

募集を出しているのに決まらない。半年前に退去してから、その部屋だけ空いたまま。アパートをお持ちの方からこうしたご相談をいただくとき、最初に出てくる打ち手はたいてい「家賃を下げようか」です。
ただ、いったん下げた家賃は、あとから自動的に元へ戻るものではありません。同じ建物の他の部屋との釣り合いも崩れます。先に確かめたいのは、募集のどこで止まっているのかという点です。掲載を見てもらえていないのか、見てはもらえるが問い合わせが来ないのか、内見までは進むのに申込みにならないのか。
この記事は、オーナーが入居者へ直接貸し、管理業務だけを会社へ委託している形(管理委託型)と、オーナー自身が管理している形を想定しています。サブリース(一括借り上げ)では、空室のときの賃料や募集を誰が行うかが契約で決まるため、扱いが変わります。
執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年8月14日
情報確認日:2026年8月14日
この記事の目次
入居が決まるまでには、いくつかの段階があります。止まっている段階が違えば、有効な手も変わります。
| 段階 | 止まっているサイン | 主に疑う場所 |
|---|---|---|
| 掲載 | そもそも募集情報が出ていない、掲載媒体が少ない | 募集の出し方、委託先との連携 |
| 閲覧 | 掲載はされているが、写真・間取図・設備欄が薄い | 募集情報の作り方 |
| 問い合わせ | 掲載は見られているが、連絡が来ない | 家賃・初期費用などの条件面 |
| 内見 | 問い合わせはあるが、内見に至らない | 条件と実物の食い違い、案内の対応 |
| 申込み | 内見までは来るが、申込みに至らない | 室内・設備の状態、周辺との比較 |
| 契約 | 申込みは入るが、契約まで進まない | 入居審査、保証会社の条件、契約条件のすり合わせ |
手元に判断材料がない場合は、管理を委託している会社へ、募集の状況が分かる資料を出してもらってください。それだけで、原因を絞る範囲がかなり狭くなります。
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募集の状況を確かめる5つの確認項目
この5つは、法令で報告が義務づけられた項目ではなく、空室対策のために契約上・実務上お願いする資料です。閲覧数を出せない媒体もあります。
閲覧数が分からない場合は、実際の募集ページを開いて確認します。写真の枚数と写っている範囲、物件名やタイトルの表示、間取図の有無、設備欄の記載、家賃や初期費用などの募集条件、駐車場の台数、公開日または更新日、そして現在も掲載中の状態になっているか。この8点を見ると、「そもそも見てもらえていない」のか、「見てはもらえているが条件で離脱している」のかを分けやすくなります。

賃貸住宅管理業者は、管理業務の実施状況その他の国土交通省令で定める事項について、定期的に委託者へ報告しなければならないとされています(e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」第20条)。国土交通省は、自己所有物件の管理を除く管理戸数が200戸以上の事業者に登録を義務づけ、登録を受けた業者の報告は少なくとも年1回以上としています(出典:国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト 管理業者の業務」)。
この法定の報告は、登録を受けた賃貸住宅管理業者に課されるものです。管理戸数が200戸未満で登録を受けていない事業者に、同じ法定義務が当然に及ぶわけではありません。また、問い合わせ件数や内見件数が法定の報告事項に含まれるとは限りません。まずは管理受託契約書と月次の報告書で、何をどの頻度で報告してもらう取り決めになっているかを確認し、そのうえで空室対策の追加資料として依頼してください。記録が残っていないという場合は、それ自体が確認すべき点になります。
退去そのものは、転勤・進学・結婚など入居者側の事情で起こります。オーナー側で防げないものも含まれます。一方、退去のあと次が決まらない状態が続くことは、募集条件・部屋の状態・募集の出し方という、手を入れられる要素が関係します。この記事で扱うのは後者です。

原因は大きく3つに分かれます。どれか1つとは限らず、重なっていることもあります。
家賃だけの話ではありません。敷金・礼金、フリーレント、駐車場の有無と台数、駐車場代が家賃に含まれるか別か、ペットの可否、初期費用の総額。入居希望者が比べているのは、月額家賃そのものではなく、入居時に必要な金額と、毎月出ていく総額です。このうち駐車場については、台数の決め方や、家賃に含めるか別料金にするかで変わる扱いを賃貸の駐車場は何台必要?家賃込みと別料金の違い、増やすときの確認事項で整理しています。
同じ地域・同じ間取り・同じ築年数帯の募集がいくらで出ているかを並べ、自分の物件がどの位置にあるかを確認してください。周辺の募集条件は、賃貸情報サイトや、地域で募集を扱っている仲介会社から確認できます。募集中の物件だけでなく成約事例も含めてどう比べるか、査定でどこを見ているかは「南城市でマンション・アパートの家賃はどう決まる?査定で見るポイントと貸す前に確認したいこと」で整理しています。募集を始める前に、家賃・敷金礼金・使用条件をどの順番で組み立てるかは「入居者募集の条件はどう決める?南城市で募集を始める前に整理したいこと」で扱っています。
内見までは進むのに決まらない場合、実際に見た印象で比較されている可能性があります。水回りの傷み、給湯器やエアコンの古さ、クロスや床の状態、においや湿気。共用部の清掃状態、ゴミ置き場、外壁や鉄部の錆、共用灯が切れたままになっていないかも見られます。共用部の掃除や電球交換を誰がどう回すかは、アパートの共用部の掃除と共用灯は誰がやるかで整理しています。
内見の前後に、案内した仲介会社から入居希望者の反応を聞き取ってもらうと、判断材料が具体的になります。「駐車場が1台しかないと言われた」「水回りを気にされていた」といった一言が、次に手を入れる場所を決めてくれます。
掲載されている写真が数枚しかない、間取図がない、設備欄が空欄のまま、といった状態では、比較の土俵に乗りません。掲載している媒体が1つだけという場合もあります。
誰がどこまで募集を担うのかは、契約によって違います。賃貸借契約の代理・媒介を業として行うには宅地建物取引業の免許が必要で、賃貸住宅管理業の登録とは別の制度です(出典:国土交通省「宅地建物取引業の免許について」)。募集を担う会社名、掲載する媒体、広告料や仲介手数料の負担を、書面で確認してください。負担の決まり方と、広告料をどう確認するかは「入居者募集はどこに依頼する?賃貸の仲介手数料の上限と広告料(AD)の注意点」で整理しています。
イエリテの実務から
当社へ寄せられたご相談のなかに、アパートの空室がなかなか決まらないというものがありました。現地を確認したところ、室内の傷みと設備の古さ、そして募集条件が相場と合っていないことが、それぞれ原因になっていました。
このときにご提案したのは、募集条件の見直しと、清掃・修繕・設備更新の2つです。片方だけを直しても、内見で比較されたときに残るほうが目につきます。
家賃を下げる前に、何が原因かを切り分けること。当社が空室のご相談で最初にお伝えしているのはこの点です。原因が室内の状態にあるのに家賃だけを下げると、収入は下がったまま、決まらない理由も残ります。
空室対策として新しい賃料で契約した場合、その後に、単に元の金額へ戻すことはできません。賃料を引き上げるには、入居者との合意による改定か、借地借家法第32条の要件を満たす増額請求が必要です。
同法第32条第1項は、建物の借賃が不相当となったときに、契約の条件にかかわらず、当事者が将来に向かって借賃の額の増減を請求できると定めています。ここでいう不相当とは、租税その他の負担の増減、土地や建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、または近傍同種の建物の借賃との比較によるものです。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います(e-Gov法令検索「借地借家法」第32条第1項)。増額について当事者間に協議が調わないときは、請求を受けた側は、増額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額を支払えば足りるとされています(同条第2項)。つまり、争いがあれば話し合いだけでは決着しないことがあります。
また、定期建物賃貸借(更新がない旨を定めた契約)で借賃の改定に係る特約がある場合には、第32条は適用されません(同法第38条第9項)。再増額ができるかどうかは、契約の種類と契約書の定めによって変わります。ご自身の契約がどちらにあたるかは、契約書で確認してください。
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先に結論
家賃は、動かしやすい代わりに元へ戻す手続きが必要になる条件です。下げる前に、初期費用・フリーレント・駐車場の扱いなど、期間を区切って調整できる条件が残っていないかを先に確認してください。期間限定の条件を使う場合は、適用期間と条件を募集条件と契約書に明記します。
そのうえで、実務上の順番として次を確認します。
一時的な入居促進として、家賃そのものではなくフリーレント期間や初期費用の調整で対応する方法もあります。どれを選ぶかは、想定する入居期間と収支によって変わります。
なお、値下げとは別に、賃料が法律上当然に減る場面もあります。賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなり、それが入居者の責めに帰することができない事由によるとき、賃料はその部分の割合に応じて減額されます(e-Gov法令検索「民法」第611条第1項)。設備の不具合を残したまま募集を続けると、入居後にこの論点が出てきます。
貸主は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負います。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りではありません(民法第606条第1項)。空室の部屋であっても、次の入居者へ貸し出す以上、必要な修繕は貸主側の負担として検討することになります。
経年変化や通常の使用による損耗の扱いについては、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を示しています。これは法令ではなく指針ですが、退去時の負担区分を考えるときの実務上の目安として使われています。空室対策として室内を整える費用と、退去時に入居者へ請求できる費用は、別のものです。混同すると、原状回復の話し合いで行き違いが起きます。
不動産所得の計算では、修理や改良の費用が、その年の必要経費になる修繕費にあたるのか、資産に計上して減価償却する資本的支出にあたるのかで扱いが分かれます。国税庁は、修繕費と資本的支出の区別は名目ではなく実質によって判定するとしたうえで、次のような場合に必要経費へ算入できると案内しています。
(出典:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」令和7年4月1日現在法令等)
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注意点
エアコンや給湯器の交換、ユニットバスの入替えは金額が大きくなります。どちらの扱いになるかで、その年の所得と納税額が変わります。見積りの段階で税理士へご確認ください。
業務用資産を購入するための借入金などの利息は、必要経費になります(出典:国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」令和7年4月1日現在法令等)。一方、返済額のうち元本にあたる部分は、借入金の返済であって業務上の費用の支出ではないため、必要経費にはなりません。
あわせて、不動産所得が赤字になる場合、必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の損失の額は、他の所得と損益通算できないとされています(出典:国税庁「No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」令和7年4月1日現在法令等)。借入の目的や資産の使い方によって判定が変わるため、個別の扱いは税理士へご確認ください。
ペット可にする、駐車場代を変える、共用部の使い方を変える。空室対策として新規募集の条件を見直すとき、すでに入居している方の契約条件が、それだけで変わるわけではありません。このうちペット可については、認める範囲の決め方と退去時の負担を賃貸をペット可にするか迷ったらで整理しています。
既存入居者へ新しいルールや費用負担を適用したい場合は、先に契約関係を確認してください。賃貸借契約書、駐車場が別契約になっていないか、使用細則や特約にどう書かれているかの3点が出発点です。扱いは契約や法令によって異なります。賃料については借地借家法第32条の増減請求の問題になりますし、契約の内容が定型約款にあたる場合には、民法第548条の4の要件を満たすときに限り、個別に合意をすることなく契約の内容を変更できるとされています。駐車場が独立した契約であれば、その契約の定めに従います。
新たな費用負担を求める変更は、契約上・法令上の根拠がある場合を除き、原則として個別の合意を得て書面に残します。合意が得られるかどうかや、通知の書き方に迷う場合は、通知を出す前に弁護士へご確認ください。
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ペット可へ変更する前に決めておくこと
敷金とは、名目を問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいいます。賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときは、受け取った額から賃借人の債務の額を控除した残額を返還しなければなりません(民法第622条の2第1項)。敷金を「もらえるお金」として収支に入れると、退去時に食い違いが出ます。
賃貸住宅管理業とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、賃貸住宅の維持保全を行う業務や、それと併せて行う家賃・敷金・共益費その他の金銭の管理を行う業務を行う事業をいいます(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第2条第2項)。入居者の募集そのものは、この定義に当然に含まれるわけではありません。
賃貸住宅管理業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならず、事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるときは、この限りでないとされています(同法第3条第1項)。同法第13条第1項では、登録を受けた業者は、管理受託契約を締結しようとするときに、契約の内容および履行に関する事項を書面で説明することとされています。さらに契約を締結したときは、対象となる賃貸住宅・管理業務の実施方法・契約期間・報酬・更新や解除の定めなどを記載した書面を交付することとされています(同法第14条第1項)。いま結んでいる契約でどこまでが業務範囲に入っているかは、この2つの書面と、実際の管理受託契約書を突き合わせて確認します。
空室が続いているときに確認したいのは、次の点です。
管理会社を替えれば空室が埋まる、とは言い切れません。原因が室内や設備の状態にあるなら、委託先を替えても同じところで止まります。替えるかどうかを考える前に、いまの委託内容で何が行われているかを確認してください。
南城市周辺のアパートで募集条件を見直すとき、あわせて見ておきたい点がいくつかあります。
自動車での移動が中心になりやすい地域では、駐車できるかどうかが検討の前提になることがあります。世帯で2台必要になる場合もあり、敷地内に何台停められるか、近隣で追加を確保できるかは、募集条件を決める前に整理しておきたい情報です。敷地に余裕がある場合、区画の取り方を見直せる余地がないかも確認してみてください。土地の使い方から考える場合は、使わない土地の活用方法|売却・賃貸・駐車場などの選び方と注意点もあわせてご覧ください。
海に近い立地では、鉄部の錆、給湯器やエアコン室外機の傷みが早く進むことがあります。内見のときに目に入る部分でもあるため、募集を再開する前に、外部の設備がどう見えているかを確認しておくと判断しやすくなります。台風の前後に誰が現地を確認するのかは、管理を委託している場合の確認項目にもなります。
現地の状況をご自身の目で確認できないため、写真つきの報告があるかどうかで判断の質が変わります。空室の部屋の現況、共用部の状態、実際に掲載されている募集情報を画像で受け取れる形にしておくと、原因の切り分けがしやすくなります。
なお、南城市内でも、玉城・佐敷・知念・大里で住宅地の広がり方や生活の動線は同じではありません。募集条件を周辺と比べるときは、市全体ではなく、通勤・通学の圏として近い範囲で比べてください。
空室対策を進めても収支が合わない場合は、修繕にかける費用と、その後に見込める収入を並べて考えることになります。大きな修繕が必要な時期に入っている建物では、投じる費用と、その費用を回収できる期間の見通しが判断の材料になります。
このとき検討しうるのは、部分的な改修にとどめる、募集の対象を変える、入居者がいる状態のまま売却する、建物を使わない形へ切り替えるなど、複数の方向です。どれか1つが正解というものではありません。建物の状態、相続の予定、ご家族の意向によって、選ぶべき方向は変わります。借入が残っている場合、残高は単なる比較材料ではなく、売却代金・売却にかかる費用・抵当権の抹消手続とつながる項目になります。
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対して効力を生じます(借地借家法第31条)。入居者へ部屋を引き渡していれば、通常はこの対抗力が認められます。
そして、賃貸借の対抗要件を備えた不動産が譲渡されたときは、賃貸人たる地位は譲受人へ移り、敷金の返還に係る債務も譲受人が承継します(民法第605条の2第1項・第4項)。この例外が認められるのは、譲渡人と譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨に加えて、その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨まで合意した場合です(同条第2項)。「地位を留保する」という合意だけで例外が成立するわけではありません。
売却の前に、賃貸借契約の内容、敷金の残高、未収の賃料、賃料等の精算方法、管理の引継ぎ方法を整理し、売買契約で明確にしておいてください。決済のあとは、新しい賃貸人は誰か、管理の窓口はどこか、賃料や共益費の支払先はどこになるか、その切替日はいつかを、入居者へ日付を入れて案内します。誰が案内を出すのかも、売買契約と管理の引継ぎのなかで決めておくと行き違いが起きにくくなります。
借入が残っている場合は、売却代金・売却費用・残債の関係と、抵当権の登記を抹消するために金融機関から受け取る書類や手続を、早めに確認します(参考:法務局「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」)。売却全体の一般的な流れは、不動産売却の流れを6ステップで解説|査定から引き渡しまでで説明しています。
募集の状況を出してもらうところからです。掲載媒体と各募集ページ、媒体ごとの閲覧数(取得できる場合)、直近3か月の問い合わせ件数、内見件数、申込みの有無と見送り理由の5項目を確認してください。そもそも見てもらえていないのか、見てはもらえているが問い合わせに至らないのか、内見までは来るのに決まらないのかで、次に手を入れる場所が変わります。これらは法定の報告事項とは限らないため、管理受託契約書で取り決めを確認したうえで依頼してください。
下げ幅だけで決まるとは言い切れません。内見までは進んでいるのに申込みにならない場合、比較されているのは価格ではなく室内や設備の状態かもしれません。逆に、掲載は見られているのに問い合わせがない場合は、初期費用を含めた条件面に理由があることも考えられます。新しい賃料で契約したあとに元の金額へ自動的に戻ることはなく、引き上げるには合意による改定か、借地借家法第32条の要件を満たす増額請求が必要です。下げる前に、他に動かせる条件がないかを確認してください。
費用をかけた分だけ家賃が上がる、という関係ではありません。周辺で募集されている同種の物件の家賃帯には幅があり、その上限を大きく超えて設定すると、決まるまでの期間が延びます。改修にいくらかけるかは、想定する家賃の上げ幅と、その家賃で何年間貸せる見込みかを並べて判断してください。金額が大きい工事は、修繕費と資本的支出のどちらの扱いになるかで税額も変わるため、着工前に税理士へご確認ください。かけられる工事費を回収の見込みから逆算する考え方と、費用の税務上の区分は空室対策に設備を追加すべき?かけた費用を回収できるかの考え方で整理しています。
アパートの一室が空室であるだけで、住宅用地の特例が直ちに外れるわけではありません。南城市では、土地の評価はその年の1月1日(賦課期日)の現況の地目によるとされています(出典:南城市「土地の評価」)。特例が受けられなくなる契機になるのは、管理不全空家・特定空家として市区町村から指導を受け、その指導に従わず勧告を受けた場合とされています(出典:国土交通省「空き家を放置するリスク」)。建物全体が空家の状態にあるのか、一室だけの空室なのかで前提が変わりますので、具体的な取り扱いは南城市税務課へご確認ください。
替えれば埋まる、とは言い切れません。原因が募集の出し方や情報量にあるなら、募集の担い手を見直すことで変わる可能性があります。一方、原因が室内や設備の状態にある場合は、替えても同じところで止まります。まずは、お手元の管理受託契約書と締結時の交付書面で、どこまでが業務範囲に入っているのかを確認してください(根拠となる制度は賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第13条・第14条です)。
決まりやすくなる場合もありますが、建物全体としての扱いを決めてからにしてください。新規募集の条件を変えても、既存入居者の契約条件が原則としてそれだけで変わるわけではありません。まず賃貸借契約書と使用細則・特約を確認し、認める動物の種類や数、退去時の原状回復や消臭費用の負担の対象範囲、敷金の追加を求めるかどうかを先に決めておいてください。通常損耗まで当然に請求できる前提にはしないほうが安全です。
空室が続くと、動かしやすい家賃から手を付けたくなります。ただ、下げた家賃は自動的には元へ戻らず、引き上げるには契約・法令上の確認が必要です。
お手元に直近の募集状況の報告と収支の資料があれば、どこで止まっているかはかなり絞り込めます。まずはその2つを並べてみるところから始めてください。
この記事は、2026年8月14日時点の法令・公的資料にもとづく一般的な情報提供を目的としています。個別の事情によって取り扱いは変わります。契約上の権利義務に関する判断は弁護士、税務の判断は税理士、登記の判断は司法書士、固定資産税や空家等対策の制度上の取り扱いは南城市税務課等の担当窓口へご確認ください。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。