には何を書く?-80x80.jpg)


執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年8月5日
最終更新日:2026年8月5日
情報確認日:2026年8月5日
誰も住まなくなった実家を、売るのはまだ気が進まない。それなら人に貸せないだろうか。南城市や沖縄県南部の実家について、そうしたご相談をいただくことがあります。
貸すことができれば、建物に人の手が入り、家賃も入ります。ただし、3,000万円特別控除の対象になり得る家では、相続後に一度でも貸すことで、その後の売却時に特例を使えなくなります。この点は後の専用のセクションで詳しく取り上げます。
順番を間違えると戻せない部分があるため、貸すと決める前に確認しておきたいことから順に見ていきます。
この記事の目次
貸すかどうかを決める前に、名義と権利関係、建物が人に貸せる状態か、数年以内に売る可能性があるかの3点を整理してください。

理由は単純で、この3点が後戻りしにくいためです。
家賃の相場を調べること自体は、早い段階で行って構いません。ただし、見込家賃だけを先に見て判断せず、建物の状態、必要な修繕費、地域の賃貸需要とあわせて比較してください。
💡
ポイント
「いくらで貸せるか」と「いくらかけないと貸せないか」は、セットで確認してください。片方だけで判断すると、収支の見込みが立たないまま準備が進んでしまいます。
貸すことを検討するうえで、税務上もっとも影響が大きいのがこの点です。
相続した空き家を売るとき、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、どの家でも使える制度ではありません。
特例の対象となるのは、原則として昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど、複数の要件を満たす場合です。区分所有建物でないこと、相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと、売却代金が1億円以下であることなども要件に含まれます。
この特例の要件のひとつが、相続の時から譲渡の時まで、事業の用・貸付けの用または居住の用に供されていたことがないことです。したがって、対象になり得る家を短期間でも人に貸すと、その後に売却しても特例は使えません。

期限も二重にかかっています。
控除額は最高3,000万円ですが、令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋および敷地を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります。
適用の可否は建築時期や居住状況など複数の要件で判断が分かれます。貸す前に、税務署または税理士へ確認してください。対象になり得る家かどうかを先に確認しておけば、貸すことで何を手放すのかがはっきりします。
(出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」令和7年4月1日現在法令等)
特例の要件そのものは、相続した空き家はどうする?売却・活用の選択肢と3,000万円特別控除【南城市】で詳しく整理しています。
相続が起きると、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続人が承継します。相続人が複数いる場合、遺産分割が済むまで相続財産は相続人の共有になります(民法第896条、第898条)。
つまり、貸し出す前に相続人と権利関係を確認し、誰が貸主となるのかを明確にしておく必要があります。相続人が複数いる場合は、契約期間や内容によって必要な同意が異なることがあります。
相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されています。登記を済ませてから募集・契約へ進むほうが、貸主の立場も家賃の受け取りもはっきりします。手続きは司法書士へご相談ください。
(出典:e-Gov法令検索「民法」)
詳しくは相続登記の義務化とは?南城市で相続した不動産の手続きと期限をわかりやすく解説をご覧ください。
長く空き家だった実家は、そのままでは貸せないことがあります。一方で、フルリフォームしてから貸すと、家賃で回収するのに長い年数がかかります。
判断の基準は、「入居者の安全と生活に関わる部分か、見た目や快適性の部分か」です。前者は先に直す必要があり、後者は現状に近い状態でも募集できることがあります。
貸す前に対応を検討すべきものと、条件次第で現状に近い状態でも募集できるものを分けて考えます。
貸す前に対応を検討するもの
条件次第で、現状に近い状態でも募集できることがあるもの
貸主には、賃貸物の使用と収益に必要な修繕をする義務があります(民法第606条第1項)。当事者間で異なる特約を結ぶことは可能です。
直さない範囲や、借主が手を加えてよい範囲は、契約書に明記しておきます。口頭の了解だけで済ませると、退去時の原状回復で争いになります。
(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」)
!
注意点
費用を抑えたい場合でも、雨漏りや給排水、電気設備など安全と生活に関わる不具合を残したまま貸すことはおすすめできません。貸主には修繕義務があり、入居後の対応費用や責任の所在があいまいになります。
支出した費用が、その年の必要経費になるか、減価償却で数年に分けるかが変わります。
名目ではなく実質で判定され、建物への付け加え部分、用途変更のための改造・改装、品質や性能の高いものへの取替えは、原則として資本的支出とされています。リフォーム内容によって手取りが変わりますので、工事を発注する前に税理士へ確認することをおすすめします。
(出典:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」)
イエリテの実務から
南城市内で相続された戸建てについて、貸すか売るかを検討されているご相談で、修繕費をかけずに現状のまま貸せないかを一緒に検討したことがあります。
このとき先に行ったのは、家賃の相場だけを調べることではなく、現地を見て建物の状態を確認することでした。雨漏りや水回りの不具合があるかどうかで、必要な費用の桁が変わるためです。
図面や築年数だけでは、直すべき場所は判断できません。現地を確認してから決めるという順番を、私自身は大切にしています。
戸建てを貸すときの契約は、大きく2種類あります。将来その家をどうしたいかによって選び方が変わります。
期間が満了しても、貸主から更新を拒むには正当の事由が必要です。借主が住み続けたい場合、貸主の都合だけで終わらせることはできません。
契約で定めた期間の満了によって、更新されることなく終了する契約です。借地借家法第38条では、次のように定められています。
契約期間が1年以上の場合、貸主は期間の満了の1年前から6か月前までの間に、期間の満了により賃貸借が終了する旨を借主へ通知しなければ、終了を借主に対抗することができません。通知を忘れると、予定していた時期に明け渡しを求められないことがあります。
期間満了後も双方が合意すれば、再契約して住み続けてもらうこともできます。
(出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第38条、国土交通省「定期建物賃貸借Q&A」)
「数年後には自分か子どもが住むかもしれない」「いずれ売りたい」という事情がある実家では、定期借家契約が検討対象になります。ただし、借主にとっては期限のある住まいになるため、募集の条件は普通借家より不利になることがあります。
手続きに不備があると定期借家として扱われないことがあるため、契約書の作成と事前説明は不動産会社や専門家に任せる部分です。

家賃収入は不動産所得として所得税の対象になります。不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
必要経費にできるのは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち、家事上の経費と明確に区分できるものです。貸している建物の固定資産税、火災保険料、管理委託料、減価償却費、修繕費などが該当します。
ただし、所得税の確定申告が必要かどうかは、勤務状況、ほかの所得、不動産所得の金額などによって異なります。年末調整を受けた給与所得者の場合、給与所得および退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超えるときに申告が必要とされています。
判断するときに間違えやすい点を挙げます。
ご自身が申告の対象になるかは、税務署または税理士へご確認ください。
(出典:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」、国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)
手取りを考えるときは、家賃から次を引いた金額で見ておくと実態に近くなります。
なお、空き家を放置し、管理不全空家等または特定空家等として勧告を受けた敷地は、住宅用地の特例の対象から外れることがあります。ただし、賃貸に出せば固定資産税が自動的に下がるという意味ではありません。
(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)
沖縄県の統計では、居住世帯のある住宅に占める非木造住宅の割合は96.5パーセントで、1993年の88.0パーセントから上昇しています。
この数値は沖縄県全体の居住世帯のある住宅に関するもので、南城市だけの割合や、戸建てだけの割合、鉄筋コンクリート造だけの割合を示すものではありません。非木造には鉄筋コンクリート造のほか、鉄骨造なども含まれます。
構造にかかわらず、貸せる状態かどうかは建物ごとに異なります。沖縄県内の住宅で確認しておきたい点として、次が挙げられます。
(出典:沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」)
人に貸す以上、家財を置いたままにはできません。仏壇の承継先が決まらないまま募集を始めると、入居希望者が現れてから慌てることになります。
親族間で承継の話がついていない場合は、貸す準備よりもそちらが先です。進め方は実家を売るとき仏壇(トートーメー)はどうする?沖縄・南城市で確認したい進め方にまとめています。
貸し出したら売れなくなるわけではありません。入居者がいる状態のまま売る方法があり、オーナーチェンジと呼ばれます。買主は、賃貸借契約の貸主の立場をそのまま引き継ぎます。
ただし、空室の状態で売る場合とは、買主層も価格の考え方も変わります。
価格が必ず下がるわけではありませんが、判断の材料が「自分が住みたい家か」から「どれだけ収益が見込めるか」へ変わります。敷金の扱いや契約内容の引き継ぎも整理が必要になるため、通常の売却とは進め方が異なります。
1と2を飛ばすと、後から戻せない部分が出てきます。4を飛ばすと、費用の見込みが立ちません。
✓
次に確認すること
土地も含めた活用方法を比べたい場合は、使わない土地の活用方法|売却・賃貸・駐車場などの選び方と注意点【南城市】もあわせてご覧ください。残すか売るかで迷っている段階であれば、実家は残す?売る?決める前に確認したい「期限のあること」【南城市】から読んでいただくほうが整理しやすいかもしれません。
物件と所有者の事情によって変わります。人が住むことで傷みが進みにくくなり、家賃も入ります。一方で、修繕費が先に出ていくこと、入居者がいる間は自由に売れないこと、特例の対象になり得る家では3,000万円特別控除を使えなくなることは、貸すことで負う制約です。
共有者の一人だけでは進められない場合があります。民法では、建物の賃借権について3年を超えない期間のものは共有物の管理に関する事項とされ、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決めるものとされています。持分割合、契約期間、契約内容によって必要な同意が異なるため、まず共有者間で方針を確認してください。判断が難しい場合は、契約前に弁護士へ確認することをおすすめします。
親族間であっても、書面で契約を結んでおくことをおすすめします。期間・家賃・修繕の分担が決まっていないと、後で話がこじれたときに整理できません。相場と大きく離れた家賃にする場合は、税務上の扱いについて税理士へご確認ください。
管理を委託すれば可能です。入居者からの連絡、家賃の集金、設備の不具合対応、退去時の立ち会いをどこが担うかを、貸し始める前に決めておく必要があります。委託する場合は管理料が家賃から差し引かれます。
修繕費だけが先に出ていくことになります。募集条件を見直す、貸すのをやめて売却に切り替えるといった判断が必要になります。この可能性があるため、修繕にかける金額は回収年数から逆算して決めます。
契約内容の変更が必要になる場合があります。空き家として契約している場合と、人に貸す住宅では扱いが異なることがあります。契約中の保険会社へ、賃貸に出す旨を伝えて確認してください。

家賃の目安だけでなく、建物の状態や修繕の必要性も現地で確認し、貸し出せるかどうかを整理します。まだ貸すと決めていない段階でもご相談いただけます。
(情報確認日:2026年8月5日)
この記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。税務・登記・法律に関する最終的な判断は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家、または税務署・法務局へご確認ください。制度の内容は改正されることがあります。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。