

執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年08月20日
情報確認日:2026年08月20日
相続や転勤をきっかけに戸建てを貸すことになったとき、家賃の額と同じくらい悩むのが「どんな人に貸すか」です。申込書に書かれた情報だけで、この人に貸して大丈夫だろうかと迷う所有者は少なくありません。
入居審査は、貸主が入居希望者の支払い能力や契約の継続性を確認する手続きです。基準を決めずに感覚だけで判断すると、家賃滞納や近隣トラブルにつながるリスクを見落としやすくなります。一方で、確認しすぎて特定の属性の方を一律に断ってしまうと、法令上の問題につながることもあります。
何を、どこまで確認すればよいのか。保証人と保証会社の違いや、個人情報の扱いも含めて整理します。
この記事の目次
入居審査で貸主が確認する主な項目は、次のとおりです。
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入居審査で確認する主な項目
これらを組み合わせて、家賃を継続して支払えるか、契約どおりに使用してもらえるかを判断します。1つの項目だけで可否を決めるのではなく、複数の情報をあわせて総合的に見ることが基本です。
家賃を継続して支払えるかどうかを判断する材料として、収入と勤務先の状況を確認します。給与明細や源泉徴収票、勤続年数などから、家賃に対して無理のない収入かどうかを見ます。
一般的な目安として、家賃が月収の3分の1程度までにおさまっているかを確認する運用がありますが、これは法令で定められた基準ではありません。手取り収入、他の固定的な支出、世帯収入、預貯金の状況、保証会社の審査結果など、複数の要素を組み合わせて判断されるのが実情で、月収の3分の1を超えたら一律に契約できないというものでもありません。
入居目的や家族構成も、審査で確認しておきたい項目です。単身での入居か、家族での入居か、転勤による一時的な入居かによって、物件の使い方や退去のタイミングの見込みが変わります。
戸建てはマンションと違い、庭や駐車場、隣家との距離など、物件ごとの事情が入居後の暮らし方に影響しやすい面があります。申込者がどのような使い方を想定しているかを、契約前に確認しておくと、入居後の認識のずれを防ぎやすくなります。

入居審査では、申込者本人の支払い能力や家族構成といった「属性」を確認しますが、戸建てを貸す場合は、物件の使い方に関わる「利用条件」もあわせて確認しておくと、入居後の認識のずれを防ぎやすくなります。人の属性を審査することと、物件の使い方に関する契約条件を確認することは別の観点であり、混同しないことが大切です。
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戸建てで確認しておきたい利用条件の例
このほか、庭や外構など、借主が管理する範囲が物件によって異なる場合もあります。これらは物件ごとに事情が異なるため、一律の審査基準として扱うのではなく、契約前の確認事項として個別に整理することが基本です。
家賃滞納への備えとして、連帯保証人を立ててもらう方法と、家賃債務保証業者(保証会社)と契約してもらう方法があります。人の属性を審査する話とは別に、どちらの仕組みを使うかという契約上の設計もあわせて確認しておく必要があります。
近年は、連帯保証人だけでなく、家賃債務保証業者(保証会社)を利用する賃貸借契約が広がっています。保証会社を利用する場合は、連帯保証人とは異なる確認項目があるため、契約前に整理しておくと安心です。
| 連帯保証人 | 家賃債務保証業者(保証会社) | |
|---|---|---|
| 保証する主体 | 親族等の個人 | 保証会社(法人) |
| 保証額の上限 | 契約書に定める極度額の範囲内 | 保証委託契約の内容による |
| 主な契約・手続 | 貸主と連帯保証人との保証契約 | 借主による保証委託契約など。具体的な契約関係は保証会社の商品・契約内容による |
| 貸主が主に確認すること | 保証人本人の支払い能力、極度額の設定 | 保証内容・利用条件・審査の流れ |
保証会社を利用する場合、貸主側で確認しておきたい項目の例は次のとおりです。
国土交通省は、一定の要件を満たす家賃債務保証業者を登録する制度を設けています。この制度は任意登録制度のため、登録がなければ営業できないわけではなく、登録業者であれば必ず安全というものでもありません。業者選びの判断材料の一つとして、国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」のサイトで登録業者の一覧を確認できます。
給与所得者であれば、給与明細や源泉徴収票で収入を確認しやすい一方、自営業やフリーランスの申込者は、収入証明の出し方が定型化しにくく、判断に迷う場面があります。
イエリテの実務から
当社が対応した入居審査のなかには、自営業で収入証明が弱い申込者への対応で判断に迷ったケースがありました。給与明細のような形式的な書類だけでは支払い能力を測りにくく、確定申告書の控えや直近の入出金の状況など、複数の資料をあわせて確認しました。
収入証明が弱いことだけを理由に一律で断るのではなく、保証会社の利用や預貯金の状況など、他の材料と組み合わせて判断することで、無理のない審査につながると考えています。
自営業・フリーランスの申込者に対しては、確定申告書の控えや納税証明書、直近の通帳の写しなど、勤務先の証明に代わる資料を求める運用が行われています。どの資料を求めるかは物件や管理会社によって異なるため、事前に確認しておくと審査がスムーズに進みます。
外国人の入居希望者について、国籍や言語だけを理由に一律で入居を断ることは、人権上の問題やトラブル、機会損失につながる可能性があります。
法務省は、外国人であることを理由とした入居拒否を人権問題の一つとして取り上げており、外国人からの人権相談窓口も設けています(出典:法務省「外国人の人権を尊重しましょう」)。国土交通省も、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居を目的として「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を作成しています。このガイドラインには、入居申込書や重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書などの多言語見本が掲載されており、貸主・管理会社・仲介業者が実務で活用できる内容になっています。
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ポイント
審査の考え方そのものは、日本人の申込者と同じく、収入や保証の状況を確認することが基本です。国籍だけで一律に判断するのではなく、支払い能力、保証人・保証会社の有無、契約内容を理解し履行できる体制など、個々の事情を確認することが、トラブルの防止にもつながります。
障がいのある方の入居希望についても、障がいがあることだけを理由に一律で入居を断ることは避ける必要があります。外国人への対応とは根拠となる法律が異なるため、分けて整理します。
2024年4月1日に施行された改正障害者差別解消法により、事業者が障がいを理由に不当な差別的取扱いをすることは禁止されており、あわせて合理的配慮の提供も事業者の法的義務となりました(出典:内閣府「障害者差別解消法」)。国土交通省が定める対応指針(令和6年4月施行)では、住宅の賃貸を事業として行う場合も対象に含まれ、障がいがあることのみを理由に入居を一律に拒否することは、不当な差別的取扱いに当たり得るとされています(出典:国土交通省「事業者向け対応指針」)。
合理的配慮とは、障がいのある方から対応を求める意思表示があった場合に、過重な負担とならない範囲で、個々の状況に応じて必要かつ合理的な対応を検討することです。たとえば、契約書類の読み上げやルビ付き資料の用意などが考えられます。必要な配慮の内容は一律ではないため、本人の意向を確認しながら個別に検討します。
入居審査では、氏名・年齢・勤務先・収入・家族構成など、多くの個人情報を取得します。個人情報保護法上、事業者が保有する個人情報のうち、検索できる形で体系的に整理されたもの(個人情報データベース等を構成するもの)は「個人データ」として扱われ、取得・利用・第三者提供について法律上のルールがあります。これらの情報を扱う貸主・管理会社は、個人情報保護法上の義務を負います。
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注意点
物件の管理を委託している管理会社へ情報を渡す場合など、法律上「第三者提供」に該当しないとされる場合もあります。渡す相手が保証会社か、管理を委託している管理会社かによって扱いが変わるため、迷う場合は個人情報保護委員会のガイドラインや専門家に確認することをお勧めします。個人情報の管理体制について不安がある場合も、管理会社へ運用ルールを確認することをお勧めします。
入居審査は、所有者が自分で行うことも、管理会社に任せることもできます。どちらが向いているかは、費用だけでなく、確認・判断の負担、個人情報の管理体制、保証会社とのやり取り、入居後の管理まで含めた業務量など、複数の観点から検討します。
イエリテの実務から
当社が入居審査を担当した物件のなかには、収入・保証人(保証会社)・入居目的をていねいに確認したケースがあります。これらの物件では、結果として長期間にわたって安定した入居が続いているケースがあります。
審査を急いで進めるより、確認すべき項目を落とさずに見ることが、貸主・借主双方にとって安心材料の一つになると感じています。
自主管理と管理委託のどちらを選ぶかによって、審査の進め方や手間のかかり方は変わります。詳しくは戸建て賃貸は管理会社に任せるべき?自主管理との判断基準をご覧ください。
申込みから審査結果が出るまでの期間は、一律に決まっていません。保証会社を利用する場合は保証会社側の審査も並行して進み、追加書類の提出や勤務先への確認が必要になる場合は、その分の日数がかかることがあります。余裕を持ったスケジュールで進めることをお勧めします。
必ずしもそうとは限りません。家賃債務保証業者(保証会社)を利用することで、連帯保証人がいなくても契約できる場合があります。保証人を立てられないことだけを理由に一律で断るのではなく、保証会社の利用も選択肢として検討できます。
入居審査そのものの基準を定めた法律はなく、貸主の判断に委ねられています。ただし、障がいを理由に一律で入居を拒否することは、改正障害者差別解消法により禁止された不当な差別的取扱いに当たり得ます。外国人であることを理由とした一律の入居拒否も、法務省が人権問題として取り上げています。個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法上のルールを守る必要があります。
管理会社に任せる場合も、審査の基準や進め方を事前に確認できます。どのような書類を求めるか、保証会社の利用をどう扱うかなど、契約前に管理会社へ確認しておくと、実際の運用とのずれを防ぎやすくなります。
本記事は、家賃額の決め方・契約形態・管理方法の判断について、次の記事の内容を前提としています。詳細はこれらの記事をご参照ください。
この記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。入居審査の具体的な基準や個人情報の取扱いについては、不動産会社・弁護士など専門家へご確認ください。制度や運用は変わることがあります。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。