


「実家をどうするか、兄弟の間で話がまとまらない」「話し合いを始めたものの、連絡のつかない相続人がいる」。南城市や沖縄県南部で相続した不動産のご相談をいただくなかで、こうしたお話を伺うことがあります。
先にお伝えすると、相続した不動産を売却するには、原則として、その不動産について権利を持つ共同相続人全員の合意が必要です。遺産分割協議がまとまらない間は、売却の手続きに進めません。
ただ、話し合いが止まっている間も、相続登記の申請期限や税の手続きは進んでいきます。固定資産税や草木の管理といった負担も、その間ずっと続きます。
この記事では、なぜ合意がないと売れないのか、まとまらなくても進んでしまう3つの期限、協議中の管理と費用、話し合いが止まりやすいきっかけ、そして自分で確認できることと家庭裁判所の手続きまでを順番に整理します。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年7月26日
最終更新日:2026年7月26日
情報確認日:2026年7月26日
この記事の目次
結論からお伝えすると、不動産全体を売るには相続人全員の合意が必要です。一人でも売却に反対している方がいる間は、契約に進めません。
一方で、合意ができていなくても進められることはあります。売却そのものは止まっていても、判断材料をそろえる作業は動かせます。
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先に結論
遺産分割が終わるまで、相続した不動産は相続人全員の「遺産共有」の状態にあります。売却には全員の合意が必要ですが、査定・現況確認・相続人の調査は、お一人でも進められます。

相続人が複数いる場合、亡くなった方の財産は、遺産分割が終わるまで相続人全員が共有している状態になります。これを遺産共有といいます(民法第898条第1項)。各相続人の持分は、原則として法定相続分の割合で算定されます(同条第2項)。
大切なのは、遺産共有は登記の有無と関係なく、その状態にあるということです。登記簿の名義が亡くなった方のままでも、実際には相続人全員が関係者になっています。
ここで混同しやすいのが、「法定相続分による共有登記」との違いです。
| 遺産共有 | 法定相続分による共有登記 | |
|---|---|---|
| どういう状態か | 遺産分割が終わるまで、法律上そうなっている状態 | 相続人が登記の名義を法定相続分どおりに入れた状態 |
| 登記との関係 | 登記をしていなくてもこの状態 | 登記簿に各相続人の持分が記載される |
| 解消する方法 | 遺産分割(話し合い、または家庭裁判所の手続き) | 共有をやめるには、改めて持分の移転や共有物分割が必要 |
| 売却するには | 相続人全員の合意 | 共有者全員の合意 |
法務省の資料では、相続開始から10年を過ぎて分割の基準が法定相続分に変わった場合でも、分割の方法は基本的に遺産分割であり、共有物分割ではないと整理されています(出典:法務省「具体的相続分による遺産分割の時的限界」)。
法定相続分で登記をしても、それで遺産分割が終わったことにはなりません。登記の形は変わっても、売るときに全員の合意が要る点は変わらないのです。
話し合いがまとまっていない段階でも、次のように動かせる部分があります。
| 合意がなくてもできること | 相続人全員の合意が必要なこと |
|---|---|
| 登記事項証明書を取り、名義と権利関係を確認する | 不動産全体を売る契約を結ぶ |
| 不動産の査定を受け、おおよその価格を把握する | 建物を解体する |
| 現地の状態(建物の傷み、境界、越境など)を確認する | 遺産分割協議書に基づく相続登記 |
| 固定資産税の課税明細で評価額を確認する | 大きく用途を変える工事をする |
| 戸籍を集めて相続人の範囲を確定する | |
| 相続人申告登記を単独で申し出る |
査定や現況の確認は、相続人のお一人からでもお受けできます。いくらの資産を分けようとしているのかが分からないままでは、話し合いのしようがないという場面もあるためです。
なお、遺産分割の前に自分の相続分を第三者へ譲る「相続分の譲渡」と、共有登記をした後に不動産の持分を売ることは、法律上の扱いが異なります。いずれも第三者へ権利を移す方法はありますが、買主は限られ、協議や共有関係を複雑にする可能性があります。検討する場合は、事前に弁護士または司法書士へご確認ください。
話し合いが止まっていても、手続きの期限は待ってくれません。相続した不動産で意識しておきたい期限は3つあります。
いずれも「協議が終わってから数える」ものではない点に注意してください。
2024年(令和6年)4月1日から、相続登記の申請が義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。遺産分割が成立した場合は、その成立の日から3年以内に、結果に基づく登記が必要です。
正当な理由がないのに申請しなかったときは、10万円以下の過料の対象になることがあります。登記官が違反を把握した場合、まず相当の期間を定めて申請するよう催告が行われ、それでも申請がないときに裁判所へ通知される流れです。
2024年4月1日より前に相続した不動産で登記がまだの場合は、2027年(令和9年)3月31日までが期限とされています(出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。
「協議がまとまらないから登記もできない」という状況でも、後ほど紹介する相続人申告登記という選択肢があります。制度の詳細は「相続登記の義務化と期限の詳細」でも整理しています。
相続税の申告が必要な場合、期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。この期限も、遺産分割が終わるかどうかとは関係なく進みます。
注意したいのは、申告期限までに分割されていない財産は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の対象にならないという点です。
ただし、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて提出しておけば、申告期限から3年以内に分割できた場合に、その分割に基づいて更正の請求ができます。更正の請求は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に行う必要があります(出典:国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」、国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」)。
3年以内に分割できないやむを得ない事情がある場合は、別途「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」の提出と承認が必要です。
税額の計算や特例が使えるかどうかの判断は、税理士へご相談ください。相続税の申告が必要かどうかも、財産の総額によって変わります。
2023年(令和5年)4月1日に施行された改正で、相続開始から10年を過ぎた後にする遺産分割は、原則として法定相続分(または指定相続分)によることになりました。
10年を過ぎると、生前に受け取った援助(特別受益)や、介護などの貢献(寄与分)を反映した「具体的相続分」による分割を求められなくなります。例外として、10年経過前に相続人が家庭裁判所へ遺産分割の請求をしていた場合などは、引き続き具体的相続分による分割ができます。
また、10年を過ぎた後でも、相続人全員が合意すれば具体的相続分による分割は可能です。話し合いの余地が完全になくなるわけではありません。
2023年4月1日より前に開始した相続にも経過措置がありますが、具体的な期限は相続開始日によって異なります。ご自身のケースは弁護士または家庭裁判所へご確認ください(参考:法務省「不動産を相続した方へ」)。
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期限の確認ポイント

分割が決まらない間も、固定資産税の納付や建物・土地の管理は発生します。「誰が払い、誰が手入れをするのか」があいまいなまま時間が過ぎると、後の話し合いがさらに難しくなります。
ここでは、実務で問題になりやすい4つを整理します。負担の割り方は相続人の間の取り決めによる部分が大きいため、記録を残しておくことをお勧めします。
固定資産税は、毎年1月1日時点で登記簿に所有者として記載されている方に課税されます。その所有者が亡くなっている場合は、その不動産を現に所有している方(相続人)が納税義務を負うことになります(地方税法第343条第2項)。相続人が複数いるときは、共有物として連帯して納税する義務を負います(参考:総務省「所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応」)。
南城市では、「相続人代表者指定届 兼 固定資産現所有者申告書」を提出し、市からの書類を受け取る代表者を届け出る取扱いになっています。これは、市町村の条例で現所有者に申告を求めることができるとする地方税法第384条の3にもとづくものです。様式や提出方法は、南城市役所税務課へご確認ください。
ここで誤解しやすいのが、この届出は「誰がその不動産を相続するか」を決めるものではないという点です。南城市も、この届出は相続を終えるまでの間の書類の受領等の代表者を定めるもので、登記上の所有権や相続税とは関係しないと案内しています。
代表者に指定された方が立て替えて納付し、後の遺産分割で精算するケースもあります。誰がいくら負担したかを記録しておくと、精算の話し合いが進めやすくなります。
誰も住まなくなった実家は、協議中であっても管理の対象になります。空家等対策の推進に関する特別措置法では、所有者等に空き家を適切に管理する努力義務が定められています。2023年(令和5年)12月13日に施行された改正では、国や自治体の施策に協力する努力義務も加わりました。
そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家は、管理不全空家等として市区町村長から指導・勧告を受けることがあります(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について」)。
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注意点
勧告を受けた管理不全空家等は、固定資産税の住宅用地特例(評価額を6分の1にするなどの軽減)が解除されます。その結果、税負担が増えることがあります。
すべての空き家がただちに勧告を受けるわけではなく、判断するのは市区町村です。
雨漏りや草木の繁茂が進むほど、売却や活用の選択肢が狭くなる点は共通しています。南城市では、空き家に関する相談を生活環境課が、特定空家等に対する措置を都市計画課が担当しています。
相続した空き家の売却と税の特例については「相続した空き家の売却と3,000万円特別控除」で詳しく整理しています。
共有している物の管理にかかる費用は、各共有者が持分に応じて負担するのが民法の原則です(民法第253条第1項)。遺産共有の状態にある不動産も、この考え方が基本になります。
雨漏りの応急処置のように、現状を維持するための行為(保存行為)は、各共有者が単独ですることができます。ただし、費用を後から他の相続人へ請求する場面では、金額や必要性をめぐって話がこじれることもあります。
見積書・領収書・工事前後の写真を残しておくと、精算の根拠になります。大きな出費が見込まれる場合は、着手前に相続人へ連絡しておくほうが安全です。
火災保険は、契約者が亡くなった後の名義や引き受けの取扱いが契約ごとに異なります。空き家になったことで条件が変わることもあるため、加入している保険会社へ早めに確認してください。
草刈りやごみの片付けのように、現状を保つための行為は保存行為にあたると考えられ、相続人のお一人でも行えます。ただし、どこまでが保存行為にあたるかは事案によって異なります。
南城市は所有地の適正な管理として、道路に接する民地の樹木や生垣の早めの剪定・伐採・除草、畑や荒地から道路へ土砂が流出しないための対策と流出時の撤去・清掃、台風や大雨の前の雨水ますの落ち葉・ごみの除去を呼びかけています。
沖縄では夏場に草木の伸びが早く、台風の後に枝や瓦が飛散することもあります。県外にお住まいの相続人だけでは対応が難しい場合、地元の相続人が管理を担う形になりやすい点も、話し合いのときに共有しておきたいところです。
樹木の繁茂や枝葉の越境については南城市生活環境課、道路への土砂流出などについては施設管理課が窓口です。
話し合いが進まない理由は、相続人どうしの感情だけとは限りません。手続きや情報の面で止まっていることもあります。
心当たりのあるものがないか、確認してみてください。
誰が相続人なのかが決まらないままでは、協議を始めても結論を出せません。
相続が発生してから長い時間が経っていると、最初の相続人がすでに亡くなり、その方の相続人へと権利が引き継がれていることがあります(数次相続)。会ったことのない親族が相続人に含まれることもあります。
戸籍をさかのぼって相続人を確定させる作業は、司法書士や弁護士へ依頼できます。名義が古いまま放置されている土地については「祖父名義のままの土地を売るまでの流れ」でも整理しています。
「実家は3,000万円くらいの価値があるはずだ」「いや、あの場所では売れない」。金額の見立てがそろわないまま話し合うと、条件を比べようがありません。
不動産は預貯金と違い、金額が一つに決まりません。相続税評価額、固定資産税評価額、実際に売れる見込みの価格は、それぞれ異なります。
査定書のように全員が同じ資料を見られる状態を作ると、議論の土台がそろいます。査定の種類については「机上査定と訪問査定の違い」で説明しています。
売って分けたい方と、実家として残したい方がいる場合、金額の問題ではなく方針の対立になります。
このときは、「残す場合は誰が管理し、費用をどう負担するのか」「残した後、次の代へどう引き継ぐのか」まで具体化すると、判断しやすくなります。残すという選択肢を検討する材料は「実家を残すか売るかを判断するときの考え方」にまとめています。
住所が分からない、手紙を出しても返事がないという場合、協議そのものが始められません。
戸籍の附票をたどると住所を確認できることがあります。それでも所在が分からないときは、家庭裁判所の手続きを検討することになります。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談では、相続登記が済んでいない不動産について、査定や現地の確認からご依頼をいただくことがあります。
その際、登記簿を確認すると名義が前の世代のままだったり、相続人の範囲がはっきりしていなかったりして、そこから先の手続きが止まってしまうケースがあります。
査定額が分かっても、誰と何を決めればよいかが定まらないと話し合いは進みません。まず名義と権利関係を確認しておくと、その後の相談がずいぶん進めやすくなります。
行き詰まったと感じたときほど、事実の確認に戻ると次の一歩が見えてきます。ここで挙げる3つは、相続人のお一人でも進められます。

法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の名義を確認します。誰でも手数料を払えば取得できます。
確認したいのは、名義が誰か、抵当権などの担保が残っていないか、土地が何筆に分かれているかです。名義が祖父や曽祖父のままであれば、相続人の範囲を確定する作業から始まります。
建物の傷み具合、境界標の有無、越境の有無、接道の状況を確認します。あわせて、査定で売却の見込み価格を把握します。
分けようとしているものの中身が分かって初めて、「代償金を払って一人が取得する」「売って分ける」といった選択肢を比べられます。
3つの期限は、すべて同じ日から数えるわけではありません。被相続人が亡くなった日と、ご自身が相続の開始や不動産の取得を知った日を確認してください。
相続が古い場合ほど、10年ルールと相続登記の経過措置の両方が関わってきます。残り時間が分かると、話し合いに期限を設けやすくなります。
話し合いだけでは進まないときに取れる方法を整理します。どれが適しているかは事情によって異なり、順番に試すものでもありません。
相続人申告登記は、期限内に相続登記をすることが難しい場合に、簡易に申請義務を果たせる仕組みです。登記名義人について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出ます。
特定の相続人が単独で申し出ることができ、他の相続人の協力は必要ありません(出典:法務省「相続人申告登記について」)。
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手続き上の注意
相続人申告登記は、申し出をした相続人についてのみ義務を履行したものとみなされます。遺産分割が成立した後の登記義務を、この申告で果たすことはできません。
所有権が確定する登記ではないため、これで売却できるようになるわけでもありません。協議が長引く間に過料の対象となることを避けるための手段です。
相続人の間で話し合いがつかない場合、家庭裁判所の遺産分割の調停または審判を利用できます。
調停は、相続人のうち1人または何人かが、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。調停委員が双方から事情を聴き、必要な資料や鑑定を踏まえて、合意に向けた話し合いを進めます。
調停が成立しなかった場合は、自動的に審判の手続きが始まり、裁判官が一切の事情を考慮して結論を出します。申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所です(出典:裁判所「遺産分割調停」)。
期間や費用は事案によって大きく変わります。申立てを検討する段階で、弁護士へ相談することをお勧めします。
従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みのない方(不在者)に財産の管理人がいない場合、家庭裁判所は申立てにより、財産管理人の選任などの処分をすることができます。
選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所から権限外行為の許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割や不動産の売却に関与できます。申立てができるのは、不在者の配偶者、相続人にあたる方、債権者などの利害関係人です(出典:裁判所「不在者財産管理人選任」)。
生死不明の状態が続いている場合には、失踪宣告という手続きもあります。
遺産分割が終わっていなくても、法定相続分の割合で相続登記をすることは可能です。登記だけを先に進めたい場合の方法として挙げられます。
ただし、この登記で共有名義になった後も、不動産全体を売るには共有者全員の合意が必要です。登記が動いても、決められない状態は解消しません。
さらに、共有者が亡くなれば持分が次の世代へ引き継がれ、関係者が増えていきます。共有名義になった後の進め方は「共有名義になった不動産を売却するときの進め方」で整理しています。登記の方法や順序については、司法書士へご相談ください。
遺産分割は、複数の専門家が関わる場面です。どこに何を相談すればよいかを整理しておくと、遠回りを減らせます。
| 相談先 | 主に扱うこと |
|---|---|
| 弁護士 | 相続人どうしの争い、調停・審判の代理、遺産の範囲をめぐる争い |
| 司法書士 | 相続登記、相続人申告登記、相続人の調査 |
| 税理士 | 相続税の申告、特例が使えるかの判断、譲渡所得の試算 |
| 土地家屋調査士 | 測量、境界の確定、分筆 |
| 家庭裁判所 | 遺産分割調停・審判、不在者財産管理人の選任、失踪宣告 |
| 法務局 | 登記の手続き、登記事項証明書の取得 |
| 南城市役所 | 固定資産税の届出、空き家・所有地の管理に関する相談 |
| 不動産会社 | 査定、現況の確認、売却や活用の進め方の整理 |
当社がお手伝いできるのは、不動産の評価と現況の確認、売却や活用の選択肢の整理です。法律上の判断や登記、税額の計算は、それぞれの専門家が窓口になります。
地域によって、相続の話し合いで論点になりやすい事情があります。南城市や沖縄県南部でご相談を受けるなかで、確認しておきたいと感じる点を挙げます。
沖縄県南部では、代々受け継いできた土地の名義が、亡くなった祖父や曽祖父のままになっていることがあります。
名義が古いほど相続人の人数は増え、面識のない親族と協議することになります。相続人が10人を超えると、全員から署名と実印をもらうだけでも時間がかかります。
こうした土地は、売却の話が出てから慌てて調べるより、話し合いを始める前に戸籍と登記簿を確認しておくほうが進めやすくなります。
沖縄県外へ進学や就職で移り住んだご家族が相続人に含まれることがあります。
距離があると、現地の状態を実感しにくく、「まだ住めるのではないか」「解体費用がかかるとは思わなかった」と受け止めが分かれることがあります。
写真や査定書、現況の資料を共有し、全員が同じ情報を見られるようにしておくと、認識の差が縮まります。書類のやり取りには郵送の日数もかかるため、日程には余裕を持たせてください。
沖縄では、仏壇(トートーメー)やお墓を誰が引き継ぐかが、実家の扱いと結びついて語られることがあります。
法律上、系譜・祭具・墳墓といった祭祀に関する財産は、遺産分割とは別の扱いになります。「仏壇を継ぐ人が不動産も相続する」と法律で決まっているわけではありません。
一方で、実際の話し合いでは、承継者の負担をどう考えるかが論点になります。遺産分割の中で調整するのか、別の問題として整理するのかを、早い段階で共有しておくと混乱を防げます。
仏壇の移動や実家の扱いについては「実家を売るときの仏壇(トートーメー)の考え方」でも触れています。
当事者間の話し合いだけで不動産全体を売る場合は、原則として共同相続人全員の合意が必要です。遺産分割が終わるまで、その不動産は相続人全員の共有だからです。
ただし、遺言の内容や家庭裁判所の手続きによって、扱いが異なる場合があります。
反対している理由が「金額に納得できない」「思い出があるから」など、内容によって取れる対応は変わります。査定額を共有する、代償金を支払って一人が取得する方法を検討するなど、選択肢を並べてみてください。
査定や現況の確認は、相続人のお一人からでもお受けできます。査定を受けたことで、売らなければならなくなるわけではありません。
分ける対象の価値が分からないままでは、話し合いの土台ができません。金額の目安を持ってから全員で相談したい、という段階でもご利用いただけます。
目的によって、取れる方法が変わります。相続人申告登記は、自分が相続人であることを単独で申し出て、申請義務を果たすための仕組みです。所有権を確定する登記ではありません。
法定相続分による相続登記であれば、名義を相続人へ移すことはできます。ただし、それで遺産分割が終わるわけではなく、売却するには改めて全員の合意が必要です。
どちらが適しているかは、期限までの残り時間や今後の予定によって変わります。司法書士へご確認ください。
傷んだ食品を処分するなど、現状を保つための最低限の対応は行えると考えられます。一方で、家財も相続財産にあたるため、価値のあるものや思い出の品の処分は、相続人へ確認してから進めるほうが安全です。
片付ける前に写真を撮り、何をどうしたかを記録しておくと、後の説明がしやすくなります。
注意していただきたいのは、相続放棄を検討している方がいる場合です。相続財産を処分すると、相続を単純承認したものとみなされることがあります(民法第921条)。相続放棄は原則として相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続きです(参考:裁判所「相続の放棄の申述」)。片付けの前に弁護士または司法書士へご相談ください。
権利を移す方法はありますが、遺産分割の前と後で法律上の扱いが異なります。分割前に相続分そのものを譲る「相続分の譲渡」と、共有登記をした後に不動産の持分を売ることは、別の手続きです。
いずれの場合も買主は限られ、価格が低くなりやすい傾向があります。第三者が加わることで、その後の協議や共有関係が複雑になる可能性もあります。
どちらに当たるか、どのような影響があるかは事情によって変わります。検討する前に、弁護士または司法書士へご確認ください。
書類のやり取りや代理人への委任で進められます。遺産分割協議書へは、相続人それぞれが実印を押し、印鑑証明書を添えるのが一般的です。
郵送で書類を回す場合、人数が多いほど日数がかかります。誰がいつまでに何を返送するかを決めておくと、手続きが止まりにくくなります。

話し合いがまとまらないからといって、急いで売却を決める必要はありません。まずは名義・権利関係・期限を整理しておくと、次の話し合いで何を決めればよいかがはっきりします。
情報がそろえば、売る・残す・活用するのどれを選ぶにしても、判断の材料が変わってきます。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。必要な手続き・期間・費用は、個別のケースによって異なります。
相続人の間の争いや調停の手続きに関する判断は弁護士、相続登記や相続人の調査は司法書士、相続税や譲渡所得の判断は税理士、土地の面積や境界に関わる事項は土地家屋調査士が窓口です。固定資産税の届出や空き家に関する取扱いは、南城市役所へご確認ください。
法令や制度は変更されることがあります。手続きの際は、最新の情報をお確かめください。
南城市で、遺産分割協議が進んでいない不動産のご相談
話し合いがまとまっていない段階でも構いません。登記事項証明書を一緒に確認しながら、名義が誰のままか、売るとしたらどのくらいの価格が見込めるのかを整理するところからお手伝いします。
査定は相続人お一人からでもお申し込みいただけます。期限に関する確認事項を整理し、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士などの相談先をご案内します。南城市および沖縄県南部の不動産について、お気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
相続した不動産の扱いでお悩みの方は、状況を整理するところからお気軽にご相談ください。