

執筆・発行:株式会社イエリテ
公開日:2026年08月24日
情報確認日:2026年08月24日
相続などをきっかけにアパートやマンションのオーナーになった方から、「入居審査はどこまで自分で確認すればよいのか」というご相談をいただくことがあります。戸建てと違い、アパート・マンションは管理会社を通じて審査が進むことが多く、審査の中身がオーナーから見えにくいと感じる方も少なくありません。
入居審査は、貸主が入居希望者の支払い能力や契約の継続性を確認する手続きです。管理会社に任せているとはいえ、審査の流れや基準の考え方を知っておかないと、契約直前になって判断を求められたときに迷いやすくなります。
アパート・マンションの入居審査で確認される項目、審査基準がオーナーや物件によって異なる理由、審査に落ちた場合にどう考えればよいかを整理します。
この記事の目次
入居審査は、貸主が誰と契約するかを自由に決められるという契約締結の自由を前提に行われます(民法第521条第1項)。ただし、この自由は「法令に特別の定めがある場合を除き」という留保付きです。障がいのある方への対応など、法令上の制約がある場面は別途あります。
アパート・マンションでは、複数戸を一括して管理会社へ委託しているオーナーが多く、入居審査も管理会社が窓口となって進めるのが一般的です。管理会社が申込書の受付から一次確認を行い、保証会社の審査結果もあわせて、最終的にオーナーが契約の可否を判断する、という流れが基本になります。
賃貸住宅管理業法および同法施行規則にもとづき、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は国土交通大臣の登録が義務づけられています(200戸未満は任意登録です)。登録の有無だけで審査の質が決まるわけではありませんが、管理会社を選ぶ際の確認項目の一つになります。
入居審査の基準をオーナーごとに決められるといっても、どのような理由でも自由に断れるわけではありません。賃貸を事業として行う場合、障害者差別解消法第8条により、事業者が障がいを理由として不当な差別的取扱いをすることは禁止されており、あわせて合理的配慮の提供も事業者の法的義務となっています(2024年4月1日施行。出典:内閣府「障害者差別解消法」)。合理的配慮は、実施にともなう負担が過重でない範囲で、個々の事情に応じて検討するものです。外国人の入居についても、国籍だけを理由に一律に拒否するのではなく、家賃の支払能力や契約内容の理解、連絡体制など、実際の契約上必要な事項を個別に確認する考え方が重要です。国土交通省も、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居のためのガイドラインを公表しています。障がいのある方・外国人の入居希望者への対応は、それぞれ根拠となる法律・制度が異なります。詳しくは戸建て賃貸の入居審査で確認するポイントは?保証人・保証会社の選び方で扱っていますので、あわせてご確認ください。

管理会社を通じた入居審査は、おおむね次の流れで進みます。
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入居審査の主な流れ
保証会社を利用する場合は、管理会社の審査と保証会社の審査が並行して進むことが多く、審査にかかる期間は物件や利用する保証会社によって変わります。オーナー自身が申込者と直接やり取りする機会は限られるため、管理会社からの報告内容をどう受け止めるかが、オーナー側の判断のポイントになります。
入居審査で確認される主な項目は、次のとおりです。
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審査で確認される主な項目
家賃に対して収入が十分かどうかの目安として、家賃が月収の一定割合におさまっているかを確認する運用がありますが、これは法令で定められた基準ではありません。手取り収入、他の固定的な支出、保証会社の審査結果など複数の要素を組み合わせて判断されるのが実情です。
イエリテの実務から
当社が入居審査に関わったなかには、収入基準と入居希望者の実際の収入が合わなかったケースがありました。給与収入だけを見ると基準に届かない場合でも、賞与を含めた年収や世帯収入、預貯金の状況などをあわせて確認することで、判断材料が増えることがあります。
収入が基準に届かないことだけで一律に判断するのではなく、他の材料もあわせて確認することが、無理のない審査につながると考えています。
アパート・マンションの入居審査に、全国一律の法律上の基準はありません。審査でどこまで確認するか、どの程度の収入水準を求めるかは、オーナーの意向や物件の特性によって異なります。
イエリテの実務から
当社では、複数のオーナーから審査基準についてご相談を受けてきました。物件によって、収入面をどこまで厳しく見るか、保証会社の利用を必須にするかどうかなど、考え方に違いがあります。管理会社にすべて任せている場合でも、オーナーご自身の希望を事前に伝えておかないと、審査の途中で急に判断を求められて迷うことがあります。
審査基準を事前にオーナーと管理会社ですり合わせておくことが、審査をスムーズに進めるうえで役立つと感じています。
管理会社に審査を任せている場合でも、どのような書類を求めるか、保証会社の利用をどう扱うかなど、基準の考え方は事前に確認しておくと、実際の運用とのずれを防ぎやすくなります。

家賃滞納への備えとして、連帯保証人を立ててもらう方法と、家賃債務保証業者(保証会社)と契約してもらう方法があります。
保証会社を選ぶ際の判断材料として、国土交通省は一定の要件を満たす家賃債務保証業者を登録し、情報を公表する制度を設けています。この制度は任意の登録制度であり、登録がなければ営業できないわけではなく、登録業者であれば必ず安心というものでもありません。業者選びの判断材料の一つとして、国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」のサイトで登録業者の一覧を確認できます。
さらに2025年10月からは、住宅確保要配慮者(低額所得者・高齢者・障害者・子育て世帯等)が利用しやすい家賃債務保証業者として、登録家賃債務保証業者等から一定の要件を満たす者を国土交通大臣が認定する「認定家賃債務保証業者制度」も始まっています。従来の登録制度とは目的・要件が異なる制度です。要配慮者の受入れを検討する場合の確認材料になります。
アパート・マンションでは複数戸をまとめて管理する関係上、管理会社があらかじめ提携している保証会社を利用する運用が一般的です。どの保証会社を使うか、保証の対象や保証料の負担がどうなっているかは、管理会社への確認事項になります。
入居審査では、氏名・年齢・勤務先・収入など多くの個人情報を取得します。個人情報を検索できる形で整理して事業に用いている場合、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者に該当することがあります。該当する場合、次のような義務が生じます。
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注意点
管理会社へ情報を渡す場合、利用目的の達成に必要な範囲での取扱いの委託にともなう提供として、個人情報保護法第27条第5項第1号により法律上の「第三者提供」に該当しないとされる場合があります。保証会社へ渡す場合との扱いの違いは、契約の構成によって変わるため、迷う場合は管理会社や専門家に確認することをお勧めします。
入居審査に落ちた場合、貸主や管理会社、保証会社が申込者へ理由を開示する義務を定めた法律は、確認した範囲では見当たりませんでした。実務上、具体的な理由が伝えられないまま結果だけが通知されることも少なくありません。
イエリテの実務から
当社では、審査に通らなかった申込者やそのご相談への対応、また貸主側から「審査に落ちたが次にどうすればよいか」というご相談を受けてきました。1つの物件や1つの保証会社の審査基準に合わなかったからといって、他の物件でも同じ結果になるとは限りません。
オーナー側から見ても、審査に落ちた場合にすぐ次の候補者へ切り替えられるよう、選択肢を残しておくことが大切だと感じています。1人の申込者の審査結果を待つ間、他の問い合わせへの対応が遅れてしまうと、空室期間が延びる原因にもなります。
貸主の立場としては、審査基準を事前に管理会社と共有しておき、審査に時間がかかりそうな場合や結果が出なかった場合に備えて、次の候補者への対応方針をあらかじめ決めておくと、審査の停滞による機会損失を防ぎやすくなります。
なお、連帯保証人・保証会社の確保が難しい入居希望者向けには、国が進める住宅セーフティネット制度のもとで、複数の仕組みが用意されています。要配慮者の入居を拒まない住宅として貸主が任意に登録する制度、住宅情報の提供・相談や入居支援、見守りなどの生活支援を行う居住支援法人(登録住宅の入居者への家賃債務保証等も行います)、そして前述の認定家賃債務保証業者制度です。これらは登録住宅であれば保証人の問題が自動的に解決するというものではなく、審査基準の枠内で対応が難しい場合の選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。
申込みから審査結果が出るまでの期間は、一律に決まっていません。保証会社を利用する場合は保証会社側の審査も並行して進み、追加書類の提出や勤務先への確認が必要になる場合は、その分の日数がかかることがあります。
管理会社に任せる場合も、審査の基準や進め方をオーナーが事前に確認しておくことをお勧めします。どのような書類を求めるか、保証会社の利用をどう扱うかは物件や管理会社によって異なるため、任せきりにせず、基準の考え方をすり合わせておくと、実際の運用とのずれを防ぎやすくなります。
必ずしもそうとは限りません。家賃債務保証業者(保証会社)を利用することで、連帯保証人がいなくても契約できる場合があります。保証人を立てられないことだけを理由に一律で断るのではなく、保証会社の利用も選択肢として検討できます。
理由の開示を義務づける法律は、確認した範囲では見当たりませんでした。ただし、法律上の義務がないことと、説明した方がよいかどうかは別の問題です。管理会社と相談しながら、どこまで説明するかを個別に判断することをお勧めします。
本記事は、審査基準そのものに絞って扱っています。関連するテーマは、次の記事もあわせてご確認ください。
この記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。入居審査の具体的な基準や個人情報の取扱いについては、不動産会社・弁護士など専門家へご確認ください。制度や運用は変わることがあります。

株式会社イエリテ 代表
沖縄県南城市出身。住宅建築設計や不動産実務の経験を活かし、土地・戸建て・空き家・相続不動産などの売却や活用をサポートしています。お客様一人ひとりの事情に寄り添い、売る・残す・活用するといった選択肢を分かりやすく整理してご提案します。
売却だけでなく、賃貸や管理を含めた活用方法についてもご相談いただけます。