


前の道が細く、車がやっと通れる。そんな土地について「建て替えはできないと言われた」というご相談があります。いわゆる「再建築不可」の土地です。
先にお伝えすると、再建築不可といわれる土地でも、売却すること自体はできます。建てられないのは建築基準法上の制限であって、土地を売る権利が失われるわけではありません。ただし、買える人の範囲が狭くなるため、進め方は通常の土地と変わります。
この記事では、接道義務の中身と、どこへ何を確認すれば建て替えの可否が分かるのか、南城市での申請窓口までを、建築基準法と沖縄県・南城市の資料をもとに整理します。窓口へ相談する前の準備としてお使いください。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年08月01日
最終更新日:2026年07月29日
情報確認日:2026年07月29日
この記事の目次
「再建築不可」は、法律上の正式な用語ではありません。一般には、現在の敷地条件のままでは接道義務などを満たさず、既存の建物を取り壊した後に新しい建物を建てることが難しい土地を指す言い方です。所有権や売買の自由が制限されているわけではありません。
また、現在の敷地条件では建築が難しくても、建築基準法第43条第2項の認定・許可、道路位置指定、隣地の取得、通路部分の権利取得など、条件が変わることで建築できる場合もあります。いずれも行政による個別の判断が必要で、必ず解決できるものではありません。
通常の土地と変わるのは、買主の範囲と、解体後の選択肢です。融資を利用できる買主が限られることがあり、更地にすると新たな建物を建てられない可能性がある点に注意が必要です。

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先に結論
建築基準法第43条第1項では、建築物の敷地は、同法に定める道路に2メートル以上接しなければならないとされています(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。これが接道義務です。
沖縄県も、都市計画区域内では建築基準法に定める道路に接していない敷地に建築物を建てることは原則としてできない、と案内しています(出典:沖縄県「建築基準法関係FAQ」)。
ここが分かりにくいところです。実際に人や車が通っている道でも、建築基準法上の道路に当たらない場合があります。

沖縄県は、建築基準法上の道路として、国道・県道または市町村道で幅員4メートル以上のものや、位置指定道路などを挙げています。逆にいえば、次のような道は、見た目には道でも建築基準法上の道路ではないことがあります。
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用語解説
接道の長さは2メートルが下限です。沖縄県は、建築物の規模・用途によっては、2メートル以上の接道長さが必要になると案内しています。
住宅として使う場合と、規模の大きい建物を建てる場合とでは、必要な条件が変わります。建てたい建物の内容によって、求められる接道の長さも変わるということです。
「言われたことがある」だけで判断せず、資料をそろえたうえで行政の窓口で確認します。手順は次のとおりです。
現地での測定は、窓口へ相談するための概測です。所有者自身の測定だけで、接道義務を満たすか、再建築できるかを確定することはできません。敷地境界が確定していない、道路と敷地の間に別筆の土地がある、路肩や側溝を幅員に含めるかの判断が必要、公図と現況が一致していないなど、図面と現地だけでは分からない要素があるためです。
指定道路マップも同じで、参考資料として使い、売買や建築計画を進める場合は南部土木事務所の窓口で確認してください。マップに道路種別が表示されていない道については、建築班の担当職員と調整のうえ「道路調査依頼票」の提出が必要になる場合があります(出典:沖縄県「道路調査依頼票」)。

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窓口へ持っていきたい情報
間口や敷地の形が図面とずれている場合は、境界の確認から必要になることがあります。境界が分からないときの進め方は「境界が分からない土地は売却できる?南城市の土地売却で確認したい対処法」で整理しています。
適用される制限は、その土地が都市計画区域の内にあるかどうかで変わります。
南城市では、平成22年(2010年)8月10日から「南城都市計画区域」が指定され、風致地区や特定用途制限地域などの制度によるまちづくりが始まっています。それ以前は、佐敷地区・大里地区が那覇広域都市計画区域の一部として指定されていました(出典:南城市「南城市の都市計画制度について【H22.8】」)。
区域が指定されたからといって、市内のすべての土地が都市計画区域内になるわけではありません。個別の土地が都市計画区域内かどうかは、南城市地図情報システムまたは市の窓口でご確認ください(出典:南城市「都市計画」)。
あわせて見ておきたいのが、建物が建てられた時期です。建築時期と現在とで、適用される制度や確認事項が異なる場合があります。古い建物が現に建っていることと、いま建て替えができることは別の問題です。
イエリテの実務から
値段がつきにくいとされる土地でも、現況を見たうえで判断すると、売却の道が残っている場合があります。当社が現地を確認するときは、まず道路との接し方(道路に接しているか・間口の広さ・道幅)を見て、あわせて土地の形状、隣地との高低差、雑木の繁茂の程度を確認しています。造成の費用と管理の手間が、そのまま売却条件に表れるためです。
沖縄は草木の伸びが早く、しばらく手を入れていない土地では、現況が所有者の記憶や手元の写真と違っていることがあります。判断材料をそろえる意味でも、現地の状態を一度確認しておくと選択肢を比べやすくなります。
接道義務を満たさない敷地でも、建築が認められる制度があります。建築基準法第43条第2項の認定(第1号)と許可(第2号)です。
第1号の認定は、敷地が幅員4メートル以上の道に2メートル以上接するなど、国土交通省令で定める基準に適合する建築物について、特定行政庁が認めるものです。第2号の許可は、敷地の周囲に広い空地を有する建築物などで、交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと特定行政庁が認め、建築審査会の同意を得て許可するものです(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。
ここで誤解しやすいのは、第1号の認定が自動的に受けられる制度ではないという点です。幅員と接道長さの条件を満たすだけで認定されるものではなく、国土交通省令で定める基準への適合と、交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないという行政の判断が必要です。第2号の許可も、建築審査会の同意を含む個別の判断になります。
南城市は特定行政庁ではありません。南城市は、建築基準法第43条第2項の許認可申請は、南城市を経由して沖縄県土木建築部南部土木事務所へ提出することになると案内しており、この申請にかかる通行承諾書の様式も配布しています(出典:南城市「都市計画関連(様式等)地区計画、通行承諾書、路外駐車場」)。
沖縄県の所管区域では、南城市は南部土木事務所の担当です。なお、那覇市・浦添市・宜野湾市・沖縄市・うるま市は特定行政庁のため、問い合わせ先が異なります(出典:沖縄県「土木事務所の所管区域(建築基準法関係)」)。
県は申請の窓口について、第1号の認定は土木事務所長、第2号の許可は定型的なものが土木事務所長、その他は本庁としています(出典:沖縄県「建築物の許可・認定」)。
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許可を当てにする前に
43条2項の認定・許可は、建築計画ごとの個別の判断です。過去に許可された例があっても、次の計画で同じ結果になるとは限りません。
また、他人の土地を通って敷地に出入りしている場合は、通行の承諾が必要になることがあります。承諾を得られるかどうかは相手方の意向によります。売却の見通しを立てる前に、窓口へ事前相談してください。
前面の道が2項道路に該当する場合は、一般的に道路の中心線から水平距離2メートル後退した線が、道路の境界線とみなされます。セットバックした部分は、建築基準法上の敷地面積には算入できず、その部分に建物や塀などを設けることはできません。
ただし、後退の考え方は一通りではありません。建築基準法第42条第2項では、道の反対側ががけ地・川・線路敷地などに沿う場合、そのがけ地等の境界線から道の側に水平距離4メートルの線を道路の境界線とみなすとされています。また、土地の状況によりやむを得ない場合には、特定行政庁が別の水平距離を指定できるとされています(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。
そのうえで注意したいのが、道路の中心線やみなし境界線は、いまの道幅を測るだけでは決まらないということです。過去の資料、周辺の建物や塀の位置、道の成り立ちなどを踏まえて行政が判断する場合があります。所有者が自分で中心線を決めて、後退位置を確定しないでください。南部土木事務所へご確認ください。
後退後の扱いについても、断定はできません。前面の道が2項道路に該当し、必要なセットバックの後も接道条件を満たせる場合は、建て替えが可能となることがあります。ただし、2項道路に接しているというだけで建築できることが確定するわけではありません。後退後の有効な接道長さ、道路への有効な出入り、敷地と道路の高低差、建物の用途・規模、用途地域や特定用途制限地域、通路部分の権利関係、開発許可や農地法などの制限によって、結論は変わります。
このほか、隣地の一部を買い取る、通路部分を借りるなど、接道の状態そのものを変える方法もあります。相手方との交渉によるため、確実な方法とはいえません。
売り方は、買主として誰を想定するかで変わります。ここが通常の土地売却と最も違う部分です。
これは法令の定めではなく、不動産取引の実務としての説明です。再建築が難しい土地は金融機関の担保評価が付きにくく、融資を利用できる買主が限られることがあります。取り扱いは金融機関や物件によって異なりますので、購入を検討する方は個別に確認することになります。
考えられる買主としては、次のような相手が挙げられます。
ただし、建物を建てない使い方であれば自由にできる、というわけではありません。土地の地目や区域、農地法、都市計画法、盛土の規制、出入口、排水、各種の条例などの確認が必要になる場合があります。具体的な利用方法を決める前に、関係する窓口へご確認ください。
隣地の所有者にとっては、その土地を取得することで自分の敷地の接道や形が改善する場合があります。買い手を探す範囲を、まず周辺から考える理由はここにあります。売却以外の使い道とあわせて比べたい場合は「使わない土地の活用方法|売却・賃貸・駐車場などの選び方と注意点」もご覧ください。
再建築が難しい土地は、条件の組み合わせによって売り方も価格も変わります。「再建築不可だから値段がつかない」と決めつけず、次の項目を整理してから査定を受けると、比較しやすくなります。
査定の受け方そのものは、通常の不動産と同じです。進め方は「不動産の売却査定とは?机上・訪問査定の違いと査定額の見方」で整理しています。
宅地建物取引業法第35条では、宅地建物取引業者は契約が成立するまでの間に、法令に基づく制限の概要や、私道に関する負担に関する事項などを、重要事項として説明しなければならないとされています(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」)。
再建築ができるかどうかは、買主が価格と使い道を判断する材料そのものです。現況を正しく開示したうえで、価格と条件を決めることが基本になります。売主が負う責任の範囲は「契約不適合責任とは?不動産を売る前に売主が知っておきたい基本と注意点」で整理しています。
建物が建っている状態と、更地にした状態とでは、買主から見た価値が変わることがあります。再建築が難しい土地では、既存の建物を解体すると、新たな建物を建てられない可能性があります。
既存建物の状態や法的な扱いを確認しないまま、解体を先行しないことが大切です。解体してから売るか、建物を残したまま売るかは、費用だけでなく買主層が変わる点も含めて比べてください。判断材料は「古家付き土地は解体すべき?南城市で更地にする前に確認したいこと」で詳しく整理しています。
再建築不可の土地は、複数の窓口が関わります。役割を知っておくと、確認の順番を決めやすくなります。
| 相談先 | 担当する範囲 |
|---|---|
| 沖縄県 南部土木事務所 建築班 | 道路種別の確認、43条2項の認定・許可 |
| 南城市役所 | 43条2項の許認可申請の経由、通行承諾書の様式、都市計画区域や用途地域の確認 |
| 土地家屋調査士 | 測量、境界の確認、間口・面積の確定 |
| 建築士・設計事務所 | 建築計画、セットバック後の建物配置、用途・規模に応じた接道条件の確認、43条2項の認定・許可に向けた計画の整理 |
| 弁護士 | 通行権など、権利関係の争いに関する判断 |
| 不動産会社 | 売却の進め方、買主層の整理、専門家への橋渡し |
役割の分かれ目は、次のとおりです。道路種別・接道・認定や許可の判断は行政、境界や間口の確定は土地家屋調査士、具体的な建築計画の検討は建築士、通行権などの権利関係は弁護士が担います。不動産会社は、売却方法・買主層・価格や条件の整理と、専門家への橋渡しを行います。
建築の可否を判断するのは行政の窓口です。不動産会社が代わりに判断することはできません。
売却することはできます。建築基準法上の制限は建てることに関するもので、土地を売ること自体を禁じるものではありません。ただし、実務上は融資を利用できる買主が限られることがあり、価格や売り方は通常の土地と変わります。
まず南部土木事務所の建築班で、道路種別と有効な接道の判断を確認してください。敷地境界が確定していない、道路との間に別筆の土地がある、高低差や塀で有効な出入りが取れないなど、自分の測定だけでは判断できない要素があります。
そのうえで、建築基準法第43条第2項の認定・許可が受けられる場合や、隣地の一部を取得して接道を確保できる場合があります。いずれも行政の個別判断となり、確実な解決方法ではありません。南城市では、南城市を経由して沖縄県南部土木事務所へ申請することになります(出典:南城市「都市計画関連(様式等)」)。
同じ結果になるとは限りません。認定・許可は建築計画ごとの個別の判断です。第2号の許可では建築審査会の同意も必要とされています。計画が変われば、改めて判断されることになります。
なる場合があります。実際に通行できることと、建築基準法上の道路であることは別の話です。幅員4メートル未満の通路や、指定を受けていない私道に接している場合は、接道義務を満たさないことがあります。
一概にはいえません。再建築ができない土地では、解体すると建物のない土地として扱われ、使い道が限られる場合があります。解体費用と、買主層の変化の両方を比べて判断してください。
沖縄県が各土木事務所のホームページに「沖縄県指定道路マップ」を掲載しています。ただしマップは参考として使うもので、これだけで道路種別が確定するわけではありません。マップで分からない場合は各土木事務所の建築班窓口で確認できるとされています(電話予約が必要です。出典:沖縄県「建築基準法関係FAQ」)。売買や建築計画を進める場合は、南城市を所管する南部土木事務所へご確認ください。
2項道路に接しているというだけでは、建築できることは確定しません。必要なセットバックの後も接道条件を満たせる場合は建て替えが可能となることがありますが、有効な接道長さ、道路への出入り、高低差、建物の用途・規模、用途地域や特定用途制限地域、通路部分の権利関係などによって結論が変わります。
後退する位置も、道の反対側の状況によって扱いが異なります。中心線は自分で決めず、窓口の判断に従ってください。

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次に行うこと
道路との関係は、売り方を決める前に確認しておきたい情報です。まずは資料をそろえて、窓口へ相談するところから始めてみてください。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。土地の状況や道路の種別は、個別の事情によって異なります。
南城市で「建て替えできないかもしれない」とお考えの方へ
売ると決めていない段階のご相談でも構いません。イエリテでは、前面道路の状況と敷地の接し方を現地で確認し、売る・貸す・そのまま持つといった選択肢を整理するところからお手伝いしています。
行政の判断が必要な場面では、窓口や専門家への確認の順番をご案内します。県外にお住まいの方からのご相談もお受けしています。南城市および沖縄県南部の土地について、状況の整理からお気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
南城市や沖縄県南部の土地売却について、地域事情や土地の条件を踏まえてご提案します。