


不動産を売ろうと決めたとき、最初に迷うのが「どの不動産会社に頼むか」です。何社かに査定を出してもらったものの、金額に差があって決めきれない、というご相談をいただくことがあります。
先にお伝えすると、査定額がいちばん高い会社が、いちばん高く売ってくれる会社とは限りません。査定額は売れる値段の約束ではなく、その会社が「この価格なら売れると考える」という意見だからです。
では何を見て決めればよいのか。この記事では、免許や処分歴の確認方法、査定額の根拠の尋ね方、販売活動と報告の受け方、費用の説明、地域や物件への対応力という5つの視点で整理します。宅地建物取引業法の定めと、公的機関が公開している確認先も添えています。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月27日
最終更新日:2026年07月27日
情報確認日:2026年07月27日
この記事の目次
不動産会社を選ぶとき、比べやすいのは金額です。ただし査定額は、査定の前提や販売方針によって、会社ごとに金額が異なります。
たとえば、時間をかけて高めの価格から売り出す想定か、早期の成約を見込んだ価格かによって、提示される金額は変わります。査定額そのものは、売買契約の金額を保証するものではありません。

宅地建物取引業法では、売買すべき価額について不動産会社が意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定められています(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2第2項)。査定額の理由を尋ねることは、法律上も想定されている行為です。
金額だけを並べて比べるのではなく、次の5つを合わせて確認すると、判断の材料が増えます。

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先に結論
査定額は「この価格なら売れると考える」という不動産会社の意見であり、売却額の約束ではありません。金額と一緒に、その根拠を確認してください。
不動産の売買を仲介する会社は、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けている必要があります。この免許の情報と、過去に行政処分を受けたかどうかは、どちらも一般に公開されています。
免許番号は「沖縄県知事(2)第○○○○号」のように表示されます。括弧内の数字は、新規免許では(1)から始まり、更新するごとに数字が増えます。数字が大きいほど営業年数が長いことになります。
ただし、数字の大きさがそのまま信頼性を意味するわけではありません。新しい会社でも誠実に対応する会社はありますし、長く営業していても対応が合わないことはあります。あくまで確認材料の一つとして見てください。
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補足
「知事免許」と「大臣免許」の違いは、事務所を置いている都道府県の数によるものです。1つの都道府県内にだけ事務所がある場合は知事免許、2つ以上の都道府県に事務所がある場合は大臣免許となります。営業できる地域が制限されるものではありません。
免許を受けた宅地建物取引業者の名簿は、免許を出した行政庁が一般の閲覧に供することとされています(宅地建物取引業法第10条)。
沖縄県知事免許の会社については、沖縄県土木建築部建築指導課(県庁10階)で名簿を閲覧できます。閲覧時間は午前9時から午後4時30分までで、閲覧は無料です(出典:沖縄県「宅地建物取引業者名簿の閲覧」)。
インターネットで確認する方法もあります。
行政処分には、業務改善のための指示処分、業務停止処分、免許取消処分があります。処分歴がないことを確認するだけでも、契約前の安心につながります。
査定額を聞いたら、「なぜその金額なのか」を続けて尋ねてみてください。根拠を示せるかどうかで、その会社が地域の取引をどれだけ把握しているかが見えてきます。
説明を受けるときに確認したいのは、次のような点です。
査定の種類による違いもあります。資料だけで算出する机上査定と、現地を見て行う訪問査定では、精度が変わります。査定の進め方は「不動産の売却査定とは?机上・訪問査定の違い」で整理しています。
イエリテの実務から
複数の会社に査定を依頼された方から、「どうして会社によって金額がこんなに違うのですか」とご質問をいただくことがあります。
査定額は、その会社が「この価格なら売れると考える」という意見であって、売却額の約束ではありません。ここが誤解されやすい部分だと感じています。
そのため当社では、金額そのものよりも、どの取引事例をもとに、どこを評価してその金額になったのかをご説明するようにしています。根拠が分かれば、複数社の査定額を並べたときにも比べる基準ができます。査定を受ける際は、金額と一緒に理由を聞いてみてください。
契約してからの進み方は、会社によって差が出やすい部分です。「どこに情報を出し、どのように報告するか」を、契約前に聞いておくと安心です。
レインズ(指定流通機構)は、不動産会社が物件情報を登録・閲覧するための仕組みです。ここに登録されると、依頼を受けた会社以外の不動産会社も物件情報を見て、買主を探せる状態になります。
専任媒介契約・専属専任媒介契約では、レインズへの登録が法律で義務づけられています。登録後には「登録を証する書面(登録証明書)」が売主へ引き渡されます(宅地建物取引業法第34条の2第5項・第6項)。
さらに、令和6年6月の宅地建物取引業法施行規則の改正により、令和7年(2025年)1月1日から、専任媒介契約・専属専任媒介契約にもとづいてレインズへ登録した物件について、取引状況の登録が義務づけられました。あわせて令和7年1月4日からは、登録証明書に二次元コードが記載され、売主が「売主専用画面」から自分の物件の取引状況を確認しやすくなっています(出典:国土交通省「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(令和6年12月24日報道発表))。
登録証明書を受け取ったら、記載されている内容と、売主専用画面で見られる状況を一度確認してみてください。

「囲い込み」とは、依頼を受けた会社が、他社から問い合わせを受けても商談中などと伝えて取り次がず、自社で買主を見つけようとする行為を指します。買主を探す範囲が狭まるため、売主にとって不利益になりえます。
一方で、同じ会社が売主と買主の双方から依頼を受けること自体(いわゆる両手仲介)は、法令で禁止されているわけではありません。双方から依頼を受ける場合、それぞれから報酬を受け取ることも認められています。
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ここに注意
「両手仲介かどうか」ではなく、他社からの問い合わせに正しく対応しているかが確認したい点です。取引状況の登録が義務づけられたのは、その状況を売主が確認できるようにするためのものです。
不動産会社が売主へ販売状況を報告する頻度は、媒介契約の種類によって法令上の下限が決まっています。専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上です(宅地建物取引業法第34条の2第9項)。
また、購入の申込みがあったときは、契約の種類にかかわらず遅滞なく売主へ報告することとされています(同条第8項)。
報告の方法(電話・メール・書面など)は取り決めによります。県外にお住まいの場合など、連絡が取りにくい事情があれば、契約時に伝えておくとやり取りが滞りにくくなります。
売却では、仲介手数料のほかに印紙税や登記費用などがかかります。手取りがいくらになるかを、契約前に一度整理してくれるかどうかは、会社を選ぶときの確認点になります。
仲介手数料の上限は、国土交通大臣の定めによることとされています(宅地建物取引業法第46条第1項)。上限額を超えて受け取ることはできません。
令和6年6月21日に報酬の告示が改正され、令和6年7月1日から施行されています。この改正では、価格が800万円以下の「低廉な空家等」について、通常の上限とは別に、税込33万円(税抜30万円)を上限とする特例が定められました(出典:国土交通省「宅地建物取引業法関係」)。
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用語解説
「低廉な空家等」という名称ですが、実際に空き家であるかどうかは問わず、価格が800万円以下の宅地・建物であれば対象となります。税込33万円は、売主または買主の一方から受け取れる上限額です。
特例による報酬を受け取る場合は、媒介契約の締結にあたりあらかじめ依頼者へ説明し、合意を得ることが必要とされています。
契約前に確認しておきたいのは、次の点です。
どちらが優れているという順位はありません。得意な部分が違うため、売りたい不動産の種類と事情に合わせて考えるほうが判断しやすくなります。
一般的な傾向として、次のような違いがあります。
| 地域の不動産会社 | 全国展開している会社 | |
|---|---|---|
| 得意になりやすい点 | 地域の取引事情、地元の買主とのつながり、現地確認のしやすさ | 広域の集客力、知名度、県外の購入希望者への露出 |
| 確認したい点 | 対応できる物件の種類、県外とのやり取りの方法 | 担当者が地域の現況をどこまで把握しているか |
レインズに登録された物件情報は、他の不動産会社も閲覧できます。そのため、依頼した会社の規模と、買主に情報が届く範囲は必ずしも比例しません。
会社の規模よりも、担当者が現地を見て、物件の条件を説明できるかを見るほうが、実際の進み方に近い判断ができます。
地域や物件の性質によって、対応できる会社が限られる場合があります。次のような不動産では、その分野の取り扱い経験があるかを確認しておくと安心です。
また、沖縄県外にお住まいのまま南城市周辺の不動産を所有している方の場合、現地確認や書類のやり取りをどう進めるかが重要になります。遠方とのやり取りに対応できるかを、最初に確認しておくとその後が進めやすくなります。
依頼先を決めたら、媒介契約を結ぶ前に次を確認します。いずれも、契約書に記載されるか、口頭で確認できる内容です。
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確認ポイント
媒介契約の種類による違いは、専任・専属専任・一般の3種類それぞれで、他社に重ねて依頼できるか、自分で買主を見つけて直接契約できるかが変わります。どの種類を勧められているか、その理由も含めて、署名の前に確認してください。
説明を聞いても判断できないときは、その場で決めずに持ち帰って構いません。媒介契約は、査定を受けた会社と必ず結ばなければならないものではありません。
査定額は、売却額を保証するものではありません。査定額は「この価格なら売れると考える」という不動産会社の意見であり、実際の成約価格は買主との交渉で決まります。
宅地建物取引業法では、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないと定められています(宅地建物取引業法第34条の2第2項)。金額と一緒に、その理由を確認してみてください。
国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで確認できます。宅地建物取引業者に対して行われた行政処分等の情報が公開されています。
沖縄県知事免許の会社については、沖縄県土木建築部建築指導課で宅地建物取引業者名簿を無料で閲覧することもできます。
専任媒介契約・専属専任媒介契約でレインズへ登録した物件であれば、売主専用画面で取引状況を確認できます。令和6年6月の施行規則改正により、令和7年1月1日からこれらの物件について取引状況の登録が義務づけられました。
登録証明書に記載された二次元コードから売主専用画面にアクセスできます(令和7年1月4日以降に発行されたもの)。気になる点があれば、依頼先へ状況を尋ねてみてください。
同じ会社が売主と買主の双方から依頼を受けること自体は、法令で禁止されていません。双方から報酬を受け取ることも認められています。
確認したいのは、他社からの問い合わせに適切に対応しているかどうかです。売却活動の状況について気になる点があれば、遠慮なく質問してください。
一般媒介契約であれば、複数の会社に同時に依頼できます。専任媒介契約・専属専任媒介契約では、他社へ重ねて依頼することはできません。
ただし、依頼する会社の数を増やせば早く売れるとは限りません。レインズに登録された情報は他社も閲覧できるためです。複数社とやり取りする手間も含めて検討してください。
媒介契約の有効期間が満了すれば、改めて選び直せます。専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3か月が上限とされ、更新は依頼者からの申出によります。
期間の途中で解除したい場合は、契約書に記載された解除の定めに従うことになります。判断に迷う場合は、契約書の記載を確認したうえでご相談ください。

売りたい不動産の種類、売却の期限、ご自身が受け取りたい報告の形によって、合う会社は変わります。査定を受けた会社と必ず契約しなければならないわけではありませんので、納得できるまで確認してください。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。個別の売却条件や契約内容は、物件の状況と取り決めによって異なります。
法令や制度は変更されることがあります。手続きの際は、交付される書面の記載と最新の情報をお確かめください。契約内容をめぐる法的な判断が必要な場合は弁護士へ、税額の試算が必要な場合は税理士へご相談ください。
南城市で、どの不動産会社に相談するか迷っている方へ
査定額の理由が分からない、勧められた契約の内容に迷いがある、といった段階のご相談でも構いません。
イエリテでは、査定額の根拠と、その物件で想定される進み方をご説明したうえで、契約の形をご提案しています。他社の査定を受けた後のご相談も承ります。
南城市および沖縄県南部の不動産について、売却を決める前の段階からお気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
査定だけのご相談でも構いません。現在の状況やご希望を丁寧にお伺いします。