


「実家をどうするか、家族で何年も話がまとまらない」。南城市や沖縄県南部の実家について、こうしたご相談をいただくことがあります。
誰も住まないけれど、思い出のある家です。売ると決めるのも、残すと決めるのも、簡単なことではありません。
この記事では、残すか売るかを今すぐ決められない方に向けて、先に確認しておきたい「期限のあること」と、判断が止まりやすいポイントを整理します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月24日
最終更新日:2026年07月24日
情報確認日:2026年07月24日
この記事の目次
最初に決めるべきなのは、残すか売るかではなく、期限のある手続きを先に片づけることです。
実家をどうするかという判断そのものに、期限はありません。一方で、次の3つには期限があります。
つまり、迷っている時間そのものが問題なのではなく、迷っている間に「選べたはずの選択肢」が減っていくことが問題です。
逆に言えば、この3つさえ押さえておけば、残すか売るかはじっくり考えて構いません。
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ポイント
判断を急ぐ必要はありません。ただし、名義の確認だけは先に済ませてください。名義が未整理のままだと、残す・売る・貸すのどれも進められません。
この記事でこれから触れる相続登記や空き家の特例は、相続が起きたあとの話です。親がご健在であれば、これらの期限は原則としてかかりません。
ただし、そのタイミングだからこそ確認しておきたいことがあります。
不動産の売却は、名義人ご本人が判断して手続きを行うことが前提になります。ご本人の判断能力が低下した場合、成年後見制度など別の手続きが必要になることがあり、手続きに時間がかかります。
「そのうち話そう」と先送りにしないことが、結果的に選択肢を広く残します。具体的な手続きの可否については、司法書士や弁護士へご確認ください。
ご本人が住んでいる家、または以前住んでいた家をご本人が売る場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を使える場合があります。所有期間の長短は問われません。
すでに住まなくなっている場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であることが要件です。
これは、相続後に使う「空き家の3,000万円特別控除」とは別の制度で、要件も期限も異なります。どちらに当たるかで進め方が変わりますので、早めに税務署または税理士へご確認ください。
(出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)
残すという選択も、立派な選択です。ただし、費用と手間が続くことを前提にしておく必要があります。
土地の固定資産税には、住宅用地の特例があります。住宅1戸あたり200平方メートル以下の部分は課税標準額が価格の6分の1、200平方メートルを超える部分は3分の1になります(税率は原則1.4パーセント)。
つまり、建物を残しているうちは、土地の税負担が抑えられている状態です。これは「残す」ことの実質的なメリットのひとつです。
(出典:総務省「地方税制度|固定資産税」)
2023年に改正された空家等対策の推進に関する特別措置法により、「管理不全空家等」という区分が設けられました。
市区町村から指導を受けても状態が改善しない場合、勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象から外れます。結果として、土地の固定資産税の負担が上がることになります。
残すのであれば、草刈り・通風・雨漏りの確認といった定期的な管理をセットで考える必要があります。
(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)
県外にお住まいの場合は、これらを誰が担うかも含めて考えることになります。
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注意点
残す場合の費用は、物件の状態や管理方法によって大きく変わります。おおまかで構いませんので、年間いくらかかるかを一度数字にしてみてください。数字にすると、家族での話し合いが進みやすくなります。
売る可能性が少しでもあるなら、次の3点は早めに確認してください。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。遺産分割が成立した場合は、成立した日から3年以内です。
正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象になります。2024年3月31日以前に発生した相続も対象です。
遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、「相続人申告登記」を申し出ることで、いったん申請義務を果たすことができます。
(出典:法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日から)」)
相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。この特例の期限は二重です。
主な要件は次のとおりです。
なお、2024年1月1日以後の譲渡からは、売主が引き渡し前に耐震改修や取り壊しを終えていなくても、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または除却を行えば対象になります。また、家屋と敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります。
適用の可否は個別事情によって判断が分かれます。必ず税務署または税理士へご確認ください。
(出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)
この特例は、相続から売却までの間に貸付けや居住に使われていないことが要件です。
つまり、「とりあえず誰かに貸しておこう」という判断が、後で売るときに特例を使えなくすることがあります。残すか売るか迷っている段階では、ここが大きな分かれ道になります。
貸すこと自体が悪いわけではありません。貸すと決めるなら、特例を使わない前提で収支を考える、という整理になります。
ここまでは制度の話ですが、実際に判断が止まるのは、多くの場合もっと手前の部分です。
仏壇(トートーメー)の行き先が決まらない
沖縄では、位牌の承継が家族の中で大きな意味を持ちます。売却の話以前に、仏壇をどうするかが決まらず、家全体の方針が止まってしまうことがあります。
家財・残置物の量に手が止まる
長く住んでいた家ほど、家財が残ります。片づけを想像した時点で、話し合いそのものが先送りになることがあります。
兄弟・親族の意見がそろわない
「残したい人」と「売りたい人」がいる場合、どちらの気持ちも間違いではありません。だからこそ結論が出にくくなります。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談では、残すか売るかという判断そのものよりも先に、仏壇(トートーメー)の承継先や、残された家財の片づけをどうするかで話し合いが止まってしまうことがあります。
実際に売却や活用のお手伝いをするなかでも、この部分が整理できると、その後の判断が進みやすくなると感じています。方針が決まっていない段階でご相談いただいても構いません。
仏壇の扱いについては、実家を売るとき仏壇(トートーメー)はどうする?沖縄・南城市で確認したい進め方で詳しく整理しています。
沖縄県では、居住世帯のある住宅のうち非木造(鉄筋コンクリート造など)が96.5パーセントを占めています。全国の46.0パーセントと比べて高い割合です。
このことは、実家の判断に次のように影響します。
解体を検討する場合の考え方は、古家付き土地は解体すべき?南城市で更地にする前に確認したいことにまとめています。
(出典:沖縄県「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」)
沖縄県の空き家率は9.4パーセント(65,400戸)で、2018年の10.4パーセントから低下しました。全国平均を下回る水準です。
空き家率が低いということは、住まいを探している方が一定数いるということでもあります。売却や賃貸を検討する余地は残りやすい環境だと考えられます。
南城市は「南城市空き家活用事業」を行っています。市の案内では、次のような物件も相談の対象として挙げられています。
問い合わせ先は南城市役所まちづくり推進課です。「うちの実家は条件が悪いから相談できない」と考える必要はないことが、市の案内からも読み取れます。
(出典:南城市「南城市空き家活用事業について」)

二択で考えると決まらないことも、選択肢を広げると動き出すことがあります。
建物が使える状態であれば、賃貸という選択肢があります。ただし前述のとおり、貸すと3,000万円特別控除は使えなくなります。
敷地が広い場合、建物を残したまま、一部だけを活用する方法もあります。土地の活用方法は南城市で使わない土地の活用方法で整理しています。
建物の傷みが進んでいる場合は、解体して土地として売る方法もあります。ただし、解体すると住宅用地の特例が外れる点と、費用が先に出ていく点を踏まえて判断します。
相続土地国庫帰属制度があります。ただし、建物がある土地は申請できません。承認された場合は、原則として1筆あたり20万円の負担金が必要です。
(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度について」)
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補足
制度名だけを見ると「いらない実家を国が引き取ってくれる」と受け取られがちですが、建物付きの実家は、そのままでは対象になりません。
残すか売るかを決める前に、次の順番で確認することをおすすめします。
4と5がそろって初めて、家族の話し合いが「気持ちの話」から「比較の話」に変わります。
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次に確認すること
名義の手続きについては相続登記の義務化とは?南城市で相続した不動産の手続きと期限、売却の進み方については不動産売却の流れを6ステップで解説|査定から引き渡しまでをご覧ください。
決めていない段階でのご相談で構いません。むしろ、名義や建築時期などの前提を先に整理しておくほうが、後の判断がしやすくなります。
査定だけのご相談も可能です。残した場合の費用と比べるための材料として、おおよその金額を把握しておく意味があります。
相続登記を済ませないまま、売却の手続きを完了させることはできません。買主へ所有権を移転する前提として、名義を相続人へ移しておく必要があります。手続きは司法書士へご相談ください。
必ず使えるとは限りません。建築時期、居住状況、売却代金など複数の要件があり、個別事情によって判断が分かれます。国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を確認したうえで、税務署または税理士へご確認ください。売却時の税金の基本は不動産を売ったときにかかる税金は?譲渡所得税と3,000万円特別控除の基本でも解説しています。
どちらかを説得することから始める必要はありません。先に名義・期限・残す場合の費用・売った場合の目安といった事実をそろえると、話し合いが感情の対立になりにくくなります。なお、実家が共有名義になっている場合、売却には原則として共有者全員の同意が必要です。
仏壇があること自体が、売却できない理由になるわけではありません。ただし、承継先が決まらないまま手続きだけを進めることはおすすめできません。ご家族の中で行き先を整理したうえで進めます。

情報確認日:2026年07月24日
この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。税務・登記・法律に関する最終的な判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家、または税務署・法務局へご確認ください。制度の内容は改正されることがあります。
実家をどうするか、決まっていない段階でご相談ください
残す・売る・貸すのどれが合うかは、建物の状態やご家族の状況によって変わります。イエリテでは、南城市および沖縄県南部の実家について、現在の名義や建物の状態を確認し、選択肢を整理するところからお手伝いしています。売却を前提としないご相談で構いません。税務・登記など専門家の判断が必要な場合は、内容に応じてご案内します。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
相続した不動産の扱いでお悩みの方は、状況を整理するところからお気軽にご相談ください。