


「契約不適合責任」という言葉を、不動産の売却を考え始めてから初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。
これは、売った不動産に契約の内容と違うところ(不具合や欠陥など)があったとき、売主が買主に対して負う責任のことです。2020年(令和2年)4月の民法改正で、それまでの「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」に代わって定められました。
南城市で戸建てや土地の売却をお手伝いするなかでも、「売った後にトラブルにならないか心配」というご相談をいただくことがあります。特に、築年数の経った家を売る方からは、「古い家だから、あとで責任を問われるのではないか」という不安の声を耳にします。
この記事では、契約不適合責任とは何か、買主は何を請求できるのか、責任を追及できる期間、そして売主ができるトラブル予防までを、はじめての方にも分かるように整理します。売る前に知っておくと、契約時に落ち着いて判断できるようになります。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月22日
最終更新日:2026年07月22日
情報確認日:2026年07月22日
この記事の目次
契約不適合責任とは、引き渡した不動産が「契約の内容に適合していない」場合に、売主が負う責任のことです。
たとえば、雨漏りしない前提で売った家に雨漏りがあった、土地の面積が契約書の数量と違った、といったケースが考えられます。こうしたとき、買主は売主に対して、修理や代金の減額などを求めることができます。
2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法によって、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」という考え方に整理されました。
大きな変化は、「隠れた瑕疵があるか」ではなく、「契約の内容に適合しているか」を基準にする点です。契約書や、後で説明する物件状況報告書などで「どういう約束だったか」が、より重視されるようになりました。
「瑕疵」という言葉自体が分かりにくかったため、基準が「契約の内容に合っているかどうか」に整理されたことで、売主・買主のどちらにとっても、何が問題になるのかが分かりやすくなったといえます。
契約不適合には、大きく次の種類があります。
不動産の売却で特にご相談が多いのは、雨漏りや設備の故障といった「種類・品質の不適合」です。
不動産に契約不適合があった場合、買主は状況に応じて次の4つを請求できます(民法第562条〜第564条)。
| 請求の種類 | 内容 |
|---|---|
| 追完請求 | 修理(補修)、代替物や不足分の引き渡しを求める |
| 代金減額請求 | 不適合の程度に応じて、代金を減らすよう求める |
| 損害賠償請求 | 契約不適合によって生じた損害の賠償を求める |
| 契約の解除 | 契約の目的が達成できない場合などに、契約を解除する |
基本的な流れとしては、まず「修理してほしい」といった追完請求が中心になります。修理などの対応がされない場合に、代金減額や損害賠償、解除へと進むことになります。
損害賠償については、売主に落ち度(帰責事由)がない場合には請求できないケースもあります。一方、追完請求や代金減額請求は、売主に落ち度がなくても認められることがあります。
このあたりは個別の事情によって結論が変わるため、実際にトラブルになりそうなときは、弁護士などの専門家に確認することをおすすめします。

売主の方から寄せられるご相談のなかには、「築年数の古い家を売るのだから、多少の不具合は仕方ない。責任は負わないはず」という誤解もあります。
結論からお伝えすると、築年数が古い家であっても、契約不適合責任は生じることがあります。「古いから」という理由だけで、自動的に責任がなくなるわけではありません。
大切なのは築年数そのものではなく、「契約でどう取り決めたか」です。たとえば「築古で設備は現状のまま引き渡す」と契約で明確にしておけば、その点について後から責任を問われにくくなります。逆に、何も取り決めずに引き渡すと、買主が「当然直っているはず」と考えていた部分でトラブルになることがあります。
イエリテの実務から
当社へ寄せられるご相談のなかにも、「古い家を売った後で責任を問われないか不安」という声があります。ポイントは築年数ではなく、家の状態を契約前にどこまで正確に伝え、契約書でどう取り決めるかです。古さを理由に不安を抱え込むより、事実を整理して契約に反映するほうが、結果的に安心につながります。
もう一つ知っておきたいのが、売主自身が気づいていなかった不具合でも、契約不適合責任の対象になり得るという点です。
契約不適合責任は、売主が不具合を知っていたかどうかだけで決まるものではありません。だからこそ、後で説明する「物件の状態をきちんと伝えること」と「契約での取り決め」が重要になります。
売主としては、「いつまで責任を問われるのか」が気になるところだと思います。ここは不適合の種類によって扱いが異なります。
種類または品質の契約不適合については、買主が不適合を知った時から1年以内に、その旨を売主へ通知しなければ、原則として権利を行使できなくなります(民法第566条)。
ここで注意したいのは、「知った時から1年」であって、「引き渡しから1年」ではないという点です。買主が引き渡しから数年後に不具合に気づいた場合、そこから1年の通知期間が始まります。
ただし、引き渡しの時点で売主がその不適合を知っていた、または重大な不注意で知らなかった場合には、この1年の制限は適用されません。知っていた不具合を隠して売ると、期間の面でも売主に不利になるということです。
数量の不適合や権利の不適合には、上記の「1年以内の通知」のルールは適用されません。この場合は、民法の一般的な消滅時効(権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年)によって考えます。
土地の面積や境界に関わる不適合は、こちらに近い性質のものです。境界がはっきりしない土地の売却については、境界が分からない土地は売却できる?南城市でよくある事例と対処法もあわせてご覧ください。
契約不適合責任は、当事者の合意(特約)によって、その範囲や期間を調整することができます。
売主が宅地建物取引業者ではない個人の場合、原則として当事者間で自由に取り決めができます。「契約不適合責任を一切負わない」という全部免責の特約を結ぶことも可能です。
ただし、免責特約を結んでいても、売主が知っていながら買主に伝えなかった不具合については、責任を免れることができません(民法第572条)。「知っていたのに隠した」ことは、特約があっても保護されないということです。
売主が宅地建物取引業者(不動産会社)で、買主が業者でない一般の方の場合は、宅地建物取引業法第40条によって特約に制限がかかります。
具体的には、民法の規定より買主に不利になる特約は原則として無効になります。例外として、「引き渡しの時から2年以上」の期間内に通知すればよいとする特約は認められています。つまり、業者が売主のときは、少なくとも引き渡しから2年間は責任を負う形が保証されます。
これは、専門家である宅建業者と一般の買主との間で、知識や情報の差を踏まえて買主を保護するための仕組みです。
ポイント|「誰が売主か」で扱いが変わります
個人が売主の場合は免責特約も可能ですが、知っていて隠した不具合は免責されません。宅建業者が売主の場合は、宅建業法第40条により、引き渡しから2年以上の責任が保証されます。
契約不適合責任のトラブルは、多くの場合「伝えていなかった」「取り決めていなかった」ことから起こります。売主として、契約前にできる備えを整理します。
不動産の売買では、売主が物件の状態を書面で伝える「物件状況報告書(告知書)」や「付帯設備表」を使うのが一般的です。次のような内容を記載します。
これらを正確に記載しておくことが、後々のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。
「不具合を伝えると売れにくくなるのでは」と考えて、あえて言わないでおこうとする方もいらっしゃいます。しかし、これは逆効果になりやすい対応です。
前述のとおり、知っている不具合を隠したまま売ると、免責特約を結んでいても責任を免れられず、期間の制限でも不利になります。
注意点|「言わないでおく」が一番危険です
知っている不具合を隠して売ると、免責特約があっても責任を免れられません(民法第572条)。さらに、通知期間の制限でも売主に不利になります。マイナスに思える情報ほど、契約前に正しく伝えておくことが大切です。
イエリテの実務から
当社では、査定や売り出しの前の段階で、気になっている不具合や過去の修繕について、できるだけ正直にお聞きするようにしています。マイナスに思える情報でも、契約前に整理して買主へ正しく伝えておくことが、結果として売主を守ることにつながるためです。「これは伝えるべきか」と迷う点があれば、その都度ご相談いただくことをおすすめしています。
契約不適合責任の範囲は、売買契約書と物件状況報告書の書き方で大きく変わります。売却全体の流れのなかでどの段階に位置するかは、南城市で不動産を売却するときの流れと注意点もご参照ください。相続した空き家や築古の家を売る場合の考え方は、相続した空き家はどうする?売却・活用の選択肢と3,000万円特別控除でも触れています。
特約によって、範囲や期間を調整することができます。個人が売主の場合は、当事者の合意で免責の特約を結ぶことも可能です。ただし、売主が知っていながら伝えなかった不具合については、特約があっても責任を免れることはできません(民法第572条)。宅建業者が売主の場合は、宅地建物取引業法第40条によって特約に制限があります。
築年数が古くても、契約不適合責任は生じ得ます。「古いから責任なし」と自動的に判断されるわけではありません。大切なのは、家の状態を契約前に正確に伝え、契約書でどのように取り決めるかです。「現状のまま引き渡す」といった内容を明確にしておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
気づいていなかった不具合であっても、契約不適合責任の対象になることがあります。売主が知っていたかどうかだけで決まるものではありません。だからこそ、物件状況報告書などで分かる範囲の情報を正確に伝えておくことが大切です。
種類・品質の不適合については、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(民法第566条)。「引き渡しから1年」ではない点に注意が必要です。ただし、引き渡し時に売主がその不適合を知っていた場合などは、この期間制限は適用されません。数量や権利の不適合は、一般の消滅時効によって考えます。
契約や損害賠償など法的な争いに関わる部分は、弁護士が専門です。不動産会社は、売却全体の進め方や、契約前の情報整理・書面づくりのサポートを行う立場です。まずは状況を整理し、必要に応じて専門家におつなぎします。南城市周辺の不動産であれば、当社でもご相談を承っています。
契約不適合責任のポイントを整理します。
契約不適合責任は、正しく理解しておけば過度に恐れる必要はありません。むしろ、事前に情報を整理し、契約に反映しておくことで、売主も買主も安心して取引を進められます。
「この不具合は伝えるべきか」「どう契約書に書けばよいか」と迷ったときは、早めに相談することをおすすめします。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。個別のケースによって、責任の範囲や適用される条件は異なります。
南城市の不動産売却で、契約後のトラブルが心配な方へ
「古い家を売って大丈夫か」「どこまで伝えればよいか」といった不安は、契約前に情報を整理することで、多くが解消できます。まだ売ると決めていない段階でも構いません。物件の状態を一緒に確認し、契約でどう取り決めるかを整理するところからお手伝いします。契約や損害賠償など法的な判断が必要な場面では、弁護士など専門家へのお取り次ぎもあわせてご案内します。南城市および沖縄県南部の不動産について、お気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却後のトラブルが心配な方も、契約前の情報整理からお気軽にご相談ください。