

売買契約を終えると、次に気になるのが「引渡しまでに何をそろえておけばよいか」ではないでしょうか。引渡しは、鍵と物件を買主へ引き渡し、残代金を受け取る、売却の最終手続きです。
鍵や決済書類は契約後できるだけ早い段階から準備し、付帯設備表・物件状況等報告書は原則として契約締結前に整理・確認しておくことが大切です。この記事では、引渡しまでに準備するもの、付帯設備表の整理方法、公共料金や固定資産税の精算の考え方、当日の流れを、南城市や沖縄県南部での売却を前提に整理します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年8月21日
最終更新日:2026年8月21日
情報確認日:2026年8月21日
この記事の目次
引渡しとは、売主が買主へ物件の鍵と占有を移し、買主が残代金を支払う日です。同じ日に、所有権移転登記の申請、(住宅ローンが残っている場合は)抵当権の抹消登記、仲介手数料の残金支払いなどもまとめて行うのが一般的です。
契約から引渡しまでの期間は、住宅ローンの残債整理や、買主の融資実行のタイミングによって変わります。おおまかな流れは「不動産売却の流れを6ステップで解説」で説明しています。
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判断のポイント
引渡しの準備は、当日の数日前からではなく、契約直後から少しずつ進めておくと落ち着いて対応できます。特に付帯設備表と公共料金の手続きは、早めに着手しておきたい項目です。

引渡しまでに準備するものは、大きく分けて「鍵・リモコン類」「書類」「付帯設備表」の3つです。
| 準備するもの | 具体的な内容 |
|---|---|
| 鍵・リモコン類 | 玄関・勝手口・物置・車庫の鍵、宅配ボックスの鍵、給湯器・エアコン・電動シャッターのリモコン、合鍵を含めた全数(該当する場合はスマートロックのカード・暗証番号・アプリ登録、ホームセキュリティカードなど電子的なアクセス情報も含む) |
| 書類 | 権利証(登記済証)または登記識別情報、印鑑証明書、固定資産税納税通知書、管理規約・使用細則(マンションの場合) |
| 付帯設備表・物件状況等報告書 | 契約締結前に作成・確認した書面。契約後に設備の状態が変わった場合は、買主との合意内容を反映した最新の控え |
引渡しに必要な書類の全体像は「不動産売却に必要な書類」で説明しています。住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消の流れは「住宅ローンが残っている家の売却」をご確認ください。
鍵やリモコンは、引渡し当日に「何本あるか分からない」「合鍵の所在が不明」という状態にならないよう、契約後の早い段階で一覧化しておくと安心です。
イエリテの実務から
引渡しの立会いでは、鍵や設備のリモコンの数が、事前に聞いていた内容と実際の状態で違っていたというご相談をいただくことがあります。合鍵を親族へ渡していた、以前住んでいた方の鍵が回収されないままだった、というケースもあります。鍵とリモコン類は、契約後のできるだけ早い時期に本数を数え、一覧にしておくと当日の確認がスムーズです。スマートロックやホームセキュリティを導入している場合は、暗証番号の変更、旧所有者のアプリ権限・管理者権限の削除、初期化の要否を、機器またはサービス事業者の案内で確認しておきます。
付帯設備表と物件状況等報告書(告知書)は、売主が把握している設備の状況や不具合を、買主へあらかじめ伝えるための書面です。売主が把握している不具合と、引き渡す・撤去する設備は、原則として売買契約を締結する前に仲介会社と整理し、買主が確認できる形にしておきます。書式が契約書や重要事項説明書の別紙となるかは取引によりますが、記載内容と契約書・特約との食い違いがないかは署名前に確認します。
この書面は、宅建士が行う重要事項説明や、売買契約書・特約とは役割が異なります。付帯設備表等に記載したことで、契約内容や責任範囲が自動的に決まるわけではなく、各書面の記載に食い違いがないかは、仲介会社と契約前に確認します。設備の不具合を意図的に伝えなかった場合、契約不適合責任の問題になることがあります。契約不適合責任の基本的な仕組みは「契約不適合責任とは?」で説明しています。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談では、付帯設備表を引渡し直前に作成したところ、記入時点で実際の設備の状態と表の内容が食い違っていたケースがあります。給湯器やエアコンが契約後に故障していた、設置したはずの照明器具を撤去してしまっていた、といった状況です。付帯設備表は、引渡し直前ではなく、原則として契約締結前に作成・確認しておくと、記載の見直しを避けやすくなります。既に契約済みの場合は、契約時の控えと現況を照合し、契約後に設備の状態が変わった場合は、その都度、仲介会社を通じて買主と内容を確認し、合意したうえで表の記載を更新します。付帯設備表等の差替えだけで売買契約の条件が変わるとは限らないため、変更する設備・現状・費用負担・引渡し時の状態は、売主・買主が確認できる変更合意書や契約書の別紙にも残しておくと安心です。
エアコン、照明器具、カーテンレール、物置などを、引渡し前に撤去するか、そのまま残すかは、契約締結前に取り決めておく事項です。契約後に判断を変える場合は、仲介会社を通じて買主と内容を確認し、合意したうえで付帯設備表の記載を更新します。口頭での連絡や表の書き換えだけで契約条件の変更が当然に成立するわけではないため、費用負担や引渡し時の状態も含めて、書面に残すことが重要です。
引渡しにあわせて、公共料金の手続きと固定資産税・都市計画税の精算を行います。どちらも早めの確認が必要です。
電気・ガス・水道の手続きは、事業者や契約形態によって異なります。売買では、売主が自己名義の使用停止・解約を申し込み、買主が新たに使用開始を申し込む形を基本に、引渡し日と最終精算日を事前にすり合わせておきます。南城市の水道は、開始・停止・名義変更のいずれも事前の手続きが必要です。名義変更を選ぶ場合は、旧契約の権利義務を引き継ぐ扱いとなる事業者もあるため、各事業者の案内で条件を確認します。太陽光発電の売電契約、蓄電池のリース・PPA、LPガスの貸与設備がある場合は、契約名義・設備の所有者・承継または撤去の要否を個別に確認しておく必要があります。引渡し直前になって慌てないよう、契約後、引越しの日程が決まった段階で各事業者へ連絡しておくと安心です。
イエリテの実務から
引渡し直前に公共料金の手続きをまとめて行おうとして、事業者への連絡が間に合わなかったというご相談を受けたことがあります。公共料金の解約・名義変更は、引越しの日程が固まった時点で早めに手続きしておくと、引渡し当日に慌てずに済みます。
固定資産税は、その年の1月1日(賦課期日)現在の所有者に課されます(地方税法第343条・第359条)。したがって、売主がその年の1月1日時点の所有者である場合、年の途中で売却しても、その年度の固定資産税について自治体に対して納税義務を負うのは売主です。都市計画税が課されている土地・家屋も、同様に1月1日現在の所有者を基準に課されます(地方税法第702条・第702条の6)。
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精算についての注意
実務では、引渡し日を基準に、売主と買主が日割りで負担を分ける「精算」を行うことが一般的です。この精算は、自治体に対する納税義務そのものを買主へ移す制度ではなく、売買当事者間で費用を調整する契約上の取り決め(商慣習)です。起算日(1月1日起算か、4月1日起算か)や負担割合の考え方は地域や仲介会社によって異なることがあるため、精算方法は契約時に仲介会社と確認しておきます。
個人の売主が買主から受け取る未経過固定資産税等相当額は、譲渡所得の計算上、譲渡価額(収入金額)に含まれます。精算金を単なる立替金の受け取りとして扱わず、売買契約書と精算書を保管し、確定申告の際に税務署または税理士へ取扱いを確認してください。

引渡し当日は、おおむね次の順で進みます。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関の担当者や司法書士も同席し、抵当権抹消の手続きと残代金の授受を同じ場で行うのが一般的です。当日の進行は仲介会社が案内しますが、持参するものに漏れがないよう、前日までに一覧で確認しておくと安心です。
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引渡し当日に用意しておきたいもの
引渡し日以降も、一定期間、売主が住み続ける「引渡し猶予」を契約で取り決めることがあります。この場合、明渡し・鍵返却の確定日時、猶予期間中の使用料の有無、水道光熱費等の負担、猶予中に破損や事故が起きた場合の負担と保険、残置物・原状回復の範囲、期限を過ぎた場合の取扱いを、契約時にあらかじめ取り決めておく必要があります。猶予期間が長くなるほど、買主側の資金計画やリフォーム予定に影響することもあるため、必要な期間は契約交渉の早い段階で仲介会社を通じて買主側とも確認します。
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引越し業者を自分で探すのが不安な方へ
引渡し日に合わせて荷物を運び出すには、早めの手配が必要になります。引越しの業者選びについて、内容や地域に応じて、イエリテがお付き合いのある事業者をご紹介できる場合があります。
土地の引渡しでは、境界標の位置や越境物の有無も確認事項に含まれます。境界が確定していない、または越境物がある場合は、売主・買主が仲介会社を通じて、引渡しまでに測量・是正等を行うのか、現況で引き渡すのかを確認・合意します。現況で引き渡す場合は、対象箇所、把握している状況、将来の是正時期や費用負担、隣地所有者との確認状況を、売買契約書の特約または当事者が確認できる覚書に残します。境界確定や越境解消が常に必要というわけではなく、物件の状況と契約条件に応じて判断します。境界に関する詳しい内容は「境界が分からない土地の売却」、越境物がある場合の対応は「越境がある土地の売却」で説明しています。
玄関・勝手口・物置・車庫など、物件に関わるすべての鍵と、把握している合鍵をあわせて引き渡すのが基本です。本数が分からない場合は、契約後の早い段階で仲介会社へ相談し、一覧を作っておくことをお勧めします。
引渡し直前ではなく、原則として契約締結前に作成・確認しておくことをお勧めします。引渡し直前に作成すると、契約時からの設備の状態変化を反映しきれないことがあります。契約後に設備の状態が変わった場合は、仲介会社を通じて買主と内容を確認・合意したうえで表の記載を更新し、変更内容が分かる書面も残しておきます。
法律で義務づけられた制度ではなく、売買契約における当事者間の取り決めです。自治体に対する納税義務者は、その年の1月1日時点の所有者(多くの場合は売主)のままで変わりません。精算を行うかどうか、起算日や負担割合の考え方は、契約時に仲介会社と確認してください。なお、受け取った精算金は譲渡所得の計算上、譲渡価額に含まれるため、確定申告の際にご注意ください。
契約時に「引渡し猶予」を取り決めておくことで対応できる場合があります。明渡し・鍵返却の期限、使用料や水道光熱費の負担、破損・事故が起きた場合の対応、期限を過ぎた場合の取扱いなど、猶予期間中の主要な条件をあらかじめ仲介会社と取り決めておく必要があります。契約後に事情が変わった場合も、早めに仲介会社へ相談してください。猶予を取り決めるかどうかの判断や、引越し日の決め方は、家を売るとき、いつ引っ越す?引き渡し日から決める引越し日と引き渡し猶予の注意点で扱っています。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。引渡しの具体的な進め方や精算方法は、契約内容や仲介会社との取り決めによって異なります。
法令や制度は変更されることがあります。ご確認の際は、最新の情報をお確かめください。
鍵・書類・付帯設備表の整理から、公共料金や固定資産税の精算の考え方まで、イエリテがサポートします。南城市および沖縄県南部で不動産の売却をご検討の方は、査定のご相談とあわせてお気軽にお問い合わせください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
南城市や沖縄県南部の土地売却について、地域事情や土地の条件を踏まえてご提案します。