


「親から相続した土地や家の名義が、まだ亡くなった親のままになっている」。南城市や沖縄県南部で不動産のご相談をいただくなかで、こうしたお話を伺うことがあります。
2024年(令和6年)4月1日から、相続登記の申請が法律上の義務になりました。期限内に手続きをしないと、10万円以下の過料の対象になることもあります。
さらに、2024年4月より前に発生した相続も対象です。多くの方にとって、2027年(令和9年)3月31日がひとつの区切りになります。
この記事では、相続登記の義務化とは何か、いつまでに何をすればよいのか、間に合わないときの対処法、手続きの流れと費用までを、はじめての方にも分かるように整理します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月23日
最終更新日:2026年07月23日
情報確認日:2026年07月23日
この記事の目次
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、法務局の登記簿の名義を相続人へ変更する手続きです。
これまでは、名義を変えるかどうかは相続人の判断に任されていました。その結果、名義が何十年も前の所有者のままという不動産が全国的に増え、所有者が分からない土地(所有者不明土地)が社会的な問題になりました。
こうした背景から、不動産登記法が改正され、2024年(令和6年)4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
法務省は、相続により不動産の所有権を取得した相続人について、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられたと説明しています(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)。
つまり、「亡くなったことを知り、かつ、その不動産を自分が相続すると分かった日」から3年以内が期限です。単に亡くなった日から3年ではない点がポイントです。
なお、遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまった場合は、その成立の日から3年以内に、分割の結果に基づく登記を申請する必要があります。
💡
ポイント
期限の起算日は「亡くなった日」ではなく、相続の開始と、自分がその不動産を取得したことを知った日です。遺産分割がまとまった場合は、成立の日から3年以内に別途登記が必要になります。
法務省は「正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となることとされました」としています。
期限を過ぎたからといって、すぐに過料が科されるわけではありません。法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」によれば、登記官はまず義務違反者に対して登記をするよう催告書を送付し、その期限内に登記がされない場合に裁判所へ通知するという流れです。
また、催告を受けた相続人から説明を受けて、登記官が「正当な理由」があると認めた場合には、通知は行われないとされています。
「正当な理由」の例としては、相続人が極めて多数で戸籍関係書類の収集などに多くの時間を要する場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、義務を負う方自身が重病その他これに準ずる事情にある場合などが挙げられています。

見落とされやすいのが、過去の相続もさかのぼって対象になるという点です。
法務省は、施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていないときは、令和9年(2027年)3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降の場合は、その日から3年以内)に相続登記をする必要があるとしています。
2024年4月1日より前に相続が発生し、名義がそのままになっている不動産は、この期限が目安になります。10年前、20年前の相続であっても対象です。祖父母やそれ以前の代の名義のまま残っている不動産がある場合も、同じく手続きの対象になります。
!
古い相続も対象です
「義務化は2024年4月以降に亡くなった場合の話」と受け取られることがありますが、それより前の相続も対象です。名義がご家族の名前のまま残っていないか、一度ご確認ください。
過料だけが理由ではありません。名義をそのままにしておくと、実際の生活や資産の扱いに支障が出ます。
不動産を売却するには、売主が登記名義人であることが前提になります。名義が亡くなった方のままでは、買主へ所有権を移す手続きができません。
そのため、売却の話が進んでから名義の問題に気づくと、相続登記を済ませるまで契約や引き渡しを進められなくなります。金融機関の担保に入れる場合も同様です。
売却の全体像については、南城市の不動産売却の流れもあわせてご覧ください。
相続登記をしないまま年月が過ぎると、相続人自身が亡くなり、その配偶者や子へと相続権が引き継がれていきます。数次相続と呼ばれる状態です。
最初は3人だった相続人が、10年、20年のうちに10人以上になることもあります。全員の合意が必要な手続きでは、人数が増えるほど話し合いは難しくなります。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談のなかには、相続人が複数いらっしゃって、そのうち一部の方と連絡が取りづらく、話し合いが進まないまま時間が過ぎているというケースがあります。
連絡先が分からない、遠方に住んでいて話す機会がない、といった事情が重なると、手続きはそこで止まってしまいます。相続人が少ないうちに着手しておくほど、手続きは進めやすくなります。
遺産分割の話し合いがまとまらない、相続人の把握に時間がかかるといった事情で、3年以内に相続登記を終えられないこともあります。
そうした場合のために、2024年4月から「相続人申告登記」という制度が設けられました。
法務局に対して「自分がこの不動産の相続人です」と申し出ることで、簡易に相続登記の申請義務を履行したものとして扱われる仕組みです(出典:法務省「相続人申告登記について」)。
相続人全員の合意を待たずに、まず義務違反を避けられる点が特徴です。
一方で、相続人申告登記には限界があります。法務省は次の点を挙げています。
相続人申告登記は、期限に間に合わないときの一時的な手当てにあたります。売却や活用を考えているのであれば、最終的には相続登記が必要です。
相続登記は、次のような流れで進みます。
✓
手続きの流れ
相続登記には、登録免許税がかかります。相続による所有権移転登記の税率は、不動産の価額の1000分の4(0.4%)です。
ただし、土地については免税措置があります。不動産の価額が100万円以下の土地について相続による所有権移転登記を受ける場合、令和9年(2027年)3月31日までは登録免許税が課されません(出典:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」)。
この免税を受けるには、申請書にその旨の記載が必要とされています。記載がないと免税措置を受けられないため、ご自身で申請される場合は特にご注意ください。
このほか、戸籍謄本等の取得費用、司法書士へ依頼する場合の報酬がかかります。報酬は事務所や案件の内容によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
イエリテの実務から
手続きが止まりやすいのは、書類集めの段階です。戸籍をさかのぼって相続人を確定する作業には、相続の状況によって相応の時間がかかります。
売却のご相談をいただいた時点で名義が変わっていないと分かり、そこから登記の準備を始めることもあります。売る・売らないを決める前でも、名義がどうなっているかだけは早めに確認しておくと、その後の選択肢を落ち着いて考えられます。
相続登記の義務化に関連して、2026年に新しい制度が始まっています。
亡くなった方がどこにどんな不動産を持っていたか分からない、というケースがあります。
そこで、特定の方が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的にリスト化した証明書を交付する所有不動産記録証明制度が、令和8年(2026年)2月2日から始まりました(出典:法務省「所有不動産記録証明制度について」)。
登記名義人本人のほか、その相続人などが請求できます。全国の法務局・地方法務局で、書面またはオンラインでの請求が可能です。
i
補足
相続した不動産の全体像がつかめないときに使える制度です。固定資産税の納税通知書だけでは、課税されていない土地などが分からない場合があります。
もうひとつ、令和8年(2026年)4月1日から、登記名義人の住所・氏名の変更登記も義務化されました(出典:法務省「住所等変更登記の義務化について」)。
引っ越しや結婚などで住所・氏名が変わった不動産所有者の方が対象です。あらかじめ検索用情報を申し出ておけば、法務局が住所等の変更を確認して登記を行う仕組み(スマート変更登記)も設けられています。
相続登記は、あくまで名義を正しくするための手続きです。その先に、その不動産をどうするかという判断があります。
沖縄県南部では、農地であったり、複数名義の土地であったり、境界がはっきりしていない土地であったりと、不動産ごとに事情が異なります。どの選択が合っているかは、不動産の状態とご家族の状況によって変わります。
建物がある場合は、相続した空き家の扱いもあわせてご検討ください。売却する場合の税金については、不動産売却にかかる税金で整理しています。
なお、相続した土地を手放したいものの引き取り手が見つからない場合には、一定の要件を満たすと土地を国庫に帰属させることができる相続土地国庫帰属制度(令和5年〈2023年〉4月27日開始)もあります。承認を受けた場合は、負担金の納付が必要です(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。
できます。法務局へ必要書類をそろえて申請します。ただし、相続人が多い場合や、数次相続で権利関係が複雑になっている場合は、書類の準備に時間がかかります。判断に迷う場合は司法書士へご相談ください。
まず相続人申告登記を検討してください。単独で申し出ることができ、登録免許税もかかりません。ただし、これだけでは売却ができないため、話し合いがまとまった後に改めて相続登記が必要です。
相続放棄が家庭裁判所で受理された場合、その方ははじめから相続人でなかったものとして扱われます。ただし、ほかの相続人の範囲や手続きに影響するため、放棄を検討している場合は、期限も含めて早めに専門家へご確認ください。
手遅れではありません。古い相続であっても手続きは可能です。ただし、相続人の確定に時間がかかることがあるため、期限を考えると早めの着手をおすすめします。
必ず科されるわけではありません。登記官がまず催告を行い、その期限内に登記がされない場合に裁判所へ通知される流れです。正当な理由があると認められた場合は、通知は行われないとされています(出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。

まず確認していただきたいのは、お手元の不動産の名義が今どうなっているかです。登記事項証明書は法務局で取得できます。名義が亡くなった方のままであれば、そこから手続きが必要になります。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。個別のケースによって、手続きの内容や期限の考え方は異なります。
南城市で相続した不動産の名義や扱いにお悩みの方へ
「名義がどうなっているか分からない」「相続人が何人いるのか整理できていない」という段階でも構いません。まずは現在の状況を一緒に確認し、売る・残す・活用するといった選択肢を整理するところからお手伝いします。登記や税務など専門的な判断が必要な場面では、司法書士や税理士など専門家へのお取り次ぎもあわせてご案内します。南城市および沖縄県南部の不動産について、お気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
相続した不動産の扱いでお悩みの方は、状況を整理するところからお気軽にご相談ください。