


「1,500万円で売れたら、手元にはいくら残るのだろう」。南城市で不動産の売却を考え始めた方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
先にお伝えすると、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や印紙税、登記の費用などを差し引いた金額が、実際の手取りになります。
そしてもう一つ大切なのが、費用を支払う時期です。売却にかかるお金は一度にまとめて出ていくのではなく、売り出し前、契約時、引渡し時、翌年の確定申告時、その後の住民税の納付時期などに分かれます。
この記事では、費用の種類、計算方法が決まっているものと物件ごとに見積もりが必要なもの、支払う時期、手取り額の考え方を整理します。売却を決めていない段階でも、資金の見通しを立てる材料としてお使いください。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年7月26日
最終更新日:2026年7月26日
情報確認日:2026年7月26日
この記事の目次
費用は次の3つに分けて考えると、全体像がつかみやすくなります。
| グループ | 主な内容 | 支払う時期の目安 |
|---|---|---|
| 仲介による売却で発生しやすい基本費用 | 仲介手数料、印紙税、売主側の登記費用 | 売買契約時〜引渡し時 |
| 物件の状況によって発生する費用 | 測量費、解体費、残置物の処分費、相続登記の費用 | 売り出し前〜引渡し時 |
| 利益が出た場合にかかる税金 | 譲渡所得にかかる所得税・復興特別所得税・住民税 | 翌年の確定申告時と、その後の住民税納付時 |
ただし、これらがすべての売却で必ず発生するわけではありません。不動産会社による買取では通常、仲介手数料はかかりません。契約書を電子契約で作成する場合や、抵当権や住所変更の登記が不要な場合など、発生しない費用もあります。
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先に結論
手取り額は「売却価格-売却時にかかる費用-住宅ローン残債-利益が出た場合にかかる税金」で考えます。費用は金額だけでなく、いつ支払うかもあわせて確認しておくと、資金の準備を進めやすくなります。
まず、不動産会社の仲介で売る場合に発生しやすい3つの費用です。計算のしかたや税額の基準が定められているため、事前に見通しを立てやすい費用でもあります。
不動産会社に仲介を依頼して売買が成立したときに支払うのが、仲介手数料です。宅地建物取引業法にもとづく国土交通省の告示で、受け取れる報酬の上限が定められています。
売買価格に応じて、次の割合が上限です(消費税込み)。
たとえば1,000万円の物件であれば、「200万円×5.5%+200万円×4.4%+600万円×3.3%=39.6万円(税込)」が、依頼者一方から受け取れる上限額になります(出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」)。
ここで示したのは、あくまで法律上の上限額です。実際に支払う金額は、媒介契約(仲介を依頼するときの契約)を結ぶ際に取り決めます。
なお、売買価格が800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)については特例があります。2024年(令和6年)7月1日以降、通常の計算による上限を超えて、33万円(税込)を上限に受け取れる仕組みです。
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契約前に確認したいこと
800万円以下の物件で特例を使う場合、不動産会社は媒介契約を結ぶ前に報酬額を説明し、依頼者と合意しておく必要があります。金額に納得できないまま話を進めなくてよい仕組みです。疑問があれば遠慮なくご確認ください。
紙の売買契約書を作成する場合は、収入印紙を貼って印紙税を納めます。契約金額によって税額が決まっており、2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書には軽減措置が適用されます。
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
(出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」)
500万円以下の区分もあり、契約金額に応じて段階的に定められています。ご自身の金額帯は、国税庁の一覧でご確認ください。契約書を売主・買主がそれぞれ1通ずつ保管する場合は、2通分の印紙税がかかります。
印紙税は、紙の契約書などの文書に課税される税金です。電子データだけで契約を結び、課税対象となる紙の契約書を作成しない場合は、原則として印紙税はかかりません。国税庁は、印紙税法上、電磁的記録(電子データ)は課税の対象となる「文書」には含まれないという考え方を示しています(出典:国税庁(福岡国税局)「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」)。
ただし、電子契約とは別に紙の契約書や変更契約書を作成した場合は、その紙の文書が課税対象になることがあります。どの方法で契約するかを確認したうえでご判断ください。
登記の費用は、「売主側で必要になる登記」と「買主名義にするための所有権移転登記」に分けて考えます。
買主名義への所有権移転登記にかかる登録免許税や司法書士報酬は、一般的には買主が負担します。ただし、最終的な費用負担は売買契約の定めによるため、契約内容をご確認ください。
売主側で必要になりやすいのは、次の登記です。
これらの登記には、不動産の個数に応じた登録免許税がかかります。金額や必要書類は法務局が案内していますので、ご自身のケースでの額は法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続について)」または司法書士にご確認ください。
司法書士に依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬がかかります。報酬額は事務所や案件によって異なるため、見積もりで確認してください。
ここからは、物件の状態や事情によって発生する費用です。金額の幅が大きく、売却の手取りに影響しやすい部分でもあります。
土地を売るとき、隣地との境界がはっきりしていないと、買主が購入を判断しにくくなります。売買契約の条件として、境界を確定させる測量を求められることがあります。敷地の一部だけを売る場合は、土地を分ける分筆登記も必要になります。
測量の費用は、土地の広さ・形状・隣接する土地の数・道路との関係などによって変わります。一律の目安を示すことは難しいため、土地家屋調査士に現地を見てもらったうえで見積もりを取ることになります。
境界の確認は土地家屋調査士の専門分野です。何をどこまで確定させる必要があるかは、売却の条件とあわせて整理していきます。詳しくは境界が分からない土地の売却の進め方をご覧ください。
古い建物が建っている土地を、更地にしてから売り出す場合は解体費がかかります。建物の構造・面積・重機が入れるかどうかといった条件で金額が変わります。
鉄筋コンクリート造の建物は、木造に比べて解体の手間がかかるため、費用も変わってきます。前面道路が狭く重機を入れにくい場所や、隣家との距離が近い場所では、作業の条件が金額に影響することもあります。家財道具が残っている場合は、残置物の処分費も別に見ておく必要があります。
解体してから売るか、古家付きのまま売るかは、費用だけで決められる問題ではありません。判断の材料は古家付き土地を解体すべきかの考え方で整理しています。
相続した不動産を売るには、その前に名義を相続人へ変更する相続登記が必要です。この登記にも登録免許税がかかります。
相続による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です(出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」)。評価額1,000万円の不動産であれば4万円になります。
このほかに、戸籍謄本などの必要書類の取得費用や、司法書士に依頼する場合の報酬がかかります。相続人が複数いる場合や、世代をまたいで名義が変わっていない場合は、書類集めに時間もかかります。
相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化されています。手続きの内容や期限については、相続登記の義務化と手続きの進め方をご確認ください。
物件や事情によっては、次のような支出も発生します。
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補足
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。売買では引渡し日を基準に日割りで精算する取り決めをすることがありますが、法律で決まっているものではなく、契約で定める内容です。
南城市の物件では、次のような点が費用に関わることがあります。当社へのご相談でも、確認をおすすめしている項目です。
いずれも物件の状況によって変わります。当てはまりそうな項目があれば、見積もりの取り方からご案内できます。
売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて利益(譲渡所得)が出た場合には、所得税・復興特別所得税と住民税がかかります。
税率は所有期間で変わります。売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、所得税15%・住民税5%です(出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」)。2037年(令和19年)までは、所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。
マイホームを売った場合の3,000万円特別控除など、税負担が軽くなる特例もあります。税金の仕組みは不動産を売ったときの税金と3,000万円特別控除で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。

譲渡所得を計算するときに差し引ける「譲渡費用」とは、土地や建物を売るために直接かかった費用です。次のような費用が挙げられています(出典:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」、国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」)。
一方、修繕費や固定資産税など、その資産の維持や管理のためにかかった費用は譲渡費用になりません(出典:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」)。引っ越し費用も、売るために直接かかった費用にはあたらないと考えられます。
登記費用、残置物の処分費、司法書士報酬などは、支出の目的や内容によって税務上の扱いが異なる可能性があります。売却にかかった支出がすべて差し引けるわけではありません。個別の判断は、税理士または税務署へご確認ください。
同じ譲渡所得にかかる税金でも、所得税と住民税では納める時期が異なります。
所得税・復興特別所得税は、原則として売った年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行い、納付します(出典:国税庁「No.2020 確定申告」)。期限日が土曜日・日曜日・祝日などに当たる場合は、翌開庁日が期限になることがあります。実際の期限は、申告する年の国税庁の案内でご確認ください。
住民税は、前年の1月から12月までの所得に対して課税されます。確定申告の内容が市町村へ引き継がれ、6月に納税通知書が送られる仕組みです。南城市の場合、普通徴収では第1期6月末・第2期8月末・第3期10月末・第4期翌年1月末の4回に分けて納付します(出典:南城市「住民税について」、南城市「納税について」)。
つまり、売却した年の翌年は、春に所得税、その後に住民税という順で負担が発生します。売却代金を使い切ってしまわないよう、納税分を残しておくと資金繰りに余裕を持てます。

費用の総額と同じくらい大切なのが、いつ支払うかです。売却代金を受け取る前に出ていくお金もあるため、時期を分けて把握しておくと資金の準備を進めやすくなります。
| 時期 | 主な費用・税金 |
|---|---|
| 売り出し前 | 測量費、解体費、相続登記の費用(必要な場合) |
| 売買契約時 | 印紙税、仲介手数料の一部(分けて支払う取り決めをした場合) |
| 引渡し・決済時 | 仲介手数料の残り、売主側の登記費用、司法書士報酬、固定資産税の精算 |
| 売却した翌年の確定申告期限まで | 譲渡所得にかかる所得税・復興特別所得税(利益が出た場合) |
| 売却した翌年度の6月以降 | 譲渡所得にかかる住民税(利益が出た場合) |
仲介手数料は、売買契約時と引渡し時に分けて支払う取り決めをすることがあります。支払い方法は媒介契約や売買契約の内容によって変わるため、契約前に確認しておきましょう。
測量や解体は、売り出す前の段階で費用が発生します。売却代金が入る前の持ち出しになるため、資金の準備が必要かどうかを早めに確認しておくと、売り出し時期を判断しやすくなります。
イエリテの実務から
査定額が高くても、解体・測量・相続登記などの持ち出し費用が大きければ、売主様の希望に合う売却方法とは限りません。そのため当社では、「いくらで売れそうか」だけでなく、「売り出す前に何の費用が必要か」「決済時にいくら残る見込みか」まで整理してご説明しています。費用の見通しが立たないまま売り出すと、途中で判断が難しくなるためです。売るかどうかを迷っている段階でも、この整理からお手伝いしています。
最終的に手元に残る金額は、次の式で考えます。
概算手取り額 = 売却価格 - 売却時にかかる費用 - 住宅ローン残債 - 利益が出た場合にかかる税金
たとえば売却価格が1,500万円の場合、次のように整理できます。
| 項目 | 金額の考え方 |
|---|---|
| 売却価格 | 1,500万円 |
| 仲介手数料(上限額の場合) | 56.1万円 |
| 印紙税(紙の契約書の場合) | 1万円 |
| 売主側の登記費用・司法書士報酬 | 個別の見積もり |
| 測量・解体・残置物処分費 | 必要な場合のみ個別の見積もり |
| 住宅ローン残債 | 残高証明書で確認 |
| 譲渡所得にかかる税金 | 取得費・譲渡費用・特例によって異なる |
事前に計算しやすいのは、仲介手数料の上限額と印紙税です。そのほかの費用は、物件ごとの見積もりや税務上の計算が必要になります。空欄にご自身の数字を当てはめていくと、手取りの見通しが立てやすくなります。
手取りを見積もるときは、売却時に支払う費用と、売却後に発生する可能性がある税金を分けて計算し、最後に合計して確認することが大切です。費用を支払った分だけ税金が同じ額だけ減るわけではありません。
売却価格の見立てから確認したい場合は、不動産売却の流れ(査定から引き渡しまで)もご参照ください。
相談前に次のものを確認しておくと、費用の見通しを立てやすくなります。
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確認ポイント
すべてがそろっていなくても構いません。手元にあるものから確認し、足りない部分は取得方法をご案内します。

不動産の売却では、売却価格から費用と税金を差し引いた金額が手取りになります。要点を整理します。
次の一歩として、登記事項証明書とローンの残高を確認し、ご自身のケースでどの費用が発生しそうかを整理してみてください。
通常、売買契約が成立しなければ仲介手数料は発生しません。仲介手数料は、売買が成立したときに支払う成功報酬だからです。ただし、売主が通常の販売活動を超える特別な広告を依頼した場合や、遠隔地への出張を依頼した場合などは、事前の説明と合意にもとづいて実費を負担することがあります。媒介契約を結ぶ前に、費用の取り決めをご確認ください。
不動産会社が直接買主になる買取では、通常は仲介手数料はかかりません。仲介ではないためです。ただし、別の不動産会社が仲介に入る場合など、契約の形態によって取り扱いが異なることがあります。買取の提案を受けたときは、手数料の有無もあわせて確認してください。
確定申告のときに納めるのは所得税・復興特別所得税で、住民税は別の時期に納めます。住民税は前年の所得に対して課税され、申告の内容をもとに6月に納税通知書が送られます。南城市の普通徴収では、6月末・8月末・10月末・翌年1月末の4回に分けて納付します(出典:南城市「住民税について」)。
引渡し・決済時に発生する費用は、売却代金を受け取るときにあわせて精算できます。一方、売買契約時の印紙税や、売り出し前の測量費・解体費は、売却代金を受け取る前に必要になります。持ち出しになる費用がどれかを早めに確認しておくと、資金不足を防げます。
売るために直接かかった費用が、譲渡費用として差し引けます。仲介手数料、売主が負担した印紙税、売却のための測量費、土地を売るために建物を取り壊したときの取壊し費用などが該当します(出典:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」)。一方、修繕費や固定資産税など維持・管理のための費用は含まれません。登記費用や残置物の処分費などは扱いが分かれる可能性があるため、税理士または税務署にご確認ください。
売却の前に相続登記の費用がかかります。名義が亡くなった方のままであれば、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と、司法書士に依頼する場合の報酬、戸籍謄本などの取得費用が必要です。家財が残っている場合は、その処分費も見ておく必要があります。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。実際にかかる費用は、物件の状況や契約内容によって異なります。
費用と手取りの見通しから、ご相談いただけます
南城市および沖縄県南部の不動産について、「何にいくらかかり、いつ支払うのか」の整理からお手伝いします。売却を決めていない段階でも構いません。登記や境界に不明な点がある場合は、確認の進め方からご案内し、必要に応じて司法書士・土地家屋調査士・税理士などの専門家へおつなぎします。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
南城市や沖縄県南部の不動産について、お困りごとがあればお気軽にご相談ください。