


不動産を売ろうと決めたとき、最初につまずきやすいのが書類の準備です。「権利証が見つからない」「家を建てたときの書類がどこにあるか分からない」というご相談をいただくことがあります。
先にお伝えすると、書類が一部そろわなくても、売却できなくなるわけではありません。権利証(登記識別情報)は再発行されない仕組みですが、法律で代わりの手続きが用意されています。
ただし、足りない書類に気づくのが遅くなるほど、日程の調整や追加の費用が生じやすくなります。この記事では、南城市で不動産を売却するときに必要な書類を3つのグループに分けて整理し、書類が見つからない場合の対処法を、法令と公的機関の資料をもとに説明します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月27日
最終更新日:2026年07月27日
情報確認日:2026年07月27日
この記事の目次
売却の必要書類は数が多く、一覧で見ると身構えてしまいます。「あなた自身を確認する書類」「権利を確認する書類」「物件の状況を伝える書類」の3つに分けて考えると、探す場所も見当がつきやすくなります。
必要書類は物件の種類、登記の状態、契約条件によって異なります。以下には、売主が用意する書類だけでなく、不動産会社や司法書士が取得できる資料、手元にあれば売却を進めやすい資料も含めています。備考欄の冒頭に「原則必要」「該当時」「あれば用意」の区分を示します。

売主が本人であることを確認するための書類です。手元にあるか、市区町村の窓口で取得できます。
| 書類 | 主な取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど) | 手元 | 原則必要/不動産会社との取引時に提示します |
| 実印 | 手元 | 原則必要/印鑑登録をした印鑑です |
| 印鑑証明書 | 印鑑登録をしている市区町村 | 原則必要/登記申請に使うものは作成後3か月以内である必要があります |
| 住民票 | 住所地の市区町村 | 該当時/登記上の住所と現住所が異なる場合などに必要です |
| 振込先口座の分かるもの | 手元 | 原則必要/売買代金の受け取りに使います |
本人確認書類の提示を求められるのは、不動産会社の判断ではありません。宅地建物取引業者は犯罪による収益の移転防止に関する法律の「特定事業者」にあたり、宅地・建物の売買や媒介を行うときは、顧客の本人特定事項などを確認することが法律で義務づけられています(出典:国土交通省「不動産業におけるマネー・ローンダリング対策」)。
その不動産の所有者が誰かを示す書類です。このグループでつまずくと、売却の日程そのものに影響します。
| 書類 | 主な取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 登記識別情報通知または登記済証(権利証) | 手元 | 原則必要/再発行されません。見つからない場合の対処は後述します |
| 登記事項証明書 | 法務局 | あれば用意/誰でも交付を請求できます(不動産登記法第119条第1項)。不動産会社や司法書士が取得することもあります |
| 固定資産税納税通知書 | 手元(毎年届きます) | あれば用意/物件の特定と税額の確認に使います |
| 固定資産評価証明書 | 市町村の窓口 | 該当時/登記の登録免許税の計算に使います。必要になるかは手続きによって異なります |
登記事項証明書は、売主だけでなく誰でも請求できる書類です。手元になくても法務局で取得できますので、まずは所在地と地番を確認しておくと準備が進みます。
買主に物件の内容を正しく伝えるための書類です。そろっているほど買主が判断しやすくなり、引き渡し後のトラブルを防ぐことにもつながります。
このグループは、なくても売却の手続き自体は進められることがあります。ただし、買主の検討材料が減るため、価格や条件の交渉に影響する可能性があります。
すべてを最初にそろえる必要はありません。査定・媒介契約・売買契約・決済の4つの場面で、必要になるものが変わります。
売却全体の進み方は「不動産売却の流れを6ステップで解説」で説明しています。査定の段階でどこまで用意すればよいか迷う場合は、「不動産の売却査定とは?机上・訪問査定の違い」もあわせてご覧ください。
書類の不足に気づくタイミングとして望ましいのは、査定から媒介契約までの早い段階です。この時期であれば、取得や再作成にかかる時間を売却の予定に織り込めます。

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売り出す前に確認しておきたい3点
結論からお伝えすると、権利証が見つからないことを理由に、不動産を売れなくなるわけではありません。法律で代わりの本人確認手続きが定められています。
ただし、権利証も登記識別情報も再発行されません。登記識別情報は登記が完了したときに通知されるもので、法務省はその再通知は認められないとしています(出典:法務省「新不動産登記法Q&A」)。
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権利証と登記識別情報の違い
「権利証」は法令上「登記済証」といい、登記が完了したときに登記所から交付されていた書面です。平成16年の不動産登記法の改正により、現在はこれに代わる本人確認の手段として、符号で通知される「登記識別情報」の制度が導入されています。
どちらを持っているかは、不動産を取得した時期によって異なります。
そのうえで、登記識別情報を提供できない場合には、次の3つの方法があります。

登記識別情報を提供できない理由を申請書に記載して申請すると、登記官から登記名義人あてに通知が届きます。個人の場合は、本人限定受取郵便で送られます。
通知の内容は、登記の申請があったこと、そして申請の内容が真実であるときは期間内にその旨を申し出ること、というものです。この通知に対して「申請に間違いありません」と申し出ることで、本人からの申請であることが確認されます(出典:法務局「登記済証(権利証)を紛失したのですが、どうしたらよいのですか?」)。
ここで注意したいのが、期限の数え方です。申出の期限は、法務局が通知を発送した日から2週間以内です。登記義務者が外国に住所を有する場合は4週間とされています(不動産登記規則第70条第8項)。受け取った日から2週間ではありませんので、郵便の受け取りと申出に必要な日数を、売却の日程に見込んでおく必要があります。
費用については、事前通知の手続き自体について、法務局へ支払う追加の手数料はありません。ただし、登記申請に必要な登録免許税などは別にかかります。
なお、所有権に関する登記の申請前に登記簿上の住所が変更されている場合は、なりすまし防止のため、原則として変更前の住所にも通知が送られます。
登記の申請を司法書士などの資格者に委任している場合、その資格者が本人であることを確認した書類(本人確認情報)を提供する方法があります。登記官がその内容を適正と認めたときは、事前通知の手続きが省略されます。
この方法では、書類を作成してもらうための手数料がかかる場合があります。金額は依頼先によって異なりますので、あらかじめ確認してください。
公証人に同様の書類を作成してもらい、提供する方法もあります。
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事前通知は申出の期限があります
事前通知の方法を選んだ場合、申出の期限は法務局が通知を発送した日から2週間以内です。受け取った日から2週間ではありません。
通知は本人限定受取郵便で届きますので、郵便の受け取りと申出にかかる日数を売却の日程に見込んでおくと安心です。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談のなかに、「権利証をどこにしまったか分からない」というものがあります。
こうした場合に気をつけたいのが、書類がそろわないことに気づくタイミングです。買主が決まってから決済までの間に判明すると、手続きが止まりやすくなります。
売り出す前の段階で権利証の有無を確認しておくと、見つからない場合でも落ち着いて進め方を選べます。
建物の書類も、紛失した場合に再発行はされません。ただし、建築確認や完了検査を受けた事実を証明する方法が用意されています。
似た名前ですが、示している内容が異なります。
確認済証だけでは、完了検査を受けたことまでは確認できません。検査済証の交付記録については、台帳記載証明書などで確認します。
沖縄県では、確認済証や検査済証の再発行はできないものの、建築確認や完了検査を受けたことを証明する「台帳記載証明書」の交付を受けられます。手数料は県証紙400円で、申請から交付までおよそ3日かかるとされています(出典:沖縄県「建築基準法関係FAQ」)。
ただし、台帳記載証明書は、確認済証や検査済証そのものの再発行ではなく、台帳に記録された事実を証明する書類です。現在の建物が建築基準法に適合していることまで証明するものではありません。
また、確認済証が交付された建物であれば、建築計画概要書の閲覧ができます。場所や地番が分かる資料を用意して、窓口で閲覧します。
南城市の不動産については、沖縄県南部土木事務所の建築班が窓口です。同事務所は那覇市旭町の南部合同庁舎にあり、建築班は那覇市・糸満市・豊見城市・南城市・与那原町・南風原町・八重瀬町などを所管しています(出典:沖縄県「建築班(南部土木事務所)概略」)。
なお、建築確認を指定確認検査機関で受けた場合は、記録の扱いが異なることがあります。どこで確認を受けたか分からない場合も、まずは窓口へ問い合わせてみてください。
検査済証の交付を受けていない建物については、増築や用途変更などの確認申請にあたって、既存部分が建築時点の建築基準法令に適合していることを確かめる必要があります。国土交通省は、建築士が適合状況を調査するための手順を示した「既存建築物の現況調査ガイドライン」を公表しています(従来の「検査済証のない建築物に係る……ガイドライン」は、令和7年(2025年)4月1日にこのガイドラインへ統合されました。出典:国土交通省「既存建築物の活用の促進について」)。
イエリテの実務から
建物の図面や建築確認済証・検査済証がそろわないというご相談もあります。
これも権利証と同じく、買主が決まってから決済までの間に分かると、手続きが止まりやすい部分です。
登記に関する書類とあわせて、建築時の書類がそろっているかも早めに確認しておくと安心です。
登記簿に記録されている住所や氏名が現在のものと違う場合、売却の前に変更登記をしておく必要があります。引っ越しや結婚で変わったまま、という状態です。
この手続きは、2026年(令和8年)4月1日から義務になりました。所有権の登記名義人は、氏名・名称または住所に変更があったときは、変更日から2年以内に変更登記を申請する義務があります(出典:法務省「住所等変更登記の義務化」)。
正当な理由がないのに申請を怠ったときは、5万円以下の過料の対象とされています。過料の額は、5万円以下の範囲で裁判所において決定されます。
施行日より前に住所などが変わっていた場合も義務の対象で、2028年(令和10年)3月31日までに変更登記をする必要があります。
正当な理由の例として、法務省は次のような場合を挙げています(出典:法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」)。
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売却する場合は、義務とは別の意味もあります
買主へ所有権を移す前提として、登記名義の情報を現状に合わせておく必要があります。売却を予定している方は、義務の期限を待たずに手続きを進めることになります。
手続きと費用については、法務局または司法書士へご確認ください。
相続した不動産を売る場合は、通常の必要書類に加えて、相続に関する書類が必要になります。
査定や売却のご相談は、相続登記が終わる前でも進められます。ただし、亡くなった方の名義のままでは買主への所有権移転登記ができませんので、引き渡しまでに相続登記を完了させる必要があります。
相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化され、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められます(出典:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」)。詳しい期限と手続きは「相続登記の義務化とは?手続きと期限」で説明しています。
相続登記には、主に次の3つの方法があり、法務局が案内している申請書の様式も分かれています。
例えば、遺産分割協議によって相続登記をする場合の一例として、次のような書類があります。
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必要書類は一律ではありません
遺言書の有無、遺産分割の方法、数次相続の有無などによって必要書類は変わります。戸籍・印鑑証明書・遺産分割協議書などの具体的な範囲は、法務局または司法書士へ確認してください。
世代をまたいで名義が変わっていない場合は、集める戸籍の範囲が広がります。祖父母の代の名義のままになっているケースの進め方は「亡くなった祖父名義の土地を売りたい」で整理しています。共有名義の場合は「共有名義の不動産は売却できる?」もご覧ください。
県外にお住まいの方の場合は、書類の取得や署名・押印のやり取りが郵送になり、そのぶん日数がかかります。戸籍や住民票は本籍地・住所地の市区町村が発行するものですので、取り寄せの時間も見込んでおくと安心です。
マイナンバーカードをお持ちの場合、証明書のコンビニ交付を利用できることがあります。対応している証明書の種類は市区町村によって異なりますので、発行元の自治体にご確認ください。
書類をそろえるときに、見落としやすい点を3つ挙げます。
登記申請に使う印鑑証明書は、作成後3か月以内のものである必要があります(出典:法務局「『印鑑証明書』はどのような申請に必要ですか?」)。早く準備しすぎると、決済日までに期限が過ぎてしまうことがあります。
取得の時期は、決済日が決まってから逆算するのが確実です。
登記申請では、印鑑証明書や住民票など、原本の提出が必要となる書類があります。一方で、書面申請では添付書面の原本の還付を請求できる仕組みもあります(不動産登記規則第55条。印鑑証明書など請求できないものもあります)。
必要な書類、写しの可否、原本還付の可否は手続きによって異なるため、法務局または司法書士へ確認してください。手元の原本を渡す前に、何のために使う書類かを確認しておくと安心です。
売却によって利益が出た場合、譲渡所得に対して税金がかかります。この計算では、購入したときの金額(取得費)を差し引きます。
購入時の売買契約書が見つからないと、取得費を証明できなくなることがあります。取得費が分からない場合、売った金額の5%相当額を取得費とすることができるとされていますが(出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」)、実際の購入額の方が高ければ、税額の面で不利になる可能性があります。
昔から所有している土地では、購入時の資料が残っていないこともあります。先に探しておくと、判断の材料が増えます。税額の計算と申告については、税務署または税理士へご確認ください。売却時の税金の考え方は「不動産を売ったときにかかる税金は?」で説明しています。
再発行はできません。登記識別情報は登記が完了したときに通知されるもので、その再通知は認められないとされています。登記済証(権利証)も同様です。
ただし、事前通知・資格者代理人による本人確認情報・公証人による認証という3つの方法が用意されていますので、売却そのものができなくなるわけではありません。
登記済証(権利証)を紛失しただけでは、登記記録上の権利に影響はありません。所有権の移転や抵当権の設定を申請するには、権利証のほかに印鑑証明書などの書類が必要になります。法務局は、実印や印鑑証明書の管理をしっかり行っていれば、勝手に登記されることはないとしています。
そのうえで、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合には、不正登記防止申出という制度があります。
これは、申出から3か月以内に対象の不動産について登記申請があった場合に、法務局が申出人へその旨を通知するなど、本人確認を強化する仕組みです(不動産登記事務取扱手続準則第33条・第35条)。登記申請や権利の移動を自動的に禁止・停止する制度ではありません。継続する場合は、3か月ごとに手続きをします。
申出は原則として本人が登記所に出頭して行います。具体的な不安がある場合は、不動産を管轄する法務局へご相談ください。
選ぶ方法によって変わります。事前通知の手続き自体について、法務局へ支払う追加の手数料はありません。ただし、登記申請に必要な登録免許税などは別にかかります。
司法書士などに本人確認情報を作成してもらう場合は、そのための手数料がかかる場合があります。金額は依頼先によって異なりますので、事前にご確認ください。
測量図がないことだけを理由に売れなくなるわけではありません。ただし、面積や境界の確認方法について、買主と取り決めをする必要があります。
境界標が見つからない場合や、隣地との認識が異なる場合は、測量が必要になることがあります。詳しくは「境界が分からない土地は売却できる?」をご覧ください。境界の確定や測量は、土地家屋調査士が扱う分野です。
買主がその後の計画を立てるうえで、確認が必要になることがあります。検査済証の交付を受けていない建物では、増築や用途変更などの確認申請にあたって、既存部分が建築時点の建築基準法令に適合していることを確かめる必要があるためです。
紛失した場合は、台帳記載証明書の交付を受けたり、建築計画概要書を閲覧したりする方法があります。南城市の物件については、沖縄県南部土木事務所の建築班へお問い合わせください。
決済・引き渡しの日までにそろっていることが必要です。ただし、不足に気づくのが早いほど選べる対処法は多くなります。
売り出す前の段階で、権利証・登記上の住所・建物の書類の3点を確認しておくと、日程を立てやすくなります。
変更登記をすれば売却できます。買主へ所有権を移す前提として、登記名義の情報を現状に合わせる必要があります。
住所等の変更登記は2026年(令和8年)4月1日から義務化され、変更日から2年以内の申請が求められます。施行日前に変更していた場合は、2028年(令和10年)3月31日までが期限です。

書類の一部が見つからない状態からでも、売却を進める方法はあります。大切なのは、足りないものに早く気づいて、取得や手続きにかかる時間を売却の予定に組み込むことです。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。必要な書類や手続きは、物件の状況と取引の条件によって異なります。
法令や制度は変更されることがあります。ご確認の際は、最新の情報をお確かめください。
南城市で、売却に必要な書類がそろうか不安な方へ
「権利証が見つからない」「家を建てたときの書類がどこにあるか分からない」という段階のご相談でも構いません。
イエリテでは、売り出す前に権利関係と書類の状況を一緒に確認し、足りないものがある場合は、取得にかかる時間の見通しをお伝えしています。売却の日程を立てるうえで、早い段階で分かっているほど選べる方法は多くなります。
南城市および沖縄県南部の不動産について、書類の確認だけのご相談もお受けしています。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
南城市や沖縄県南部の不動産について、お困りごとがあればお気軽にご相談ください。