


不動産会社に売却を依頼しようとしたとき、「専任媒介契約と一般媒介契約、どちらにしますか」と聞かれて迷う方がいらっしゃいます。南城市や沖縄県南部で売却のご相談をいただくなかでも、この違いについてご質問を受けることがあります。
先にお伝えすると、3種類の大きな違いは「他の不動産会社にも同時に頼めるか」と「自分で買主を見つけて直接契約できるか」の2点です。この2点をどう選ぶかによって、不動産会社側に法律で義務づけられる報告や登録の内容も変わります。
どれが優れているという順位はありません。売却の期限、物件の性質、ご自身で買主を見つける可能性があるかどうかによって、向いている契約は変わります。
この記事では、宅地建物取引業法の定めにもとづいて3種類の違いを整理し、それぞれの特徴、選ぶときの判断材料、契約前に確認しておきたい点をまとめます。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年07月26日
最終更新日:2026年07月26日
情報確認日:2026年07月26日
この記事の目次
媒介契約は、不動産の売買や交換の仲介(媒介)を不動産会社に依頼するときに結ぶ契約です。「どのような条件で、どこまでの仕事を任せるのか」を書面で決めておくためのものです。
売却を思い立ってすぐに結ぶものではなく、一般的には査定を受け、売り出し価格の見通しを立てた後の段階で結びます。売却全体の流れは「不動産売却の流れを6ステップで解説」で整理しています。
宅地建物取引業者は、売買または交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成して記名し、依頼者に交付しなければならないと定められています(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2第1項)。
2022年(令和4年)5月18日に施行された改正により、この書面に代えて、電子メールなどの電磁的方法で提供することもできるようになりました(同条第11項)。ただし無条件ではなく、あらかじめ依頼者の承諾を得ることなど、法令で定める要件を満たす場合に限られます。紙の書面での交付も、これまでどおり行われています。
以下、本記事でいう書面には、法令上の要件を満たして電磁的方法で提供される電子書面を含みます。書面に記載される主な事項は次のとおりです。
この記事で扱う「どの種類の契約か」は、口頭の説明だけでなく、書面のどこかに必ず表れます。署名する前に、上記の3・5・6を確認しておくと、契約後の進み方がつかみやすくなります。
なお、売買すべき価額について不動産会社が意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定められています(同条第2項)。査定価格の理由を尋ねることは、法律上も想定されている行為です。
まず全体像を整理します。表の内容は、宅地建物取引業法第34条の2および同法施行規則にもとづく法令上の定めです。

| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 他の不動産会社にも重ねて依頼できるか | できる | できない | できない |
| 自分で買主を見つけて直接契約できるか(自己発見取引) | できる | できる | できない |
| 有効期間の法令上の上限 | 定めなし | 3か月 | 3か月 |
| 指定流通機構(レインズ)への登録義務 | 法令上の義務なし(任意登録は可能) | 契約日から7日以内 | 契約日から5日以内 |
| 業務処理状況の報告義務 | 法令上の定めなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 申込みがあったときの報告 | 遅滞なく報告 | 遅滞なく報告 | 遅滞なく報告 |
(出典:宅地建物取引業法第34条の2、宅地建物取引業法施行規則第15条の9・第15条の10。確認日:2026年7月26日)
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用語解説:指定流通機構(レインズ)
国土交通大臣が指定する機関で、不動産会社が物件情報を登録・閲覧するために使う仕組みです。一般には「レインズ」と呼ばれています。ここへ登録されると、依頼を受けた会社以外の不動産会社も物件情報を見て、買主を探せる状態になります。
読み取っていただきたいのは、依頼先を1社に絞るほど、不動産会社側の義務が重くなるという関係です。登録や報告の期間が短くなり、活動の状況が依頼者へ届きやすくなります。
一方で、一般媒介契約に登録や報告の義務がないことは、その契約が不利という意味ではありません。義務がないだけで、契約時に取り決めておけば、登録や報告を行うことは可能です。
3種類のなかで、依頼先を最も強く1社に絞る契約です。他社へ重ねて依頼できないことに加えて、依頼した不動産会社が探した相手方以外の人と契約を結べません。
この「探索した相手方以外の者と売買または交換の契約を締結することができない旨の特約」が、専属専任媒介契約を定義づけるものです(宅地建物取引業法第34条の2第9項)。
不動産会社側には、次の義務があります。
有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは3か月となります。更新は依頼者からの申出により可能で、更新のときから3か月を超えることはできません。
自分で買主を見つけた場合でも不動産会社を通すことになるため、親族や知人へ譲る可能性がある方には向きません。逆に、ご自身で買主を探す予定がなく、報告を細かく受けたい場合には検討しやすい契約です。
他社へ重ねて依頼することはできませんが、ご自身で見つけた相手方とは直接契約できるという点が、専属専任媒介契約との違いです。
不動産会社側の義務は次のとおりです。
有効期間の上限が3か月である点、更新が依頼者の申出によるものである点は、専属専任媒介契約と同じです。
なお、専任媒介契約では、依頼者が他の不動産会社の媒介や代理によって契約を成立させたときの措置を、媒介契約書に記載することとされています(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」第15条の9第1号)。専属専任媒介契約についても、探索した相手方以外の者と契約したときの措置を記載することとされています(同条第2号)。
契約に反した場合にどうなるかは、この「措置」として書面に書かれています。約束を破ったときの取り決めが最初から明記されている、と理解しておいてください。
複数の不動産会社へ同時に依頼でき、ご自身で買主を見つけて直接契約することもできる契約です。
有効期間の上限、指定流通機構への登録義務、業務処理状況の定期報告の義務が法令上定められていないのは、これらが専任媒介契約・専属専任媒介契約を対象とした規定だからです。
ただし、売買または交換の申込みがあったときに遅滞なく依頼者へ報告する義務は、媒介契約を締結したすべての宅地建物取引業者に課されています(宅地建物取引業法第34条の2第8項)。この点は3種類に共通します。
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一般媒介契約で注意したいこと
期間や登録の扱いが法令で決まっていないぶん、契約書にどう書かれているかがそのまま条件になります。期間、レインズへの登録の有無、報告の方法を、契約前にご確認ください。
一般媒介契約には、他の不動産会社にも依頼していることを明らかにする義務があるかどうかで、2つの型があります。
媒介契約書には、他社への重ねての依頼を許すかどうかと、許す場合に他社を明示する義務があるかどうかを記載することとされています(宅地建物取引業法第34条の2第1項第3号)。
さらに明示型では、依頼者が明示していない他社の媒介や代理によって契約を成立させたときの措置も、書面に記載することとされています(宅地建物取引業法施行規則第15条の9第3号)。
「複数社に頼めるから何も決めなくてよい」わけではありません。どちらの型なのかは書面に記載されているため、契約時に確認しておくと、後の行き違いを防げます。

ここまでの違いを、選ぶ側の視点で整理します。どれか一つが正解ということはなく、事情によって向き不向きが変わります。
住み替えの入居日が決まっている、相続税の申告期限が迫っているなど、期限がある場合は、報告の頻度と登録の早さが判断材料になります。
依頼先を1社に絞る契約では、活動状況が定期的に届くため、価格や条件を見直す判断がしやすくなります。期限までの残り時間に応じて、途中で条件を調整する前提で進める形です。
一方、複数社に依頼すれば早く売れるとは限りません。指定流通機構へ登録された物件情報は他の不動産会社も閲覧できるため、依頼した会社の数と、物件を探している買主に届く範囲は、必ずしも比例しないからです。
「隣地の方が以前から興味を示している」「親族に譲るかもしれない」といった心当たりがある場合は、自己発見取引ができるかどうかが分かれ目になります。
専属専任媒介契約では、ご自身で見つけた相手方とも、依頼した不動産会社を通す形になります。心当たりのある方がいる場合は、契約前にその点をお伝えください。契約の種類だけでなく、その相手方をどう扱うかについても、あらかじめ取り決めておけます。
査定額と希望価格に開きがあるなど、条件を決めきれていない段階では、有効期間の扱いを確認しておくと安心です。
専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3か月が上限で、更新には依頼者の申出が必要です。期間が満了すれば、同じ会社に続けて依頼するか、条件を変えるか、別の会社に相談するかを選び直せます。
イエリテの実務から
媒介契約の種類について、「一度決めたら、売れるまで変えられないのか」というご質問をいただくことがあります。
当社では、契約形態をご提案するときに、有効期間が満了すれば見直せることを先にお伝えするようにしています。専任媒介契約や専属専任媒介契約は法律で有効期間の上限が定められていて、更新するかどうかは依頼者が決められる仕組みだからです。
最初の選択で全てが決まるわけではないと分かると、必要以上に構えずに検討していただけるように感じています。
近隣に売却を知られたくない、というご要望をいただくことがあります。
指定流通機構への登録は、専任媒介契約と専属専任媒介契約では法令上の義務です。登録を避けることはできませんが、広告の方法や物件情報の掲載範囲は、契約時に取り決められます。
気になる点があれば、契約前に希望をお伝えください。「どこまで公開するか」は、契約の種類とは別に相談できる部分です。
種類を選んだ後、書面に署名する前に見ておきたい項目を挙げます。いずれも媒介契約書に記載される事項です。

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署名前の確認ポイント
期間が何か月か、更新するときは何をすればよいかを確認します。専任媒介契約・専属専任媒介契約の更新は、依頼者からの申出によるものとされています。自動的に延長される取り決めになっていないか、目を通しておいてください。
専任媒介契約・専属専任媒介契約では、登録後に「登録を証する書面」を受け取ります。これは法律で引渡しが義務づけられているものです(宅地建物取引業法第34条の2第6項)。
受け取った書面で、物件の所在や価格が意図したとおりに登録されているかを確認できます。
報告の頻度は法令で下限が定められていますが、方法(電話・メール・書面など)は取り決めによります。受け取りやすい方法を伝えておくと、確認の手間が減ります。
報酬については、媒介契約書に記載される事項です(宅地建物取引業法第34条の2第1項第7号)。仲介手数料の額の上限は国土交通大臣の定めによるもので(宅地建物取引業法第46条第1項)、支払いの時期は契約による取り決めです。いつ、いくら支払うことになるのかを、契約前に確認しておいてください。
売却する建物が既存の建物である場合、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項が記載されます(宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号)。あっせんを希望するかどうかは、依頼者が選べます。
建物の状態は、引渡し後の責任にも関わる部分です。売主の責任の範囲については「契約不適合責任とは?売主が知っておきたい基本と注意点」で整理しています。
地域や物件の事情によって、媒介契約を結ぶ前に整理しておきたい点があります。
相続した土地や実家では、名義が複数人の共有になっていることがあります。共有している不動産全体を売る場合、媒介契約の締結を含め、共有者の関わり方を先に整理しておく必要があります。
誰が窓口になるのか、書類のやり取りをどう進めるのかが決まっていないと、契約の種類を選ぶ段階で話が止まります。共有名義の不動産の進め方は「共有名義の不動産は売却できる?全員の同意が必要な場面と進め方」にまとめています。
沖縄県外にお住まいのまま、南城市周辺の不動産を所有している方もいらっしゃいます。
現地を頻繁に確認できない場合、報告の頻度と方法は特に確認しておきたい項目です。書面の郵送には日数がかかるため、連絡手段をどうするかを契約時に決めておくと、やり取りが滞りにくくなります。
境界標の有無や接道の状況など、物件そのものの条件は、媒介契約の種類にかかわらず売却の進み方に影響します。
査定の段階で分かることも多いため、契約を決める前に現況を確認しておくと、価格や期間の見通しが立てやすくなります。査定の種類については「不動産の売却査定とは?机上・訪問査定の違い」で説明しています。
有効期間が満了したときに、改めて選び直せます。専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3か月が上限で、更新は依頼者の申出によるものとされています(宅地建物取引業法第34条の2第3項・第4項)。
期間の途中で変更したい場合は、解除に関する定めに従うことになります。契約書の記載を確認したうえで、依頼先の不動産会社へご相談ください。
依頼した会社の数と、買主に届く範囲は必ずしも比例しません。専任媒介契約・専属専任媒介契約では指定流通機構への登録が義務づけられており、登録された情報は他の不動産会社も閲覧できます。
一方で、複数社とやり取りする手間や、連絡窓口が分かれることによる負担もあります。物件の性質やご自身の状況に合わせて選んでください。
法令上の義務はありませんが、登録は可能です。登録するかどうかは媒介契約書に記載される事項ですので、希望する場合は契約前にお伝えください。
契約の種類と、書面の記載によって変わります。専任媒介契約では自己発見取引ができますが、それまでに要した費用の取扱いなどが契約で定められている場合があります。
専属専任媒介契約では、探索した相手方以外の者と契約したときの措置が書面に記載されます(宅地建物取引業法施行規則第15条の9第2号)。ご自身で買主を見つける可能性がある場合は、契約前に取り決めを確認してください。
専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは3か月となります。これは宅地建物取引業法第34条の2第3項に定められています。書面に長い期間が書かれていた場合は、記載の意図を依頼先へ確認してください。
不動産会社に売買の仲介を依頼するのであれば、媒介契約を結ぶことになります。宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときに書面を作成し、依頼者へ交付しなければならないと定められているためです。依頼の内容や条件を、書面で確認できる状態にしておくための仕組みです。
なお、不動産会社が直接買主となる買取では、媒介ではなく売買の契約となるため、手続きの流れが変わります。どちらの方法が合うかは、売却の期限や物件の状態によって異なります。

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選ぶときの考え方
契約の種類は、売却の期限、ご自身で買主を見つける可能性、報告の受け取りやすさから考えると整理しやすくなります。
迷ったときは、それぞれの義務の違いが自分の状況にどう影響するかを確認してみてください。有効期間が満了すれば選び直せるため、最初の選択で全てが決まるわけではありません。
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。媒介契約の具体的な内容は、契約書の記載および個別の取り決めによって異なります。
法令や制度は変更されることがあります。契約の際は、交付される書面の記載と最新の情報をお確かめください。契約内容をめぐる法的な判断が必要な場合は、弁護士へご相談ください。
南城市で、媒介契約の種類にお悩みの方へ
どの契約が合うかは、売却の期限、物件の状態、ご自身で買主を見つける可能性があるかどうかによって変わります。
イエリテでは、査定の結果と物件の現況をご覧いただいたうえで、それぞれの契約でどう進むのかをご説明しています。有効期間が満了すれば見直せる点も含めて、納得したうえでお決めください。南城市および沖縄県南部の不動産について、売却をご検討の段階からお気軽にご相談ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却の進め方でお悩みの方は、状況を整理するところからお気軽にご相談ください。