


「この古い家、壊して更地にしたほうが売れますか」。南城市や沖縄県南部で土地・空き家のご相談をいただくなかで、こうしたご質問を受けることがあります。
たしかに、更地のほうが買主に伝わりやすく、土地の広さや形も分かりやすくなります。一方で、解体には費用がかかり、一度壊した建物は元に戻せません。
そして見落とされやすいのが、解体する「順番」によって、税金の負担や使える控除が変わることがあるという点です。
この記事では、古家付きの土地を解体すべきか迷ったときに、更地にする前に確認しておきたいことを、税金・再建築・沖縄の建物事情・売り方の4つの角度から整理します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月23日
最終更新日:2026年07月23日
情報確認日:2026年07月23日
この記事の目次
古家付きの土地を売るとき、選べる方法は大きく3つあります。
このうち3つ目は見落とされやすいのですが、実務でも用いられる進め方です。売買契約のなかで「引き渡しまでに売主が解体する」と決めておけば、買主が決まってから解体できるため、費用をかけたのに売れないという状態を避けられます。
つまり、解体するかどうかは「するか・しないか」の二択ではなく、いつ、どの段階で解体するかという問題でもあります。だからこそ、先に売り方を整理してから解体を判断したほうが、選べる道が広がります。
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先に結論
解体は「売る前」だけではなく、買主が決まってから引き渡しまでに行う方法もあります。急いで先に壊す必要があるかどうかを、まず確認してください。
イエリテの実務から
南城市内でのご相談でも、「まず解体してから相談したほうがいいですよね」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
ただ、当社では先に解体をおすすめしないケースもあります。理由のひとつが、この後にご説明する税金の切り替わりや、使える控除の順番です。手順によって結果が変わることがあるため、解体の見積もりを取る前に一度ご相談いただくようにしています。
建物が建っている土地には、住宅用地の特例という固定資産税の軽減措置があります。
総務省の資料によれば、住宅が建っている土地のうち200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は課税標準が評価額の6分の1、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は3分の1とされています(出典:総務省「固定資産税の概要」)。
建物を解体して更地にすると、この特例の対象から外れます。つまり、解体すると翌年から土地の固定資産税が上がるのが原則です。
インターネット上では「更地にすると固定資産税が6倍」という説明を見かけますが、実際の税額は6倍ちょうどになるとは限りません。
更地のような非住宅用地には、課税標準額を評価額の70パーセントを超えない範囲に抑える仕組みがあります。また、建物を解体すれば、その建物にかかっていた固定資産税はなくなります。
実際にいくらになるかは土地の評価額や現在の課税額によって変わるため、気になる場合は市役所の担当窓口で確認するのが確実です。
固定資産税は1月1日を賦課期日としています(出典:総務省「固定資産税の概要」)。その年の1月1日時点の状況で、その年の税金が決まる仕組みです。
そのため、年内に解体して1月1日を更地の状態で迎えると、翌年分から住宅用地の特例が外れることになります。売却の時期が読めないまま先に解体すると、更地のまま税負担が増えた状態で保有期間が延びることもあります。
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放置していれば安心、でもありません
2023年12月13日に施行された改正空家等対策特別措置法では、「管理不全空家等」という区分が設けられました。国土交通省によれば、勧告を受けた空家等は固定資産税の住宅用地特例の適用対象外となる措置が講じられています(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」)。壊さずに置いておけば必ず軽減が続く、というわけではない点にご注意ください。
相続した空き家を売る場合、条件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります。「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」と呼ばれる制度です。
国税庁によれば、主な要件には次のようなものがあります(出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。
この特例は、以前は売主が解体してから売る必要がありました。しかし令和6年1月1日以後の譲渡については、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、買主が耐震改修または取壊しを行った場合も対象になります(出典:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」)。
つまり、解体を売主が急ぐ必要は必ずしもありません。買主と話し合いながら進められる余地があります。
一方で、家屋を取り壊して土地だけを売る場合には、取壊し等の時から譲渡の時まで、その土地を建物や構築物の敷地として使っていないことが求められます。解体した後に月極駐車場として貸すといった使い方をすると、要件を満たさなくなる可能性があります。
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解体を決める前に確認したいこと
税額の判断や特例の適用可否は、個別の事情によって結論が変わります。実際の適用については、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。相続した不動産全体の進め方は、南城市で相続した空き家をどうするかもあわせてご覧ください。
解体を判断するうえで、税金より先に確認したいのが再建築ができる土地かどうかです。
建築基準法では、建築物の敷地は原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないとされています(建築基準法第42条・第43条/出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。
古い集落の中には、この条件を満たさないまま建物が建っている土地があります。今建っている家は法律ができる前から存在しているため問題なく使えていても、解体してしまうと、新しい建物を建てられない土地になってしまう場合があります。
その場合、更地にしたことでかえって買主が限られ、売りにくくなることもあります。接道の状況に不安がある土地は、解体の前に必ず確認しておきたいところです。
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補足:セットバックという仕組み
幅が4メートルに満たない道でも、特定行政庁が指定した道路(いわゆる2項道路)に接している場合は、道路の中心線から後退(セットバック)することで建築できることがあります。判断は敷地ごとに異なるため、市の建築担当窓口や設計者へご確認ください。
また、土地の境界がはっきりしていない場合も、解体の前に状況を整理しておくと安心です。詳しくは境界が不明確な土地の売却で解説しています。
解体の判断では、沖縄の建物と土地の特徴も影響します。
沖縄県企画部統計課がまとめた令和5年住宅・土地統計調査(令和5年10月1日現在)の結果によれば、県内の住宅に占める非木造の割合は96.5パーセントで、この30年間で88.0パーセントから上昇しています(出典:沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」)。
台風や塩害に備えて鉄筋コンクリート造の住宅が選ばれてきた地域性があり、県内の古家も鉄筋コンクリート造であることが多くなります。
一般に、鉄筋コンクリート造の建物は木造に比べて解体に手間がかかり、費用も高くなる傾向があります。「木造の相場」で見た金額を前提に考えていると、見積もりを取ったときに差が出ることがあります。
解体費用は建物の構造だけで決まるものではありません。次のような条件によって金額が動きます。
金額の見通しを立てるには、現地を見てもらったうえで、複数の業者から見積もりを取るのが確実です。
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敷地内に拝所やお墓がある場合
沖縄では、敷地内に拝所やお墓が残っている土地があります。扱いには親族間の合意や地域の慣習が関わるため、解体工事の話とは切り離し、先にご家族・門中で方針を確認しておくことをおすすめします。
更地にしないと売れない、というわけではありません。古家付きの土地には、次のような買主が検討することがあります。
買主が自分で解体する前提であれば、売主が費用を負担する必要はありません。その分、価格には解体費用の見込みが反映されますが、まとまった費用を先に負担してから売り出すのとは、資金の動き方が変わります。
ただし、古家付きのまま売る場合は、建物の状態について売主と買主の認識を合わせておくことが大切です。引き渡し後の責任の範囲は契約で定めます。この点は契約不適合責任の記事で詳しく解説しています。

迷ったときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
1と2は、解体費用の見積もりより先に確認しておきたい項目です。ここが分かると、そもそも解体すべきかどうかの見通しが立ちます。
接道や再建築の可否は、書類だけでは判断がつかないこともあります。判断に迷う場合は、解体業者へ依頼する前の段階で、状況を一緒に確認するところから始めていただければと思います。
必ずしもそうとは限りません。更地のほうが買主に伝わりやすい一方、解体費用を売却価格に上乗せできるとは限りません。再建築できない土地では、更地にすることで買主が限られる場合もあります。
建物の構造や現場の条件によって大きく変わります。鉄筋コンクリート造は木造より高くなる傾向があり、道路幅や隣家との距離、残置物の量なども影響します。現地を見てもらったうえで、複数の見積もりを比べてください。
固定資産税は1月1日を賦課期日としています。そのため、年内に解体して1月1日を更地の状態で迎えると、翌年分の課税に反映されます(出典:総務省「固定資産税の概要」)。
令和6年1月1日以後の譲渡では、買主が譲渡の翌年2月15日までに取壊しや耐震改修を行った場合も対象になります。ただし、適用にはほかの要件もあります。実際に使えるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください(出典:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」)。
建物滅失登記の申請が必要です。不動産登記法では、建物が滅失したときは、その滅失の日から1か月以内に申請しなければならないとされています(出典:法務局「建物を取り壊した/建物を新築した」)。手続きは土地家屋調査士へ依頼することもできます。
自治体によって、除却費の補助制度が設けられている場合があります。制度の有無や条件は市町村ごとに異なり、年度によっても変わります。南城市で利用できる制度があるかは、市の担当窓口へご確認ください。

まず確認していただきたいのは、建物の建築時期と、敷地が接している道路の状況です。この2つが分かるだけで、解体を急ぐべきかどうかの見通しが変わります。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。個別のケースによって、判断や手続きの内容は異なります。
南城市で古家付きの土地をどうするか迷っている方へ
「解体したほうがいいのか分からない」「まだ売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。建築時期や接道の状況を一緒に確認し、そのまま売る・引き渡しまでに解体する・活用するといった選択肢を並べて整理するところからお手伝いします。税務や登記など専門的な判断が必要な場面では、税理士・土地家屋調査士など専門家へのお取り次ぎもご案内します。南城市および沖縄県南部の不動産について、お気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
古家付きの土地を解体すべきか迷っている方も、現在の状態を確認するところからお気軽にご相談ください。