに見つかると効果が大きい箇所です。詰まりは、詰まった時点では誰も困りません。問題が表に出るのは次のまとまった雨のときで、そのときにはすでに水があふれています。排水を戻すだけの作業と、あふれた水が室内へ回った後の対応とでは、必要になる工事の範囲が変わります。
沖縄県の賃貸物件では、巡回の時期を台風に合わせて組むのが現実的です。当社が実務ですすめているのも、定期の巡回に加えて、台風の前と後に臨時で見る形です。
海に近い立地では、鉄部の劣化の進み方が内陸と同じにはなりません。手すり・階段・扉枠・エアコンの室外機まわりなど、金属部分は錆の出方を継続して見ておきたい箇所です。
外壁や鉄部の塗り替えを何年ごとに行うべきかについて、この記事では具体的な周期の数値を示しません。国土交通省は民間賃貸住宅の計画修繕に関するガイドブックを公表しており、計画修繕の考え方はそこで確認できます。周期は建物の構造・立地・前回の施工内容で変わるため、数値だけを一般化して当てはめないほうが安全です。
台風で実際に被害が出た後の対応と保険の扱いは、南城市で賃貸物件の台風被害にどう対応する?で扱っています。
巡回で気づいたものをすべてその場で工事に回すことはできません。順番をつける必要があります。
判断に迷ったときは、「このまま半年置いたら状態が変わるか」を考えると分けやすくなります。変わるものは1か2、変わらないものは3です。
イエリテの実務から
当社が見てきた範囲では、巡回をしていない物件ほど、修繕が必要になったときの工事の規模が大きくなりやすい傾向があります。錆の段階で塗装できたはずの鉄部が部材交換になる、排水の清掃で済んだはずの箇所が内装の復旧を伴う、といった形です。
もう一つ、外壁の落下やブロック塀の倒壊のように、第三者や隣地へ被害が及ぶ可能性がある箇所は、金額とは別の判断が必要になります。民法717条1項の構造を踏まえると、被害が出てからでは選べる対応が限られます。
大規模修繕として計画にまとめる段階の考え方と費用の見方は、アパートの大規模修繕はいつ・いくらかかるかで扱っています。
工事の費用を、その年の修繕費として経費にできるか、資本的支出として減価償却するかは、税務上の判断が分かれます。
国税庁は、個人の場合について「おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、または一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき。」は修繕費とすることができるとし、資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合は「その金額が60万円未満のときまたはその資産の前年末の取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるとき。」も修繕費とすることができるとしています(出典:国税庁タックスアンサーNo.1379、令和7年4月1日現在法令等)。法人の場合はNo.5402に同趣旨の記載があります。
これはそう処理することができるという定めで、金額だけで自動的に決まるものではありません。建物の価値を高める工事かどうかという実質の判断が入ります。個別の申告については税理士へ確認してください。
巡回の対象は、原則として共用部と建物の外側です。入居中の専有部は別に考えます。
民法606条2項は、「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。」と定めています。ただしこれは保存に必要な行為についての受忍義務であり、予防的に室内を見て回ることまでを、借主の承諾なしにできる根拠にはなりません。
室内の確認が必要な場合は、事前に連絡し、日程を調整したうえで立ち会ってもらう形が基本です。契約書に立入りに関する条項があるかどうかも、あわせて確認しておきます。
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空室の管理
空室は所有者の管理下にあるため、巡回の対象に入れられます。長期の空室では、通水(各水栓とトイレを短時間流して排水トラップの封水を保つこと)、換気、雨漏りの確認をしておくと、次の募集時に慌てずに済みます。
点検項目をどれだけ丁寧に作っても、続かなければ意味がありません。決めることは2つ、どの頻度で回るかと、誰が回るかです。
巡回は、決めた間隔で回る定例巡回と、何かが起きたときに回る臨時巡回に分かれます。法令が一般の賃貸共同住宅に一律の周期を定めているわけではないため、定例巡回の間隔は物件の条件から決めることになります。目安として、次の条件が当てはまるほど間隔を短くします。
臨時巡回は、次のタイミングで行います。
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巡回の使い分け
定例巡回だけで足りると考えないでください。沖縄では、建物の状態が大きく動くのは台風や大雨の前後です。定例の間隔を短くするより、臨時巡回を確実に行うほうが効く場面があります。
頻度が決まったら、それを実際に担える形を選びます。
管理会社に任せている場合でも、報告書に目を通すところまではオーナーの仕事です。読み方は管理業務報告書はどこを見る?で整理しています。委託の範囲そのものはアパート管理会社の仕事内容、自主管理と委託の比べ方は相続したアパートは自主管理と管理委託どちらにする?で扱っています。
巡回の進め方について、オーナー様からいただくことの多いご質問をまとめました。
写真と日付を残しておくことをおすすめします。前回との比較ができるほか、修繕の見積りを取るときに業者へ状態を伝えやすくなります。ひび割れのように進行を見たい箇所は、同じ位置から撮っておくと変化が分かります。
連絡がないことと、不具合がないことは別です。排水の詰まりや鉄部の腐食のように、入居者の生活に症状が出ていない段階で進んでいるものがあります。共用部の不具合も、入居者側から見れば自分の負担ではないため、連絡されないまま残ることがあります。
毎回呼ぶ必要はありません。オーナーや管理会社が見て回るのは、変化に気づくためのものです。気になる状態が見つかった段階で、その部位の専門業者に見てもらう形で足ります。法定点検のうち、資格者や登録検査機関による実施が必要なものは、日常の巡回とは別に行います。消防用設備等については、資格者による点検が必要かどうかが建物の規模・用途・消防長等の指定の有無によって変わるため、所轄の消防署へ確認してください。
まず、その建物にどの法定点検が関係するかを確認します。消防用設備等の設置状況、受水槽の有無と容量、エレベーターの有無です。そのうえで、ブロック塀・外壁・鉄部・排水まわりの現状を写真に残し、そこを起点にします。過去の記録がないこと自体は珍しくありません。今の状態を基準として記録し直すところから始められます。
一般の賃貸共同住宅について、何か月ごとに巡回するかを定めた条文はありません。ただし、建築基準法8条1項は建物を常時適法な状態に維持する努力義務を定めており、民法606条1項の修繕義務と、民法717条1項の工作物責任もあります。巡回は、これらに対応するための手段です。
見る箇所は、人の安全に関わるところと、水の通り道から決めます。頻度は、築年数・立地・過去の履歴などから定例巡回の間隔を決め、台風や大雨の前後には臨時で回ります。見つけたものは、半年置いて状態が変わるかどうかで順番をつけます。
法定の点検・報告は建物の条件で変わります。消防用設備等は機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回で、共同住宅の報告が3年に1回です。受水槽は有効容量の合計が10㎥を超えれば年1回以上の検査が義務で、10㎥以下は南城市が準じた管理を案内しています。共用のエレベーターは原則として毎年の定期検査報告の対象です。沖縄県の所管区域では、住居のみの共同住宅は特定建築物の定期報告の対象外とされていますが、報告義務がないことと点検が不要であることは別です。
続けられる形を決めておくことが、結局は一番効きます。自分で回るのか、委託するのか、報告をどう受け取るのかを、物件の条件に合わせて先に決めておいてください。
この記事は、2026年9月1日時点で確認できた法令・公的資料をもとに、一般的な情報を整理したものです。個別の建物に必要な点検・報告の内容、修繕の要否、税務上の取扱いは、建物の状況や契約内容によって異なります。実際の判断にあたっては、所轄の消防署、南部土木事務所、南城市の担当窓口、建築士、税理士など、それぞれの専門家・窓口へご確認ください。
どの部位をどの頻度で見るか、誰が回るかは、築年数や立地、所有戸数によって変わります。現在の管理状況を一緒に確認し、確認しておきたい項目や委託範囲の整理からご相談いただけます。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。