

道路に接する部分が狭く、その奥に敷地が広がっている土地を「旗竿地(はたざおち)」と呼びます。旗を竿で立てたような形に見えることから、この呼び方が使われています。南城市など沖縄県南部でも、古くからの集落や、まとまった土地を後から分けた住宅地で見られることがある形状です。
旗竿地を相続した、あるいは所有している方から「このまま売れるのか」「査定額はどれくらい下がるのか」というご相談をいただくことがあります。結論からお伝えすると、旗竿地であること自体が売却の妨げになるわけではありません。ただし、道路との接道長さや竿状部分の幅員、通路部分の権利関係によって、確認しておくべき点がいくつかあります。
道路との接道長さと竿状部分の幅員は、それぞれ別の確認事項です。通路の権利関係で何を確認すればよいのか。建築基準法上の接道義務と、確認すべき事項を順を追って見ていきます。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年08月22日
最終更新日:2026年08月22日
情報確認日:2026年08月22日
この記事の目次
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先に結論
旗竿地は、道路に接する部分(竿の部分)が細長く、その先に主な敷地(旗の部分)が広がっている土地です。法令上の正式な用語ではなく、不動産の実務や日常会話で使われている呼び方です。
このような形状が生まれる背景はさまざまです。もともとまとまった広い土地を、道路に面した部分と奥の部分に分けて相続・分筆した場合や、道路に面した土地に先に家が建ち、残りの奥の土地を通路付きで分けて売却・分与した場合などがあります。南城市を含む沖縄県南部でも、親から子・孫へと土地を引き継ぐなかで、こうした分け方をされた土地が見られます。
旗竿地であることそのものは、法令上の制限ではありません。問題になりやすいのは、道路との接道長さ・竿状部分の幅員と、その部分に関わる権利関係です。買う側が同じ土地の何を確認して判断するのかは旗竿地を買う前に|路地状部分の幅・敷地面積・引込みの確認で整理していますので、買主からどこを尋ねられるかを知っておきたい場合はあわせてご覧ください。

旗竿地の売却では、次の2つを分けて確認します。1つは、敷地が建築基準法上の道路に接する部分の長さ(接道長さ)が基準を満たしているか。もう1つは、竿状部分の途中の幅員・最狭部が十分かです。この2つは別の確認事項であり、どちらか一方だけで再建築の可否を判断できません。
建築基準法第43条第1項は、建築物の敷地は建築基準法上の道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。旗竿地では、竿状部分が道路に接する入り口部分の幅が、この接道長さにあたります。この部分が2メートルに満たない場合、原則としてその土地には新たに建物を建てられません。
すでに建物が建っている旗竿地でも、将来建て替える(再建築する)ときには、その時点の接道義務を満たしている必要があります。入り口部分の幅を測っておくことは、売却前の確認事項の一つです。
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用語解説
入り口部分の接道長さが2メートル以上あっても、竿状部分の途中で幅員が狭くなっている土地があります。竿状部分の途中の幅員は、建築基準法第43条第1項が直接定める数値ではありませんが、避難や通行の安全、建物の用途・規模、地方公共団体の条例等によって、追加の基準が設けられている場合があります。
竿状部分の途中が狭いことだけを理由に、建築基準法第43条第1項によって当然に再建築ができなくなるとは限りません。建物の用途・規模や適用される条例の内容によって扱いが変わるため、竿状部分の幅員に不安がある場合は、南城市を所管する沖縄県南部土木事務所の建築班へ個別に確認することをお勧めします。
建築基準法第43条第2項には、接道義務を満たさない敷地でも建築を認める2つの制度があります。第1号の認定は、幅員4メートル以上の道に2メートル以上接している敷地が対象で、道路との接道長さが2メートルに満たない旗竿地は対象になりません。旗竿地で検討の対象になるのは、第2号の許可(建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可するもの)です。
沖縄県の資料でも、建築基準法上の道路に接していない場合について「沖縄県「建築基準法の道路」」で、認定または許可を受けることにより接道要件を満たす可能性があると説明されています。ただし、これは個別の申請と審査を経て認められるものであり、誰でも当然に受けられる手続きではありません。接道長さが2メートルに満たない土地の売却を検討する場合は、南城市を所管する沖縄県南部土木事務所の建築班へ、許可の見通しを確認することをお勧めします。
建築基準法の接道義務を含む集団規定(同法第41条の2)は、都市計画区域および準都市計画区域内に限り適用されます。南城市では、南城市「南城市の都市計画制度について」によると、平成22年8月10日から「南城都市計画区域」が指定されています。
ただし、市内のどの範囲が都市計画区域に含まれるかは、区域図で個別に確認する必要があります。区域外であれば、接道義務の前提そのものが変わってきます。対象の土地が都市計画区域内にあるかどうかは、南城市の都市計画担当課で確認してください。
入り口部分の接道長さが十分であっても、その先に接している道が建築基準法上の「道路」に当たらなければ、接道義務を満たしたことになりません。
私道のうち、特定行政庁から位置の指定を受けた道路(位置指定道路)や、区域指定の際にすでに建物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道で特定行政庁が指定したもの(いわゆる2項道路)も、建築基準法上の道路として扱われます。2項道路の場合、原則として道路の中心線から2メートル(特定行政庁が指定する区域内では3メートル)の位置が道路境界線とみなされるため、敷地として使える範囲や再建築の条件に影響します。
接道義務そのものについては「再建築不可の土地は売却できる?接道義務と確認の手順」でも整理しています。私道に関する権利関係や道路種別の確認方法は「私道に面した土地は売却できる?通行承諾・掘削承諾の確認と進め方」であわせてご確認ください。
旗竿地の売却相談で実際によく確認することになるのが、竿の部分(通路部分)の権利関係です。竿の部分が自己所有地であっても、隣接地の設備が通っていたり、越境物があったりすると、整理が必要になります。
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確認しておきたい項目
これらは、確認して不足があるからといって、それだけで売却できなくなるわけではありません。買主への説明や条件の調整に時間がかかることがあるため、売却を検討する段階で早めに確認しておくと、進め方の見通しが立てやすくなります。
宅地建物取引業法第35条第1項第3号は、宅地建物取引業者が売買契約(建物の貸借を除く)の重要事項として、私道に関する負担に関する事項を説明しなければならないと定めています。竿の部分に私道が含まれる場合、この私道負担の内容(持分の有無、維持管理の負担など)を確認・説明します。
一方、通行承諾書・掘削承諾書は、法律で取得が義務づけられている書面ではなく、宅地建物取引業法第35条第1項第3号の「私道に関する負担」そのものを直接定めた書面でもありません。承諾書の要否や、過去の承諾が現在の所有者に引き継がれるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれます。書面がある場合は内容・当事者・承継関係を確認し、無い、または古い場合も、それだけで一律の法的結論を出さず、現状を整理したうえで買主や仲介する不動産会社へ正確に伝えることが前提になります。
給排水などの設備の整備状況や利用関係も、私道負担・通行掘削の承諾とは別に確認する事項です。
権利関係の法的な判断や、承諾を得るための交渉が必要な場合は、弁護士へご相談ください。
竿の部分の下に、水道管・ガス管などの設備が通っており、その一部が他人の土地にかかっている、あるいは他人の設備を利用しているケースもあります。
民法第213条の2では、電気・ガス・水道水などの継続的な供給を受けるために必要な範囲で、他の土地に設備を設置したり、他人が所有する設備を使用したりできると定められています。ただし、これは無条件に工事ができるという内容ではありません。損害が最も少ない場所・方法を選ぶこと、あらかじめ目的・場所・方法を通知すること、土地の損害に対して償金を支払うことなどが、あわせて定められています。
この規定は2023年4月1日に施行された改正民法によるものです。承諾書が一切不要になったという意味ではなく、実際の工事にあたって水道事業者や工事業者が書面の提出を求める場合もあります。個別の状況に応じた判断は、弁護士や施工事業者へ確認してください。
竿の部分に、隣接地からの塀や庇などがはみ出している状態も、旗竿地では見られます。
民法第233条は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときに、竹木の所有者に切除させることができると定めています。2023年施行の改正により、催告しても相当期間内に切除されないとき、竹木の所有者が不明なとき、急迫の事情があるときは、自ら枝を切り取ることができるとされました。根については、これまでどおり自ら切り取ることができます。
一方で、この規定が対象とするのは竹木の枝・根であり、塀や庇といった工作物の越境は、条文の対象ではありません。工作物の越境をどう解消するかについて、一律のルールを定めた法令は確認できませんでした。当事者間の協議や、必要であれば法的な手続きによることになります。越境物がある場合は、隣接地の所有者と早めに話をし、対応方針を弁護士に相談することをお勧めします。
越境物への対応方法は「越境物がある土地は売却できる?確認方法と3つの対処法」で整理しています。境界そのものがはっきりしない場合は「境界が分からない土地は売却できる?沖縄で売る前に確認することと対処法」もあわせてご覧ください。
査定額への影響を考えるときは、市場価値としての査定額と、相続税評価は別の話であることを押さえておくと理解しやすくなります。
旗竿地は、接道条件、建築可否、通路部分の使いやすさ、権利関係の整理状況、有効に使える宅地部分の広さ、想定される買主層などにより、査定額へ影響する場合があります。竿状部分が建築基準法上の接道義務を満たしているか、再建築が可能かどうか、通路部分の権利関係が整理されているかによっても変わります。
同じ「旗竿地」でも、これらの条件によって影響の度合いは大きく異なります。一律の下落幅をあらかじめお伝えすることはできません。正確な査定額は、個別の物件を確認したうえでお伝えします。
旗竿地を相続した場合、相続税の財産評価では、その形状や接道状況に応じて、国税庁「財産評価基本通達」第20(不整形地の評価)、第20-3(無道路地の評価)、第20-4(間口が狭小な宅地等の評価)などが関係することがあります。「旗竿地だから必ずこの補正」と一つに決まるものではなく、個別の土地の形状・接道状況によって、どの規定が関係するかが変わります。
いずれも相続税・贈与税を計算するための評価額であり、実際の売却価格(市場価値)そのものを示すものではありません。相続税評価が下がることと、売却時の査定額が同じ割合で下がることは、必ずしも一致しません。相続税評価の具体的な取り扱いや計算方法については、税理士へご確認ください。
旗竿地の売却では、買主が住宅ローンを利用できるかどうかも気になるところです。
住宅金融支援機構が扱う【フラット35】対象となる住宅・技術基準では、原則として一般の道に2メートル以上接することが、対象となる住宅の敷地の基準の一つとされています。旗竿地でも、竿の部分がこの基準を満たしていれば、この点では支障になりません。
民間の金融機関については、審査基準が金融機関ごとに異なり、旗竿地であることがどの程度影響するかを一律に示す公的な資料は確認できませんでした。「旗竿地だからローンが組めない」と一概にはいえませんが、買主が利用する金融機関によって判断が分かれる可能性がある点は、あらかじめ想定しておくとよいでしょう。
案件によって前後することはありますが、次の流れが目安になります。
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手続き上の注意
道路との接道長さが接道義務を満たさない場合、建築審査会の同意を得た特定行政庁の許可を受けられる可能性はありますが、必ず受けられるとは限りません。売却の期限が決まっている場合は、早めに南部土木事務所へ確認してください。見通しが立たない場合は、隣地の一部を買い増して接道長さを2メートル以上確保する、あるいは隣地所有者への売却を検討するといった選択肢もあります。価格や買主層の想定を見直すことも含め、早めに整理することをお勧めします。
| 相談先 | 担当する範囲 |
|---|---|
| 法務局 | 公図・登記事項証明書の取得、名義・持分・登記された権利の確認 |
| 沖縄県 南部土木事務所 建築班 | 建築基準法上の道路種別の確認、接道義務・認定/許可の相談 |
| 南城市役所 | 都市計画区域の確認、市道や道路に関する手続き |
| 弁護士 | 通路部分の権利関係、越境物への対応、承諾に関する交渉の判断 |
| 司法書士 | 相続登記、名義変更の手続き |
| 土地家屋調査士 | 測量、境界の確認、竿の部分の実測 |
| 税理士 | 相続税評価(不整形地・間口狭小・無道路地等の各補正)の計算、申告 |
| 不動産会社 | 売却の進め方、査定、買主層の整理、専門家への橋渡し |
道路種別や接道義務の判断は行政、権利関係の法的な判断は弁護士、登記は司法書士、測量と境界は土地家屋調査士、税務は税理士が担います。不動産会社は、売却方法・査定・買主層の整理と、専門家への橋渡しを行います。権利関係の有無そのものを不動産会社が判断することはできません。
必ずとはいえません。接道条件、建築可否、通路部分の使いやすさ、権利関係の整理状況、有効に使える宅地部分の広さ、想定される買主層などにより、査定額へ影響する場合があります。一律の下落幅をあらかじめお伝えすることはできません。正確な査定額は、個別の物件を確認したうえでお伝えします。
売却自体はできます。ただし、道路との接道長さが2メートル未満の場合、新たに建物を建てる(建て替える)ことは、原則として難しくなります。建築基準法第43条第2項第2号の許可(建築審査会の同意を得たもの)を受けられる可能性はありますが、当然に受けられるものではないため、南部土木事務所の建築班へ確認することをお勧めします。竿状部分の途中だけが狭い場合は、接道義務そのものとは別の確認事項になるため、あわせて建築班へご確認ください。隣地の一部を買い増して接道長さを確保する、隣地所有者への売却を検討するといった選択肢もあります。
売却できなくなるわけではありませんが、買主や仲介する不動産会社への説明が必要になります。承諾書以外にも、私道持分、登記された権利、過去の契約書などが根拠になる場合があります。私道が含まれる場合の私道負担の説明と、通行・掘削の承諾の有無は別の確認事項です。権利関係の判断は弁護士へご相談ください。
民法第233条が対象とするのは竹木の枝・根であり、塀などの工作物には適用されません。隣接地の所有者と話し合い、対応方針を弁護士へ相談することをお勧めします。
【フラット35】では、原則として敷地が一般の道に2メートル以上接することが基準の一つとされています。基準を満たしていれば、この点では支障になりません。民間の金融機関の審査基準は金融機関ごとに異なるため、個別に確認が必要です。
土地の形状や接道状況により、不整形地の評価、間口が狭小な宅地・奥行が長大な宅地の評価、接道義務を満たさない場合の評価などが関係することがあります。「旗竿地だから必ずこの補正」と一つに決まるものではありません。いずれも相続税・贈与税を計算するための評価額であり、実際の売却価格とは別の話です。具体的な取り扱いは税理士へご確認ください。
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次に行うこと
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。旗竿地の権利関係や建築基準法上の扱いは、個別の物件・事情によって異なります。
売ると決めていない段階のご相談でも構いません。接道長さ・竿状部分の幅員の状況、通路部分の権利関係など、何から確認すればよいかを整理するところからお手伝いしています。県外にお住まいの方からのご相談もお受けしています。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
南城市や沖縄県南部の土地売却について、地域事情や土地の条件を踏まえてご提案します。